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宇宙共通語(短編小説21)

e,,,o,,aia,,,,

eo,aia,,,,

aiaeo

耳を澄ませれば、聞こえるはずのない母音が世界中に響いていて、
葵は、聴覚とはまた別の知覚を使い、聞こえない音を聴いていた。

人は、何かの話し声、特に、言葉が聞こえないときは「無音」だと思い込みやすい。だが実際はしーんとしてるときも、いろんな音が鳴っている。

aiaeo

母音で聞こえるその音は「あいあえお」だ。通常なら母音は「あいうえお」だから、「う」が「あ」になっている。いったいこれは何なのか、葵にはいまいち読み解けない。

「ねえねえ、これ、何だと思う?」

小さい頃から一日中、眠そうにしている幼馴染の真の家に突撃し、葵は尋ねる。

今日も相変わらず眠そうな真は、最早、それが通常モードで、ちゃんと起きている、ということなのだと思う。それを証拠に眠そうなのに彼の頭はいつも冴えていて、何か聞いたら参考になるアイディアをよく手渡してくれる。

「んー、暗号じゃない?」

「え、暗号?」

「地球の外からコンタクトを取りたい存在がいるんだと思う。それ、数字にしてみたら?数字は宇宙共通語だから」

真はそう言って、数字とアルファベットの変換表をネットで検索してくれる。
その表に従って、あいあえおを数値化してみると

「19156、、?」

それでも、やっぱりよくわからない。だけどなんとなく葵は、全部足してみればいい気がして、実際に足してみると、「22」になった。そういえば、音が聞こえてきたとき「191」と「56」に分かれていたのを思い出す。どちらも足してみると「11」になる。じゃあ、11+11で22、ということか。

、、、。

「うー!これでもわからないよー!」

葵はそう叫んでゴロンと横になり、真の部屋の狭い窓から空を見上げる。この空の向こうに,誰がいるのだろうか。

「何か伝えてきてくれてる宇宙人さん?がいるなら、もうちょっとわかりやすい暗号お願い」

そう呟く葵の横で、真には大きな大天使が空を舞っているかのように感じていた。

おしまい

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