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人種差別や植民地主義を批判する俳優たちの受賞スピーチ(2020/2の「英語ニュースを読む」講座②)

アカデミー賞授賞式など、映画や音楽分野の授賞式でのスピーチがメディアを賑わすこの時期。著名人による社会・政治的メッセージを込めた発言が、毎年話題になる。

つい先日行われたアカデミー賞が大きく取り上げられているが、こちらは2月2日(現地時間)の英国アカデミー賞(BAFTA Awards)授賞式。
主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスのスピーチが素晴らしかったので、昨日(2/10)の「英語ニュースを読む」講座@富士国際旅行社で紹介した。

(1) Joaquin Phoenix used his BAFTAs speech to call out ‘systemic racism’ (Washington Post)
https://www.washingtonpost.com/arts-entertainment/2020/02/03/joaquin-phoenix-used-his-baftas-speech-call-out-systemic-racism/

彼は冒頭からはっきりと、有色人種を排除する映画界を批判したのだが、それだけにとどまらなかった。これは組織的な人種差別主義(systemic racism)であること、さらに自らもそれに加担しているという自分への戒めも込めたスピーチだった。

"I think that we send a very clear message to people of colour that you're not welcome here."
私達は有色人種の人々に「あなた方は歓迎されてない」という非常にはっきりとしたメッセージを送っていると思います。

"This is not a self-righteous condemnation because I'm ashamed to say that I'm part of the problem."

これは独りよがりの批判ではありません。恥ずかしながら、私もこの問題に加担するひとりだからです。

"I think that it is the obligation of the people that have created and perpetuate and benefit from a system of oppression to be the ones that dismantle it. So that’s on us."
抑圧のシステムを解体する者となることが、このシステムを作り、永続させ、利益を得てきた人間の義務だと思います。私達に課せられた義務なのです。
(スピーチの全文はBAFTAのサイトに掲載されている)


(2) Taika Waititi jokes about Britain's colonial history as Jojo Rabbit wins a Bafta (the Guardian)

さらに、脚色賞を受賞したニュージーランドのタイカ・ワイティティは、スピーチ冒頭で「植民地から来た」と発言。イギリスによる母国の植民地支配についての冗談を交えたコメントで笑いを誘った。

スピーチの全文はこちら


こうしたスピーチを聞くことは、今起きている問題や社会状況を理解するきっかけになったり、生きた英語の勉強にもなる。

また、一流のアーティストたちがこのような舞台で、自分の考えを分かりやすく・スマートに・情熱的に・またはウィットを交えながら表明する光景に、私はいつも胸を打たれる。残念なことに、日本ではなかなか目にする機会がない光景だ。


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