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ワンメディアがGOの特別講義を受けて改めて表現モラルについて考えてみた

ワンメディアマーケティングチームの本多です!
今日は広告の表現モラルについて、プロデューサーと一緒に考えたことをまとめました!

きっかけになったのは、The Breakthrough Company GOが運営するクリエイター教育プログラム「THE CREATIVE ACADEMY」。近年、広告の表現モラルを論点にした炎上が増え続けていることを背景に、特別オンライン講義として『広告の炎上事例に学ぶ、新しい表現モラルのあり方』を開催。


講義は、GOの代表である三浦崇宏さんがモデレーターを務め、特別講師として治部れんげさんが登壇。過去実施された広告事例を元に、原因の考察や改善点を深堀りしていく形で進行していきました。

ワンメディアは今まで携わったお仕事で炎上したことがないのですが、SNSという主戦場で、動画が軸にあるスマートコンテンツを手掛ける我々だからこそ、表現モラルに関しては常に知識のアップデートが必要だと考えています。そこで今回、ワンメディアを代表して、プロデューサーの森とマーケティングチームの本多が講義に参加しました!

全体を通して、広告コンテンツ制作に活かせることばかりだったのですが、特に重要だと感じたポイントは以下3つです。

ポイントまとめ
・常に自分を疑い続ける
・情報の理解を徹底的に深める
・中立な立場で受け手の捉え方を考える

これら3つのポイントに至った経緯については、以下講義後の森へのインタビューをご覧ください!

森さんkore

■森 恭平/ワンメディア株式会社 プロダクションDiv. プロデューサー
株式会社博報堂プロダクツにてプロダクションマネージャーとしてテレビCMやMV制作を経験し、2018年にワンメディアへジョイン。直近では、ヤマサ醤油株式会社・三井住友信託銀行株式会社などのコンテンツをプロデュース。
※インタビュー時、マーケティングチームの本多はマスクを着用。プロデューサーの森は撮影の為、一時的にマスクを外しています。

本多:
森さん!急にお時間いただいちゃってすみません!
GO主催の特別講義を受けて、コンテンツの企画・制作の舵を取るプロデューサーの立場からお話を聞きたいなと思って。急遽ですが、インタビューさせてください!
改めてですが、特別講義とても学びがありましたね・・・!

森:
僕も改めて講義を振り返り、今後どのように広告の表現モラルと向き合っていくべきか考えないといけないなと思っていたところです!
それにしても開催3日前に告知を開始したにも関わらず、参加者が約1,200名というのは驚きました・・・!改めて広告の表現モラルに対する関心の高さがうかがえますよね。

本多:
開始早々、三浦さんが「広告や表現に関わる全ての人々は、多くの人間に言葉を届ける力を持っていて、この力には大いなる責任を伴うもの。故に意図しないところで誰かを傷つけてしまったり、良くないイメージを世の中に広げてしまう可能性があるため、表現者は日々学び、アップデートしていかなければならない」と開催に際して改めて注意喚起をされていましたね。

森:
僕もコンテンツプロデューサーとして「言葉を届ける力には大いなる責任を伴う」というのは、刺さる言葉でした。表現者として、今以上に表現モラルについて意識していかなきゃいけないなと改めて実感しました。

常に自分を疑え

本多:
では、講義でも取り上げられていた事例をいくつか振り返りつつ、ワンメディアのコンテンツではどのようにして表現モラルを意識しているかをうかがっていければと思います!

三浦さんは講義の冒頭、「不平等や差別は決してしてはならないことだと誰もが理解しているが、アンコンシャス・バイアス(※)や固定観念から無意識のうちに受け手を傷つけてしまうことがある」と炎上リスクのある広告が生まれてしまう背景を解説していましたね。

※アンコンシャス・バイアス:自分自身が気づいていないものの見方や捉え方のゆがみ・偏り

森:
世の中の不平等や差別、そして固定観念への反対に関しては、ワンメディアがミレニアル世代向けの自社メディアを運営していた時代から強く意識していました。

本多:
当時、自社で運営していたメディアで発信していたコンテンツは、かなり切り込んだトピックを扱っていましたよね。特に意識していたことはなんでしょうか?

森:
クライアント様とコンテンツを作る現在においても基本は同じなのですが、中立な立場でコンテンツを企画・制作することを心掛けており、当事者であるキャストの言葉で発信することを大切にしていました。
経験者や知見のあるキャストが、等身大でトピックを発信する。そして、一方的に意見や知識を押し付けるのではなく、視聴者に対して「あなたはどう思う?」というような問いかけをすることで、物事の価値観を広げて発信し、受け手の行動を促すことを意識していました。

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徹底的に意見交換し、意識をアップデート

本多:
なるほど。確かにある問題に対して考えるきっかけを促すようなコンテンツが多かったですよね。メディア時代からの経験が現在のスマートコンテンツ制作にも紐付いていることって何かありますか?

森:
あくまで中立な立場でコンテンツを企画・制作している、と僕自身は思っていても、チームメンバーや出演してくださるキャストと話すことで自分はアンコンシャス・バイアスな考えを持っていたなと気付かされることが多々ありました・・・。
講義の中で三浦さんも話していましたが、どうしても自分だけだと価値観も狭くなってしまう。なので、表現者として関係者としっかり意見を交換し合うことで、意識をアップデートしていくことはかなり重要だなと思いました。

本多:
講義中、情報番組内である民族に対して意図とせず差別的な発言をしてしまい、問題になった事例が紹介されていましたね。

番組内のコーナーで、動画配信サービスで放送されるある民族の女性のドキュメンタリー番組を紹介。これに対して発言したお笑い芸人のコメントに一部、差別的な表現があり、同日の夕方番組にて謝罪・修正。翌週の放送回ではMC2名が謝罪、社としても謝罪会見を行った

この事例に関して、三浦さんは「トピックを取り上げ、掘り下げるのであればその歴史や経緯、背景の勉強を徹底的に行うことが重要」だとコメントしていましたね。

森:
そうですね。トピックや周辺リサーチに関しては僕だけでなく、ワンメディアの制作サイド一同も徹底しています。ワンメディアは、企業やプロダクトのメッセージをキャストを通したインタビューコンテンツとしてプロデュースすることが多いんです。そこで意識しているのは、キャスト本人の等身大の言葉をコンテンツに反映すること。
なので、キャストのリサーチや打ち合わせはかなり念入りに行います。

本多:
直近のインタビューコンテンツで、キャストへの配慮やリサーチを念入りに行ったプロジェクトを教えてください!

森:
昨年実施した金融機関クライアント様のプロジェクトでは、キャスト個人のお金に関する考え方や生き方を発信する内容だったため、描き方や言葉の表現を少しでも間違えてしまうと、キャストにマイナスなイメージがついてしまいます。そこで、キャストと僕たちに認識のズレが起きないよう、念入りな事前ヒアリングを実施し、“お金事情”や“お金への価値観”についてかなり細かく掘り下げながら会話を重ねて構成に落とし込んでいきました。

本多:
ピックアップするトピックの勉強もしっかりしつつ、さらにキャストへのリサーチも徹底し、認識のズレがないよう心掛けたということですね。

森:
リサーチだけでなく、編集の際には、テロップに載せる言葉やキャストが持つ思想と、その背景にあるストーリーの切り取りには細心の注意を払っています。金銭感覚における表現モラルを意識するなかでも、キャストのリアルな気持ちを反映するよう心掛けました。

それを観て受け手がどう捉えるかを考える

本多:
テロップに載せる言葉には注意を払う、ということでしたが、メッセージや描き方でいうと、大手コンビニチェーンの惣菜シリーズの名前について抗議が殺到したという事例が紹介されていましたね。

大手コンビニチェーンのプライベートブランド商品につけられたネーミングが性的役割分担の固定化を助長するとして、女子高生たちが改名を求める署名運動を開始。オンラインで7000件近くの署名が集まった。企業側は「貴重なご意見として受け止めており今後様々なご意見をお聞きしながら方向性を決定して参りますが、現時点では未定でございます」と回答

三浦さんはステレオタイプの問題だとしながら、「商品名のメッセージを少し変えるだけで、受け手は不快感や違和感を抱かない商品になったのでは」と解説していましたね。

森:
そうですね。メッセージや描き方を少し変えるだけで、がらっとコンテンツイメージも変わります。なので、受け手の捉え方を考えることはとても大事だと思います。

本多:
手掛けるコンテンツはもちろん全て受け手の捉え方を考える、という部分を意識されていると思いますが、時流や描き方を特に意識した直近のコンテンツを教えてください!

森:
昨年、ヤマサ醤油株式会社様のYouTubeドラマをプロデュースしました。

当初、「風邪で寝込んでいる彼女」を心配した彼氏がご飯を作るという設定で構成をしていたのですが・・・。制作を進めている最中に新型コロナウイルスが流行の兆しを見せ始めて、海外ではロックダウンが始まり、日本でも新型コロナウイルスへの注意を促すニュースが流れ始めていました。
このまま「風邪で寝込んでいる彼女」という設定でコンテンツを配信してしまうと、視聴者の不安感や恐怖心を煽ってしまう可能性があると考え、急遽撮影の2日前に「風邪で寝込んでいる彼女」から「仕事で疲れている彼女」という脚本に変更しました。
かなりイレギュラーではありましたが、海外の感染状況や新型コロナウイルスの危険性などまだ不明な点も多かった時期にメンバーでしっかりリサーチし、クライアント・キャストに説明することで、直前の変更に納得いただきました。
※感染症対策のため、撮影前後に出演者の体温管理を実施。また当日はアルコール消毒・換気を徹底し、撮影を行いました。

本多:
結果的に生活シーンへの共感を集め、SNS上ではポジティブなコメントが多く寄せれていましたね!

あくまで中立の立場で共感を促す

本多:
大手化学メーカーが“生理は個性”と捉えたメッセージの発信した事例も紹介されていましたよね。この事例に関して、どう思いますか?

大手化学メーカーがオープンしたスペシャルサイトにて、“生理は個性”と表現したメッセージと動画を掲載。企業の問題をメンタルの問題にすりかえるといいのか、疾病を見逃す可能性があるのでは?と炎上。それを受け、メーカー側はサイト・動画を削除

森:
受け手に対する一方的なメッセージの押し付けにならないようにする、というのは表現モラルにおいて、かなり大事な要素になってくると思います。
ローンチ前なので詳しくは紹介できないのですが、現在ある病気を元にしたショートムービーを制作しており、あくまで中立の立場で患者さんと視聴者の双方が共感できる内容にする、ということを心掛けています。なので、視聴者に「この病気はこういう症状がある。だから理解して、患者さんにはこう接するべきだ」など一方的なメッセージを押し付けるのではなく、患者さんとの向き合い方を提案を促すような構成にすることを意識しながら、制作していこうと思います。

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最後に

本多:
では最後に!今後、どのように表現モラルと向き合っていくべきだと思いますか?

森:
やはり、自分を疑い続けるというのは強く持ち続けるべきだなと思います。そしてコンテンツのトピックになる情報のリサーチを徹底し、メッセージや描き方が一方的な押し付けになっていないか、受け手が共感できる内容になっているか、正しい判断ができるようにメンバーと一緒に知見をアップデートしていきたいですね。

ポイントを再度おさらい
・常に自分を疑い続ける
・情報の理解を徹底的に深める
・中立な立場で受け手の捉え方を考える

本多:
会社としても勉強会など定期的に行っていきたいですよね!

森:
本当にそう思います。「THE CREATIVE ACADEMY」の講義は改めてとても勉強になった良い機会でした。視聴者がシェアしたくなるスマートコンテンツを企画・制作している組織として、広告の表現モラルへの意識は確実に必要ですし、制作・演出メンバーだけでなく、セールス・マーケティング・コーポレートなど全メンバーで知識を共有し、さらには価値観を共有していくことが大事だと改めて感じました。社内でも今回のような勉強会は定期的にやっていきたいですね。