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野球の配球であえてボール球を投げるのは、本当に有効なのか

ご挨拶

はじめまして!

僕は北海道教育大学旭川校保健体育分野に所属し、硬式野球部で投手とデータチーフをしています。このnoteは自分の専門である教育や野球のことを中心に、考えたことや感じたことをアウトプットするために、そしてそれが誰かの役に立つことが少しでもあれば共有したいと思い、始めました。試行錯誤しながら、続いていければいいなと思います。

配球をよく考えるようになったのは、自分の能力を最大限活かそうと思ったから

まずは僕自身が配球をよく考えるようになったきっかけについてお話させていただきます。

一般に、投手力は”キレ”と”制球力”の2つの要素にわけて評価されることが多いです。
”キレ”は、投球速度や回転数、変化量等ボールの運動学的特徴や、いわゆる「見た感じ」の認知的な側面からその良し悪しが考えられています。「印象」と表現していいかもしれません。(現時点では統一された見解がありません)
一方”制球力”については、目標に向かって投げられたボールの到達地点がどれだけずれていたか、ばらつきが見られたかという客観的な評価が可能です。いわゆるコントロールですね。

僕自身の投手力を評価すると、制球力については高い能力を持っていると思いますが、反対にキレはというと、大学野球1部リーグのレベルからすれば未熟な部分が多いです。


もちろん弱みは克服しなければなりませんが、克服しようとしたところで行きつく先はせいぜい”人並み”くらいで、それを武器にしようともなればかなりの時間と精神的・身体的ストレスがかかると思います。であるならば、強みを最大限に活かすことに重きを置いた方が、自分を大成させることに直結してくると僕は考えています。

こうして「コントロールを活かすにはどうしたらいいか……配球だ!」となったわけです。

ストライク期待度とスイング率

タイトルにもありますが、今回は「意図してボール球を投げる有効性」を自分なりの解釈でお話したいと思います。

極端な例ですがここで一つ考えてみたいのが、「打者目線で、カウント3-0と0-2ではどちらのほうが次の投球にストライクを期待するか」です。

当然、3-0のほうが次にストライクを期待すると思います。投手はストライクを投げないとフォアボールになってしまうからですね。実際このカウントで打者がスイングしてくることは少ない(フォアボール期待、ミスヒットのリスクなど)ですが、それは一旦ここでは置いておきましょう。

この「ストライク期待度(造語です)」と「打者のスイング率」は密接に関わり合っていることが想像つくでしょうか。ストライクを期待すればするほど、スイングする確率は上がってくるものだと思います。


スイングされることをリスクだと感じる人もいるかもしれませんが、実はそんなこともありません。

野球では3回に1回ヒットが打てれば良いバッターだとされますが、裏を返せば3回に2回はアウトになるということです。相手打者と能力に大きな差がないことを前提とすると、ヒットが出る確率は33.3%、連打が出る確率は11.1%となります。

またスイングによって空振りやファールになってストライクが増えることも含めれば、打者にスイングさせることが単純にリスクだと考えるのは時と場合が限られてくるのかなと思います。先発投手で球数少なく9回を投げ抜くには、意図してスイングさせる戦略も大切になってきます。

ボール球はストライク期待度をあげる

少し話は変わりますが、配球はカウントを追うごとにストライクゾーンの外へ外へとずらしていくことが理想的と考えられます。なぜなら、一球前よりも甘い球が来るということはストライクである可能性が高く、打者が反応しやすくなってしまうからです。

ではここから具体的な話になりますが、
例えば1-2からあえて外にボール球を投げてみます。カウントは2-2となるわけですが、打者の頭ではどんなことが起こっているかというと、「次にストライクを投げないと3-2になって投手は苦しくなるはずだから、ストライクゾーンにくるだろう」という考えになるわけです。

すると先ほどお話した通り、打者のスイング率は上がってきます。ここに投手の勝機があると思います。

次に投げる球は「ストライクからボールになる変化球」や「インコースのストレート」などが考えられますが、その投手の球種や試合状況、そのボール球がどのようなものであったかなど様々考えられるところで、バッテリーのその場の裁量に委ねられるかなと思います。(僕が配球を考える際に最も考えるところで、一番楽しい部分です!)

ここでややこしくなるデータをご紹介

ここまで読み進めてきたあなたはきっと「あえてボール球を投げるのは、有効だ!」と思っていることでしょう。

しかしここで一つのデータを紹介します。
2019年のNPBのカウント別打率を調べると、0-2で1割4分5厘、1-2で1割6分8厘、2-2で1割8分7厘、3-2で2割1分6厘と、ボール球が1球増えるごとに2分から3分、打率が上がることがわかりました。

つまり「1球外すことは打者を有利にするだけ」と言えます。この傾向は、1989年までさかのぼって検証しても、一貫して同様の結果となったそうです。

https://www.nikkansports.com/baseball/news/202004060000067.html

この矛盾をどう説明したらよいのか。
僕の現時点での答えはこうです。

①投手はボールが増えると、意識的もしくは無意識的にストライクをいれようとするため甘くなる
②0-2に関して、0-2からは一球様子をみられるという野球のセオリーにとらわれ、対応が遅れる
③NPBのデータと、他競技レベルでのデータが異なる可能性

が考えられます。
根拠がなく信憑性にかなり欠けるため、今後検討していく価値がありそうです。
一応ここでの結論としては、数字に差があるにせよわずかな差なので、状況次第で判断してくということがやはりここからも求められる、としたいと思います。

まとめ

もちろん、あえてボール球を投げる効果は「目線をずらす」「ピッチングに一呼吸おく」など他にもたくさん考えられそうなので、また別の記事として書ければなと思います。

野球以外にも、教育のことや読んだ本の感想なども書いていきたいと思っているので、興味があるタイトルがあればぜひ読んでほしいなと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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