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Z世代が考えた隠れ我慢をなくすためのアクションとは?【ハナラボ×ワークショップレポート 後編】

誰もが不調を無理に我慢することなく、心地よく生きられる健やかな社会を目指して、ツムラが中長期で取り組んでいる「#OneMoreChoice プロジェクト」。このたび、その取り組みの一環としてZ世代にフォーカスを当て、NPO法人ハナラボ所属の女子学生とのワークショップ「Z世代の#OneMoreChoice」を開催しました。10月29日(土)に実施したワークショップ1日目(前編)では、自分の隠れ我慢のシーンや実態を知り、隠れ我慢のインサイト(隠れている本質)を発掘、今回は、その2日目(後編)で、「隠れ我慢をなくすアイデア創造」を目指しました。その模様をレポートいたします。

他者へのインタビューを通じて、隠れ我慢の新たなインサイトを探る
11月27日(日)、ツムラ本社にて実施したワークショップ2日目は、前回のワークショップで出された課題を振り返るところからスタート。その課題は、「隠れ我慢をなくすためのインサイトを検証」というもの。周りの友人たちに隠れ我慢についてのインタビューを行うことで、どんな気づきがあったかをシェアしました。

「これまで人にインタビューをして話を聞く経験がなかったので、質問をしたり、それはなぜ?と深掘りしたりするのが難しかったけど、こんな視点や考え方があるんだ!という新たな発見が得られた」
「実際にインタビューをしてみると、人によって隠れ我慢の種類が違い、それぞれが色々な辛さや悩みを抱えていることに改めて気づけた」
 
他者にインタビューをすることで、自分では思いつかなかった隠れ我慢に対する視点やヒントを得られたようです。一人ずつ発表を行い、隠れ我慢のインサイトを全員に共有しつつアップデートしていきました。その内容は下記の通りです。
 
「会議で人と話している時、急に『トイレに行きたい』とは言いにくい。会話を中断させてしまうことが気にかかって言い出しにくいという悩みがあった。それに対しては、90分に一度目を閉じて休憩する時間を設けるなど、会社や組織として休憩のタイミングのルールを作ることが必要ではないかと話し合った」
 
「体調不良で辛いけど熱はない状況だと、授業やアルバイトを休みますとは言いづらいという辛さがあった。隠れ我慢の目安となる指標があれば良いのではないか。誰にでも客観的に判断できる、痛みや辛さの数値が出せるといいなと思った」
 
「サークルやアルバイトで人からの頼み事を断ることができず、全部引き受けてしまう。やりがいや責任感から無理して頑張るけど、結局はパンクしてしまうことが多い。自分のキャパを理解して、それに応じて断るラインを決めておくことが必要ではないか。あらかじめ自分の中で休む日や時間を設定しておくことも大事」
 
「インタビューした2人はどちらもアルバイトでの人間関係で隠れ我慢を抱えていた。2人に『思ったことを伝えるようにしたらどうか?』と提案したところ、1人は『言って後悔した経験はないし、なるべく気持ちを伝えようと思う』との反応だったのに対して、もう1人は『相手の気持ちを考えると躊躇してしまう。自分が我慢することで解決するなら、別に我慢しても構わない』との返答だった。同じことで悩んでいても、人によって捉え方が違い、我慢している方が楽という人も。相手との距離感を保つのと、言いたいことを伝えるのは別。言うことで解決できたらいいけど、それによって失うものもあると考える人もいる」

隠れ我慢をなくすアイデアは「問い」から考える
続くミニ講座でアイデア出しのためのフレームワークを学び、コツをつかんだところで、解決策への本質を探るワークを行いました。
 
そこで出た11個の問いに対して、全員で隠れ我慢をなくすためのアイデア出しを行うと、合計70個もの「アイデア」が生まれました。

その中から、更に深く取り組んでみたいと思う「問い」を選んで各自投票し、議論した結果、今回は以下2つの問いに対するアクションを検討することにしました。
 
 
「どうしたら楽しめる/達成感を感じられる範囲で自分のキャパを決められるのか」
「どうしたら私たちはお互い気持ちよく頼み事を断れるだろうか」
 
その後、集まったアイデアを具体化し、グループごとに隠れ我慢をなくすためのアクションをワークシートと模造紙にまとめる作業に入りました。

各グループが提案する、隠れ我慢をなくすためのアクションとは?
最後に、2つのアイデアに対して、グループでまとめたアクションを順番に発表しました。
 
1班が取り組んだのは、「どうしたら楽しめる/達成感を感じられる範囲で自分のキャパを決められるのか」という問いへのアクション。考えたタイトルは、「#キャパ◎プロジェクト(キャパオウプロジェクト)」。お互いに気持ち良く頼み事を「断る」「断られる」状況を作るために、「#キャパ◎」というハッシュタグをみんなで使って流行語にしようというものです。
「キャパ◎(キャパオウ)」という言葉は、キャパオーバー(over)の「O」、キャパゼロの「0」を組み合わせることで二重丸(◎)になり、頑張り度が最大であるという状況を示しています。このハッシュタグを使用することで、自分が頑張った結果キャパオーバーの状態だとポジティブに人に伝えることができ、頼み事を無理なく断ることが可能。結果的に自分も相手もハッピーに、気持ち良く過ごすことができるという提案でした。

2班が取り組んだ問いは「どうしたら私たちはお互い気持ちよく頼み事を断れるだろうか」。それに対しての提案が、「キャパチェッカーアプリ」の開発。頼まれ事を断れない方、自分のキャパを知りたい方をターゲットとし、自分が辛いと思った時に、簡単・手軽に診断ができるアプリです。
「今の疲れはどのぐらい?」といった質問項目に対して、グラフの矢印カーソルを動かして今の状況や感情を登録。ひとことメモも記入でき、後から見返すことも可能とします。診断結果に応じて、スマホがキャパオーバーの警告通知を出してくれるため、自分のキャパを客観的に知ることができるというものでした。

「自分自身の隠れ我慢を知る」、という身近なことからスタートした2日間のワークショップですが、参加者や周りの友人たちの隠れ我慢のインサイトを探り、それを参加者同士が議論しアイデアを出していくことで、結果的に上記のような今までにない画期的なアイデアを創造することができました。

Z世代ならではの視点を取り入れ、さらなるプロジェクト発展へ
2日間のワークショップを終えて、参加者の学生さんからは、このような感想が聞かれました。
「人にインタビューをして隠れ我慢を聞くという機会はそうそうないので、他の人はこういうことを我慢しているのだという意外性も含めて興味深かったです。アイデア出しの作業は、普段通っている大学では行う機会がなかったので新鮮でした」
「多くの人がさまざまな場面で我慢をしており、それらが表面化・数値化されていないことで無いものと扱われている状況に気づきました。今後社会に出たら、隠れ我慢がなくなり誰もが安心してキャリアを積んでいける世の中を実現するためのロールモデルとなり、発信していく側になれたらいいなと思いました」
ワークショップを通じて隠れ我慢を深く知り、さまざまな角度から考えることができたことに加え、大学の授業では得られない経験や気づきも多く得られたようです。今回学生さんからいただいたZ世代ならではの貴重なアイデアやアクション提案をさらに掘り下げ、#OneMoreChoice プロジェクトをより発展、深化させていきたいと考えています。