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自分の痛みは「他の人と全然違う」──“目に見えない不調”を可視化して、わかったこと

こんにちは。#OneMoreChoiceプロジェクトでライティングを担当している川口あいです。

今回は、プロジェクトに並走してきた私個人の視点から見た #わたしの生理のかたち の制作過程と、企画の主旨である「生理痛やPMSの不調、辛さ」を可視化した背景を紹介したいと思います。

我慢を「当たり前」としてしまう人の多さ

日本の20〜50代女性の約8割が「隠れ我慢」を抱えながら日々を過ごしている──この数字に驚くとともに、自分にもそうした経験がゼロではないかも? と思う人もいるはず。

生理痛やPMSでつらい経験をしたことがある人は約6割。辛さや症状があっても「どうせわかってもらえない」と思い周囲に伝えられない人が49.8%、約2人に1人もいます。PMS症状はさらにマイナーで、PMSの悩みを抱える人の約9割が婦人科の受診をしたことがないと返答。

さまざまな不調を隠して我慢をしてしまうのは、なぜか?

これまで数々のインタビューを介して「隠れ我慢」との向き合い方を発信してきた #OneMoreChoiceプロジェクト が続いて着目したのは、不調からくる辛さや、痛みの感じ方などを可視化することでした。

それぞれの生理の“かたち”

痛みや症状は目に見えないもので、個人的かつ感覚的なもの。自分が感じる痛みは必ずしも他者と同じではないですし、そもそも自分の生理痛やPMSによる不調を「どう痛いのか、なぜ辛いのか」と表現することも難しいですよね。

でもそれが、「隠れ我慢」の原因のひとつになっているのは明らか。どうせ伝わらない、わかってもらえない……と思うと、無意識のうちに我慢をしてしまいます。

痛みや症状を目に見える“かたち”にして、それぞれの感じ方の違いがわかれば、他人を思いやったり、自分の体を見つめ直すきっかけになったりするはず──そうして本プロジェクトは始まりました。

俳優の井桁弘恵さんをはじめ、13人の方々に痛みや症状について言語化してもらう過程で、さまざまな悩みが吐露されていきました。そして次第に、同じ生理のある人たち同士でも知らなかったような、それぞれの痛みや不調の違いが見えてきました。

「30キロの鉛がお腹に……」

とはいえ、痛みや症状を言語化してかたちにしたことがある人は多くはいません。最初はみなさん、探り探りで言葉を選んでいました。

どう表現すればいいか戸惑っていた人も、話していくうちに表現がどんどんリアルになっていきました。それまで感覚的だった「痛み」という存在が、自分で言葉にすることで、次第に輪郭を成していく手応えを感じていたのかもしれません。ご自身でも「あ、私の痛みはこういうかたちで可視化されるんだ」と確信されているようでした。

同じ生理やPMSであっても、腹痛・腰痛、肌荒れなどの身体的な症状を抱える人もいれば、眠気や不安、イライラなどの精神的な症状に悩む人も。

さらには同じ腹痛であっても「重いものでゆっくり殴られているような腹痛」「たくさんの針で刺されているようなチクチクする腹痛」など、その表現もさまざま。

また、症状が出るタイミングもそれぞれ違いました。寝起き直後が辛い人もいれば、仕事中にうずくまってしまう人、帰宅して気持ちが落ち着くと急に痛くなる人……生理のかたちが表出されるタイミングだって、まったく一様ではないのです。

違いを知ることだけでも、変わることがある

一概に「生理痛」「PMS」といっても、こんなに違うものなのか。それが、13人の方々に話を聞いた率直な感想でした。

そして、取材されたみなさんもまた、今まで感覚的に受け止めていた痛みや不調の辛さ、その感じ方の違いに「そうそう、こんな感じ」と納得しつつ、他の人の症状が、自分のものとは違うかたちで表現されていることに驚いてもいるようでした。

このムービーで、井桁さんがカタチになった自分の「痛み」を見ながら「他の人と全然違いますね」と言うように、可視化されて初めてわかることがあります。

「違いを知ることだけでも、変わることがある」──取材を通してさまざまな声を聞くなかで感じたことです。

一人ひとりが違う痛みを持っているということがわかれば、周囲を、そして自分を労ることができます。私も「隠れ我慢」をしていた一人として、同じようでまったく違う痛みと我慢を知り、誰もが無理をしない社会となるために何ができるのか、考えるきっかけを得ました。

#ツムラ #OneMoreChoice