【詩】 半透明
東京は海に打たれながら
少しずつ小さくなっているって話
本当のところはわからないけれど
あなたもわたしも
知っている景色はもう随分少なくなってしまったね
別れを惜しむ間もなく切り替わっていく街の色は
誰のものでもないようで 誰かのものなのかもしれない
わたしの手紙を喜んでくれたのはあなただけだったから
いつも星を切って貼り付けて 心踊るままに書いていた
今 沈みゆく風景に
もう半分くらいは透けてしまった街並みに
あなたの暮らした日々を思い描いています
わたしの知らない東京をあなたは知っていました
わたしの知らない あなたの
変わったのはわたしも同じです
拝啓 お元気ですか
その先が書けなくなってしまった
透け切らない心がひたひたと海に溶け出していった
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