「悪」だと思っていた企業が、実は「希望」だった話

ワンプラネット・カフェに入社して3年目。
就職してから、それまでは知ることのなかった世界に刺激を受ける毎日を過ごしています。

私は、学生の頃、Firidays for Future(未来のための金曜日:以下FFF)という団体で活動をしていました。

FFFは、スウェーデンのグレタ・トゥンベリーさんがたった一人で始めた学校ストライキにインスピレーションを受けた世界中の若者が、それぞれの地で自発的に始めた、気候変動対策のための社会のシステムチェンジを求める環境活動団体です。
今では世界7,500ヶ所に広がり、これまでに累計14,000,000+もの人を巻き込むほどの大きなムーブメントを起こしてきました。

FFFとして企画したムーブメントの矛先は、どれも基本的には「企業」や「政府」のポリシーメーカー。当時の私は、地球環境をここまで荒らしている大きな原因の一つは、大量生産大量消費の経済システムを作ってきた企業(特に大手)や政治家にあると思っていて、その存在はいつも「悪」でした。

しかし、私がこの2年間で体験したのは、そういった企業の多くも少なからずみんな同じ思いで同じ方向を向いているということ、そしてその企業の持つ可能性こそが希望だったことです。

仕事をしている中で、「サステナビリティ、取り組みたいけどどうしたらいいのか分からない」というお声はよくいただきますが、一番驚いたのは、業界を先導している大手企業の方々でさえも、悩み、迷い、模索している状況であったことです。

それまでは、影響力も経済力も人材も十分にあるにも関わらず、サステナブルな経営を展開できていないのは、「やれるのにやってない」のだとばかり思っていましたが、
企業の方々をスウェーデンの視察にお連れした際に目にしたのは、

「自分たちが取り組んでも、生活者の行動変容につながらない、一方的なものであれば意味がないのでは」
「サステナビリティが需要となる日が本当にくるのか」

といった、「やりたいけどやれない」「やっているけど響いているのか」というジレンマに悩む姿でした。

この「やれない」には様々なの理由があると思いますが、その多くは「需要がない(=生活者のサステナビリティへの意識がまだ低い、ニーズとして伝わっていない)」ことにあるように感じました。

日本では「お客様第一」や、「お客様の声にお応えします」という言葉をよく耳にします。つまり、お客様(需要)あってこその経営だというビジネススタイルの一つだと思いますが、世界的に大きなシステムチェンジが必要とされている今、それがにわとりたまご問題となり、日本でのサステナビリティの足を引っ張ってしまっているような気がしたのです。

一方で、着実に結果を出しているスウェーデン。その背景には、「企業は教育者」であるという考え方があることを知った参加者は、ショックを受けている反面、希望を感じたような表情をされていました。

そして、視察の後半で行ったディスカッションでは、「こういう形であればできるのでは」「今度これをしてみるのはどうか」など、ソリューションベースの議論が繰り広げられていました。その積極的に先陣を切ろうとしている姿に、私が希望をもらったのです。

気候変動の問題は日々深刻化している中、社会の基盤に深く関わる企業や政府の役割、そして責任は計り知れません。
これまでFFFを含むあらゆる市民団体は、その啓発に注力してきましたが、刻一刻と時間がなくなっている現在、非常に重要な鍵となるのは、いかに市民団体やポリシーメーカーが同じ方向を向き、共に主役となるべき生活者の意識啓発と行動変容を促せるかだと思っています。

こうして重要な役割を担う企業の方々とサステナビリティが持つ可能性を共有し、共に悩みながらソリューションを考えることができるこの仕事に、とてもやりがいを感じています。

これから3年目に入りますが、共にお仕事をさせていただいているお客さまと、社会へのポジティブなインパクトをさらに生み出せるよう、急ぎながら、この希望を現実にしていけたらと思っています。


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