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「ポジションかぶり」にひるむな!パドレス、カブスに学ぶ選手補強のありかた

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先週の3月6、7日に欧州代表との侍ジャパンシリーズ第1戦が行われた。新たに代表選出された選手のプレーや欧州代表選手の実力、井端弘和監督の采配など気になる部分が多い試合だったのではないだろうか。そんな中、残念だったのは今ドラフト最大の目玉である明治大学の宗山塁が右肩甲骨骨折の診断を受け、出場できなかったことだ。

 宗山は高い打力と守備力を兼ね備える遊撃手。守備では井端監督から「源田壮亮に匹敵する」と高い評価を受けているほか、打撃面でも大学生時代の鳥谷敬(元阪神・ロッテ)に匹敵するほどの打撃成績を残している。間違いなく10年に1人クラスの超目玉選手だ。それだけに、NPB代表レベルでのプレーを見られないのは少し残念だ。とはいえ、それでもドラフトでの評価に影響はないだろう。間違いなく複数球団から競合で指名を受けるレベルの選手だ。

 宗山ほどの有望株であれば、おそらくほとんどの球団にとって獲得するメリットは非常に大きい。その上でもし宗山の指名を避ける球団があるとすれば、「ポジションがかぶっている」ことが主な理由の1つになるのではないだろうか。つまり、同じポジションに2人の優秀な遊撃手が在籍することで、片方、もしくは両選手の出場機会が少なくなってしまうことを懸念し、指名を回避しようという考え方だ。

具体例を出そう。たとえば西武だ。遊撃に源田がいる西武では、宗山を獲得してもいきなり遊撃で出場させることは難しい。逆に、もし宗山を優先して起用すれば、あと3年間の契約が残っている源田の遊撃での出場機会が失われてしまう。そうなるとせっかく宗山のような優秀な選手を獲得したとしても、西武全体としての戦力の上積みは小さくなってしまうのではないか、という考え方だ。

もちろん、この考え方自体は理解できる。だが、このような考え方で優秀な選手の獲得を見送る判断を下すのは、果たして適切と言えるのだろうか。

そこで、今回はMLBの事例に注目したい。移籍市場が盛んなMLBでは古今東西様々な形でポジションかぶりが発生してきた。現地ではlogjam(元の意味は行き詰まり、停滞)と表現されることもあるこの状況には大物選手同士もあったし、若手有望株同士というパターンもあった。それらの「logjam」について、当時の球団上層部がどのような判断を下し、戦力を最適化していたのか見ていきたい。

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