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原優二のコロナ奮闘記vol.17 さあ、次は海外旅行再開へ 22SEP.

2020.09.22 18:00

新政権が誕生した。「仕事をしたい」という言葉通り、解散・総選挙で政治的な空白を作らず、実効性のある仕事をしてくれるものと期待したい。デジタル庁創設も急務ではあるが、私たちの注目は何といってもコロナ対策だ。経済を回しながら感染拡大防止にも成功し、オリンピック・パラリンピックを無事にやり切れば、菅義偉首相にとっても長期政権への道が開けてくる。

安倍前首相が残した宿題である1日20万件の検査態勢拡充に関しては、6年ぶりに再任された田村憲久厚生労働相自らが、各地の事情に合わせて10月中に調整し、11月のインフルエンザ流行に間に合うよう抗原検査キットを使って整えたいと表明している。現在は1日6万件強だから3倍以上に増やさなくてはならない。

1日20万件というのはインフルエンザの例年の検査数とほぼ同じだそうだ。症状が紛らわしく両方の検査が必須なら、この数字は絶対にクリアする必要がある。今回は抗原検査キットを提供するメーカーともすでに協議ができており、単なる目標値ではないと推察している。国内の感染をどう収めるかは海外旅行再開の必須条件にもなる。ぜひ実現してもらいたい。

組閣早々、菅首相は田村厚労相に、受診者の自己負担となる自由診療の検査費用を安くするよう指示した。1日20万件の検査は感染症法に基づく検査で自己負担はない。狙いは治療であり感染者を見つけるためのスクリーニングだ。一方、自由診療の検査は、現在はスポーツ選手や企業活動、海外渡航におけるレジデンストラックやビジネストラックで求められる陰性証明書に使われるが、各方面から経済活動の維持・拡大のために使いたいという要望が上がっている。しかし、現在は4万円ほどとかなり高額だ。

多くのご指摘の通り、検査は何回も繰り返し受けないと意味が薄い。政府の補助なども入れて低廉化すれば、いつでも、だれでも、何回でも検査を受けられるようになる。それが、「ワンコインでいつでも検査」プロジェクトが意図するところだ。田村厚労相は、海外に比べて値段はどうなのか、高いならなぜ高いのかを調査し対応したいと述べている。ぜひ早急に進めてもらいたい。

GoToが軌道に乗り出したいま、次は海外旅行という期待感が高まっている。観光や短期出張のための海外旅行再開に関しては、PCR検査もさることながら14日間の自主隔離が大きなネックになっているのは明らかだ。では、どうすれば14日の自主隔離をなくせるのか。

9月16日、ハワイ州のイゲ知事は、10月15日以降にハワイ州へ来島する訪問者は、出発前に新型コロナウイルス感染症の核酸増幅検査(PCR検査を含む)を行い、陰性であることの証明を提示すれば14日間の自己隔離を免除すると発表した。ただし、到着時の検温並びにハワイ州トラベル&ヘルスフォームへの記入が必須。また、事前検査は米食品医薬品局により承認されているPCR検査を含む核酸増幅検査のみ(ハワイ州観光局HPより)。

日本の検査がこれに該当するか私には分からないが、14日間の隔離をなくすことと陰性証明はセットということだ。もちろん、日本政府がハワイから帰国した際に検査して陰性ならば、誓約書等を提出させる等の方法で14日間の隔離不要という措置を取ってくれないと海外旅行は再開されない。現在、オリンピック・パラリンピック開催に向け、選手や大会関係者の入国制限を緩和するアスリートトラックが検討されているが、これもまた検査が前提となる。

感染が収まりつつある現在こそ、検査態勢の一層の拡充を行うチャンスである。経済活動を止めず、海外旅行を再開させるには、空港等の検疫検査もさることながら、自由診療の検査を安くし容易に陰性証明を手に入れられるようにすることが鍵になることは間違いなかろう。

私が発起人代表になっている「ワンコインでいつでも検査」実現プロジェクトで、9月26日にトークイベント「音楽業界・旅行業界のキーパーソンが語る Withコロナ時代の羅針盤」を、都内の会場と全国とをオンラインでつないで開催する。詳細はこちら

原 優二
風の旅行社代表取締役社長。1956年生まれ。東京都職員、アクロス・トラベラーズ・ビューローなどを経て、91年に風の旅行社を設立し現職。2012年からJATA理事、16年から旅行産業経営塾塾長を務める。

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