晴れている平日の夕方に音楽は欠かせない~はっぴいえんど「風をあつめて」~

 はじめまして。おじゃまたくしと申します。物書きド素人大学生が卒業論文としてエッセイを書くことになったので長文を書く練習です。


 とりあえず下手なりに何か書いてみようとパソコンに向かって早30分。最初に書いていた文章は没にして、男子バレーボール日本代表がデュースに持ち込むもストレートでポーランドに負けたその瞬間をテレビで見届け、昨日ほどではないけれど今日も暑いな、本当に此処は北国なのかと考えてしまう夏の一日。大学は相変わらずオンラインでそのまま来週テストを自宅受験したらその瞬間から夏休みだけれど、四年生だから一科目しか履修していないし、夏休みかどうかの境目すら曖昧になっているから、大学の暦もあまり機能していない感じがする。

 こういう生活になってからもうどれくらい過ぎただろう。今こうして四年に一度の平和の祭典が自国で一年の延期を経て開催されているその一方で未だ収まるどころか勢力を拡大し続けている流行り病が人々をいろんな方向から苦しめている。そういう状況になって、なるべく家に居なさい、外に出るときにはマスクをしなさい、手洗いと手指の消毒は忘れずに……

 そんな感じの暗い世の中でも全く救いがないわけではない。私の場合の救いは音楽だ。好きな小説も映画もテレビ番組もそうだったけれど一番存在が大きかったのが音楽なのである。

 CDを持っているものも、再生するための機械も(それ専用ではないが)一応あるけれど、有料会員になっている二つのサブスクリプションサービスアプリの何方かを適当に開き、アーティストとアルバムを選び、再生ボタンを押す。聴いている時だけは暗い気持ちも少しは忘れられる。

 こういう晴れた日の午後に聴きたくなるのがはっぴいえんどの「風をあつめて」だ。

 はっぴいえんどは大瀧詠一、鈴木茂、細野晴臣、松本隆によって結成され、「日本語ロック」を確立した四人組バンドである。最近細野晴臣がデビュー50周年を迎えたり、松本隆が作詞家活動50周年を迎えたりではっぴいえんどの名を以前よりも沢山聴いているような気がするし、兎に角日本の音楽史を語るにおいてその名は絶対に外せないのがこのバンドである。

 「風をあつめて」は、1971年発売の「風街ろまん」に収録されている。

街のはずれの背のびした路次を 散歩してたら 汚点だらけの 靄ごしに起き抜けの路面電車が 海を渡るのが見えたんです 

  「汚点だらけの靄」とかどこか幻想的で、でも現実に在りそうなそんな世界が描かれているのである。それは二番で描かれている昧爽どきを通り抜けたら見えた、伽藍とした防波堤ごしの緋色の帆を掲げた都市とか、三番で描かれたひび割れた玻璃ごしに、人気のない朝の珈琲屋から見えた摩天楼の衣擦れが舗道を行く姿からも感じられるのである。

 夏の昼下がりにこの曲を聴くと、なんとなくうだるような暑さから逃れた気がして、心地よくなるのである。窓から少しだけ入ってくる風と、扇風機の風を背中に感じながら、この曲を聴いて読書をしたり、昼寝をするその時間が最高に幸せで、バイトで何か腹が立つことがあったり、ニュースに心を痛めたり、SNSにあふれる自分ではない誰かに向けられた心無い一言に落ち込んだとしても、そうやってリセットすればなんとなく明日も生きようと思えるのだ。

https://open.spotify.com/track/0YdW17YMTVaqzRkkvdlpm8?si=e47178c1a1694332

知識をつけたり心を豊かにするために使います。家族に美味しいもの買って帰省するためにも使います。