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「明日は行かない」と言い出すショート前日(ワンオペ介護日記6/20)

月に一度3泊4日なのに、きまって毎回「行かない」と言い出す。またかとうんざりする私。これでは「幼稚園に行かない」といってぐずる子どもと同じじゃないか。いい年をしてやめてほしいわ。

ずっと家にいたいのはわかっている。利用している特養は設備もスタッフも良く、預ける側は安心なのだが、知り合いはひとりもおらず、まわりのおばあちゃんに話しかけてもあまり反応はなく、頻繁に意味不明な奇声を発するお年寄りもいるという、なかなかシビアな現場だ。

日中は椅子に座って行儀良くしていなければならず、腰が痛いからといってすぐ横になるわけにもいかない。
そして、家ではあんなに毎日快便だったのに、入所中はピタッと止まってしまい、お腹をパンパンにして家に帰ってくる。他所でそんなことはできないと我慢しているのか。

母にとってショートステイは修行に他ならない。相当なエネルギーがいることなのだ。それだけに、務まらないかもしれないという不安から「明日は行かない」と言い出すのだ。

気持ちはわかるが、私にも都合というものがある。ワンオペ介護だと自分自身の用事が満足にできないから預けるのだ。
ヘアカット、健診、歯科の定期クリーニング、免許の更新、役所の手続き、墓参り、その他諸々、母を預けないとこなせないことばかりだ。

それなのに、
母「家にいて自分でするから・・」とごねる。
私「できるわけないじゃない。どうやってトイレに行くのよ。一歩も前に進まないでしょ!」と、次第にヒートアップしていく。
「家にいたいなら、もうひとり手伝いを探しなさいよ!私ひとりで四六時中見張ってろって、あんまりでしょ!」と言い放ち、
さらに「誰も相手にしてくれないでしょ! 施設の人しか下の世話なんかしてくれないんだからね!」と、トドメを刺す。
こんなにまくし立てても実母ゆえ全く傷つくことはないので、辛辣な言葉を容赦なく浴びせてしまう。
こうして私が絶対に譲らないでいると、結局母が我慢するしかなくなる。

当日の朝、覚悟を決めた母は、いつもより早く起床して化粧を始める。そしてお迎えがきて、無事預けることができるのだった。