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かっこつけず、本音をさらけ出すことで縮まる心の距離

「先生だって間違えることはあるよ~。だって、ロボットじゃないもん。
みんなと同じ、人間なんやから。」


これは、私が小学校の先生だったとき、子どもたちに許しを請うために使っていた言葉だ。


宿題のプリントを配り忘れたり、職員室に忘れ物をしたり、さっきまで持ってたはずの教具(授業で使うアイテム)をどこかにやってしまったり…


そういう抜け抜けなところがあったので、やらかすたびに

「みんな、ごめんね!
 先生だってーーーー(冒頭の言葉に続く)」

と謝っていた。


この話をしようと思ったきっかけは、Mariさんの記事を読んだこと。

Mariさんは、子ども目線で「親だって人間だ。不完全が普通なんだ。」と思えるようになったことで気持ちが楽になったと書いている。


そこで私は、親や先生など、子どもたちに教える立場として「不完全でいいじゃないか」と思った話を書いてみようと思ったのだ。




3年生の担任をしていた時のこと。

当時勤めていた学校では、3学期に「一年間の学習のまとめ」を発表する行事があった。

学校で行われるイベントの中でも目玉となるもので、保護者の皆さんも一年の中で一番楽しみにされている学習参観だ。



学習発表では、低学年(1・2年生)は生活科で学んだことをチームごとに発表する。

しかし、3年生以上は総合的な学習の時間で学んだことを、一人一人、個人でまとめて個人で発表する。


発表に向けて準備が始まって間もなくの頃、子どもたちは不安でいっぱいな様子だった。


どんな風にまとめていけばいいのか、自分一人で発表できるだろうか、そもそも何を発表すればいいんだ…


その不安は私も同じだった。

でも初めは、
「前に立ち、引っ張っていく私が不安になっていたらだめだ!」
と、弱い自分を隠しながら、あたかも私はわかっている風を装い、一人一人にアドバイスし、なんとか形にもっていこうとしていた。


それでも、発表の準備の時間になると、教室にはモヤモヤとした空気が漂っていた。

もちろん、中には「私はこれについて発表する!」と早々に決めて、アイディアもどんどん出して、意気揚々と準備を進める子もいた。


あるいは、よくわからず、自分は関係ないかのように気楽に友だちとしゃべってフラフラ過ごしている子もいた。


このままじゃ発表までに間に合わないな、この流れ、なんとかして変えたいな。


そう思った私は思い切って、

「みんな、初めてのことで不安やんな。 
 先生も実は不安です!  

 先生になって3年目。
 みんなと同じ3年生。

 だから、わからへんこともあるし、不安な時もあります。
 
 でも、大丈夫!みんながいるから。
 発表は一人でするけど、
 わからないところはみんなに聞いたり、助けてもらったりしよう。
 
 発表までまだ時間はあるから、
 焦らなくていいし、 
 困っていることがあったらいつでも先生や友達に声をかけてね。」


本音を伝えることで、かえって子どもたちに不安を与えることにならないか?


伝える前も、伝えた後も、正直迷いはあった。


だが、正直に本音をさらけ出してから、それまで教室に漂っていた不安な空気から、発表に向けて頑張ろうという明るい空気に変わった気がした。


先生、先生。

と声をかけてくれる子も増えたし、資料を見せあってアドバイスし合う子たちも出てきた。


中には自分の発表したい内容を真似された~。

と泣いてケンカする子もいたが、
それも、自分の発表を頑張りたい!!
という気持ちがあるからこそ出てくるもの。

無事、当日までに準備を終え、練習を重ね、発表会を迎えることができた。


不安な空気を断ち切ることができたわけ。

それは、

私自身が
「先生だからって、完璧じゃないとだめ」
という決めつけを外し、

先生だって弱い部分を見せたっていい

と思えたこと。


それから、子どもたちが

「なーんだ、先生も同じなんだ。
 先生でも不安になることあるんだ。

と思えたこと。



大人も、子どもも、人間なんだから不完全でいいんだ。


いや、いつも

「不安なのよーーー。
 無理だよーーーー。
 助けてーーーーー。」

なんてネガティブな発言ばっかりするのはお互い嫌だけど、


「実はこう思ってたんだよね。」

と本音をさらけ出して、

人間なんだから完璧じゃなくていいよね。
不完全でいいよね。

そんな風に、大人も子どもも思えたら、もっと楽に生きられる気がする。


楽に生きられるし、より、心の距離が縮まって、一緒に頑張ろう、みんなで頑張ろうという一体感が生まれるんじゃないかなぁ。




気づきを与えてくださったMariさん、ありがとうございました♡


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