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DATASaber信者の落ちる罠

今回は私がBIツール、Tableauのトレーニングプログラム DATASaber(DATASaberBridge)受講中にやってしまった失敗を書いていきます。

Tableauの技術を高めるトレーニングプログラムDATASaberでは、Tableauの操作技術を学ぶだけでなく、データドリブンな考え方や組織への浸透や運用等様々なことを学ぶもので、認定を受けるには学科試験だけではなく、社内への啓蒙活動などのような活動を行う必要があります。
その啓蒙活動を行うにあたり、社内メンバーに対して、私の提案が空回りして伝わらないことがあったので、今回はそれを書いていきたいと思います。
簡単に何が起こったか言うと、DATASaberの中で学んだことを社内メンバーに広めようと教育資料作ったら、教育担当者へのレビューの一発目で(ぼこぼこに)否定されたということです。

私は当時、社内にBIを推進する立場におり、チーム内への関連情報の提供はもちろん、半年に一度、DXに関心のある社員を100名規模で集めて、BI利活用ウェビナーを開催しておりました。主催担当メンバー一同に、Tableau初心者ユーザを受講対象とする「Tableauお役立ち情報セミナー」という題名でDATASaberで学んだことを盛り込んで発表しようとドラフトを公開したところ、主催者メンバーに全否定され、まぁ、冷静に考えればそうだね、と方向転換をした話を今回はぼちぼち書いていきます。
 

そもそも私がDATASaberにチャレンジしたのは、今までだらだらと使ってきたTableauを改めて使いこなせるようになりたい、Tableauを深く理解したいというモチベーションであり、それが満たされることで満足していました。
独学でだらだら2年以上いじってたTableauも、きっちり仕組みから学ぶとこうも使いこなせるのか、と感動し、初心者向けTableau活用術みたいなものを書き上げたのですが、社内メンバーには「そんなのいらんやろ」みたいな感じになって盛大にこけてしまいました。
Tableauの表示を高速にするため、そもそもTableauのバックグラウンドではどのような順でサーバとの処理が行われているか説明し、それを踏まえ、このような処理をすると、高速にダッシュボードを表示させるぞ、みたいな話だったのですが、社内のメンバーは、「データを業務に活用する」ことに興味があるのであって、Tableauの仕組みにはまったく興味がないぞ、と言われてしまったのです。初心者=普段エクセルでグラフを作ってる人 への教育としては、Tableauの見えない動きをわざわざ理解させるのはおかしいだろうというまっとうな指摘です。例えるなら、交通安全指導をする人は道路交通法を学んでおくべきではあるが、小学生に対して道路交通法を指導しなくとも彼らの安全を提供するための方法は、もっといい方法がいくらでもあるということです。私の資料は道路交通法の解説のようなスライドであり、道路交通法を理解することで初めて飲酒運転をしなくなるみたいな内容だったのです。

仕組みはどうでもいいから、何をすれば、データが利用できるのか?初心者相手には難しいことは省き、とりあえず何をすれば、外さないレポートができるのか?そういうことを考えるようにしました。
Tableauをツールとして使いこなすことができれば、データを業務に生かすことができますが、データを業務に生かすことはTableauをツールとして使いこなすことではないのです。
最終的には勉強会主催メンバーとともに社内にインプットすべき情報を再度見直し社内ウェビナーへとこぎつけましたので、その時何をどうしたかを以下に書いていきます。
やったのは何を伝えて、何を伝えないかの選別です。大きく三つに分けて取捨選択をしましたので以下の表にまとめました。今回はヴィジュアライゼーション(おもにchoose visual mapping)を教育しようとした場合で記載しています。

知識別教育方針

要約すると、
・Tableauと関係なく別のBIツールでも参考になるような知識は相手の興味に関係なく伝えようとするのがよい
・Tableau固有の仕組みについては、初心者相手には伝えるべきか配慮が必要。
・Tableauの操作そのものは具体的に確認しやすくキャッチ―だけど、何のための操作か考えるように促すべき
という感じです。
忘れてはいけないのは、Tableauを深く理解しなくても、データを見やすく伝えることはできるということです。原理、理由から深く知っておいた方が応用が利くだろうと指摘をする人もいるのかもしれないのですが、理屈を十分に理解できるようになるまで先に進ませないことより、理屈はわからないがその日からデータを見やすくまとめた報告書がかけるようになることの方が組織にとっては重要です。

私の組織のミッションはTableauの技術教育者を増やすことではなく、見やすいレポートに作れる人を増やすことだったのを見落としていました。DATASaberを始めたばかりはいろいろと楽しいのですが、教育者としては、自分が伝えたい楽しさは、それは単なる知識が増えた楽しさなのか?実務的なノウハウを得た楽しさなのか?それを改めて見極めてみてください。

P.S.
実はこのコラム、DATASaber認定直後に7割方書いていたものの1年以上書き上げるのを放置しておりました。単に忙しくてだらだらと後回しにしてしまったんですが、今回頑張って書き切ろうと思ったのは、デジタル庁から出された「ダッシュボードデザインの実践ガイドブック」を見たためです。
非常にシンプルな指示が中心で、学術的には例外もあるようなケースも例外を認めず淡々と最もよいものだけ厳選して書くことで、とりあえず素人は、そんなに難しく考えなくても真似するだけで最短経路を通ってよいレポートが作れるようになれるそんなガイドブックを見て、原理や理屈の浸透よりも、きれいなレポートを作れる一人でも増やすのが大事だったという私の経験に刺さる解になってるなと思い、書き上げてみました。


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