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ドラフトの勝者である西武がなぜこれほどまでに低迷しているのか

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西武が苦しんでいる。今季は7月18日終了時点で勝率.313。すでに借金は31まで膨れ上がった。西武といえば2018-19年に連覇を果たすなど、数年前まではソフトバンクと並び立つ存在であった。それが現在はこれほどまでに弱体化している。どうしてこんなことになってしまったのだろうか。

この西武の弱体化についてよく囁かれる説が主力選手の退団である。西武は歴史的に主力選手の流出を許してしまう傾向が強く、ここ数年もその流れは顕著だ。以下のように、リーグを代表するような選手がこの10年の間に次々と退団している。これが西武低迷の大きな原因であるのは間違いない。

各シーズンオフに西武を退団した主力選手
2016年:岸孝之
2017年:野上亮磨、牧田和久
2018年:菊池雄星、浅村栄斗、炭谷銀仁朗
2019年:秋山翔吾
2022年:森友哉
2023年:山川穂高

ただ一方で原因をこれだけに求めるのもミスリードだ。これら選手の中にはすでに力を落とし引退している選手、また完全に力を落としている選手もいる。

原因についてデータを精査していくと、西武の低迷にはドラフトが大きく関わっていることがわかってきた。今回はそのドラフトに関するデータを一緒に見て、西武がなぜ弱くなったのかの一端を解き明かしていきたい。

森、山川、外崎、源田…12球団最高レベルの成果を上げた2013-16年ドラフト

西武低迷の原因。前述したように主力選手の退団は大きな影響を与えているが、それ以上に大きいのがドラフトである。

以下表1を見てほしい。これは2013-22年にドラフト指名された選手が昨季(2023年)までに記録したWARを合計したものだ。WARとは総合的な勝利貢献度だと思ってもらえればよい。なお今回はドラフト指名の成果を確認することが目的であるため、移籍後のWARもドラフト指名球団に属するかたちで計算を行っている。例えば森友哉は2023年、FA移籍したオリックスで5.0WARを記録したが、これも指名時の球団である西武としてカウントした。

表を見ると西武がこの10年間のドラフトで大きな成果を出してきた様子がよくわかる。10年間のドラフトにおける合計WARは135.1。これは12球団トップの値だ。2010年代後半にパ・リーグの覇権を争ったソフトバンクは12球団中10位。ドラフトで大きな差をつけていたようだ。

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