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【SS】風の悪戯

 ひとしきり遊んだ後、家に帰った。買い物に行こうと思ったら、真ん中の孫がついてくると言う。まぁいいかと思いながら一緒に買い物に出るが、如何せん風が強い。そのため、風に強い傘を持って出ることにした。骨が12本もあるので多少の風にはびくともしない。それを四歳の孫が持っていた。

 マンションの外に出て、孫は傘を開いた、ものすごい風とともに、孫は一瞬空を飛んだ。振り返ると物凄く不安そうな顔をして、必死に傘を握りしめている孫がいた。と思った瞬間、突風が襲った。孫は、どうしようもないけど手を離したらダメだと思ったのか、傘を握りしめたまま、ふわっと一瞬地上から離れた。その後、あまりのかぜの強さに負け、傘はいわゆるラッパ傘状態になって、そこに居た堪れなくなった孫がひっくり返った傘に乗っかって風に流されていた。

 慌てて、手を伸ばすが、届かない。一瞬風が弱まった瞬間に傘の先端を捕まえた。孫はどうしようもないくらい後悔と不安を顔に表していた。もう少しで泣きそうと言う感じだったので、声をかけ助けると、「じいじが持って」といった。何事も経験に勝るものはない。どんな風でも大丈夫と思っていた孫も、自分の限界を知ったようだ。逞しくもあり、もう少し大きく成長してほしいと思う今日この頃。

 残念ながら、傘は敗れ、先端は潰れてしまったので、もう使えないかもしれないが、それで孫が一つ学んでくれたのなら良しとしよう。

 でも、明日になれば忘れてしまうのだろうな〜。

#ショートショート #エッセイ

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