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2024年秋12球団外国人選手レビュー

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NPBは過去に強力な外国人選手が多く在籍してきた。彼らは時に弱点を埋める即戦力として大活躍を見せ、リーグバランスを揺るがすほどの大活躍を見せることもあった。そのため、トレードやFAによる移籍が少ないNPBにおいて外国人補強は非常に重要な即戦力補強チャンネルとして機能し続けてきた。

だが近年、外国人選手の影響力は急激に低下した。MLBの最低年俸引き上げや円安など様々な要因が重なり、実績ある大物選手やMLBレベルに近い実力派選手の来日が減少。結果として、強力助っ人と呼べるほどの大活躍を見せる選手はなかなか現れなくなっている。

では今季はどうだっただろうか。今回の本コーナーでは12球団における外国人選手のプレー状況をデータで振り返ってみたい。まず、NPB全体を簡単に俯瞰してみよう。以下は2014年から2024年にかけての外国人選手のWARである。

この図を見ると、外国人選手のWARは2014年から18年ごろまでは投手が30-40前後、野手が15-20前後で推移してきたことがわかる。潮目が変わり始めるのは2019年からだ。まず投手のWARが大きく低下。翌2020年にも大きく下がり、2022年には野手WARがリプレイスメントレベルにまで落ち込んでしまった。

このような変化が起こった背景にはいくつかの要因がある。1つは円安だ。1米ドルは2020年までは100-110円ほどで推移していたが、2021年から徐々に円安が進行。2022年の10月には140円台後半まで上がった。結果として、ドル建てで見ると同じ金額であっても円で支払いを行うNPB球団としては支払額が1.5倍近く跳ね上がっていることになる。結果として外国人選手を獲得するためのコストが大幅に上がったのだ。

他の要因としてはMLBの最低年俸上昇だ。2022年の包括的労働協約(CBA)で、MLBの最低保証年俸は前年までの約57万ドルから約70万ドルまで一気に引き上げられた。これはつまり、MLBの当落線上にある選手を獲得するために必要な資金が上昇したことを意味する。ただでさえ円安でコストが上がっている中、最低保証年俸が上昇したことでさらに有力な外国人選手獲得のためのハードルが跳ね上がってしまったのだ。

MLBの最低保証年俸額の推移(2017-24、単位はドル)
2017 535,000
2018 545,000
2019 555,000
2020 563,500
2021 570,500
2022 700,000
2023 720,000
2024 740,000

この状況を踏まえたうえでの今季である。図を見ると投手、野手ともにシーズンが終わっていないにもかかわらずWARは上昇した。とはいえ全体的なトレンドで見ると大きな変化は見られていない。依然として外国人選手受難の時代は続いていると言っていいだろう。

ただ、リーグ全体としては変わらず低調でも球団別に見ると見え方は変わってくる。このような状況下でありながら、外国人選手補強で大きな成功を収めている球団も現れているのだ。各球団の外国人がどのような状況なのか、個別に見ていこう。

パ・リーグ

ソフトバンク

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