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コロナ危機の最大の被害者は、最も弱い立場にある人々

コロナウイルスと不平等(inequality)の関係を報じた英語ニュースから、いくつかの見出しを先日紹介した。今日はその中のひとつの記事を詳しく紹介したい。

これは、コロナ危機の影響をアメリカで最も受けるのは低所得者層と有色人種の人々であり、何らかの手が打たれない限り社会的不平等はさらに深刻化する、と訴える記事だ。

Every aspect of the coronavirus pandemic exposes America’s devastating inequalities (April 10, 2020)
コロナウイルスのパンデミックはあらゆる面で、アメリカの壊滅的な不平等を暴露した

Overall, the lesson of the pandemic so far is that while the virus itself can infect anyone, those hit hardest by the national and worldwide crisis around it are those who were already hurting — experiencing racism, housing instability, job insecurity, and other ills that disproportionately affect marginalized communities around the country. And many fear that unless policymakers do more to address the disparate impacts of the virus, the result will be a country that’s more unequal than it was before, even long after the pandemic is over.
全体的に見て、これまでのパンデミックの教訓は、ウイルス自体には誰でも感染する可能性があるが、国家・世界規模のこの危機によって最も大きな打撃を受けるのは、人種差別、住居・雇用の不安定性や、国中の阻害されたコミュニティに偏って影響を与えているその他の困難をすでに抱えている人々だ。そして政策立案者たちがウイルスの異質な影響に対処しようとより努力しない限り、パンデミックが過ぎても長期に渡って、以前よりも不平等な国となってしまうことを、多くの人々が恐れている。

以下、記事の内容をいくつか紹介する。

【有色人種への影響】
・初期データによれば、アフリカ系アメリカ人が白人よりもはるかに高い割合で、コロナウイルス感染により病気になったり死亡している。
・ミシガン州では4月9日現在、州の人口の14%を占める黒人が、コロナウイルスによる死亡者の約40%を占めている。
・シカゴ市では4月7日の時点で、感染者の50%、死亡者の68%が黒人となっている。黒人の人口比はわずか30%。
・ニューヨーク市が4月8日に発表したデータによれば、市内の黒人のコロナウイルスによる死亡率は白人の2倍。

【誰もが隔離の余裕があるわけではない】
・スーパーのレジ係、配達労働者、バスの運転手など、リモートワークができない人々が、コロナウイルスによる壊滅的影響をすでに受けている。
・4月8日までに、ニューヨーク市の地下鉄の労働者41人が死亡し、約1,500人が検査で陽性となった。
・こうした最前線で働く労働者には女性が多く、中でもバスの運転、倉庫作業、建物清掃などの業種には有色人種の人々が多い。また最前線の労働者の約4分の1が低所得者層。

コロナウイルスのパンデミックは、既に存在していた不平等という重大問題を悪化させている。この不平等を是正しない限り、最も弱い立場にある人々がパンデミックの被害を受け続けることになる。

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日本もまた他人事ではない。

コロナ危機によって構造的な格差が日本でも深刻化していることが、望月優大さんによる稲葉剛さんのインタビューを読んでもよく分かる。


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