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2023年7月の記事一覧

ハンチバック 市川沙央 感想(追記あり)

刺激に満ちていて面白く、一気に読んだ。小説に限らず、現代の芸術芸能エンタメ作品は、作者の…

牧場の猫
1年前
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乳と卵 川上未映子 感想

138回芥川賞受賞作。まずこの選考会の石原慎太郎氏の選評を晒しておきたい。 文字通り受け取…

牧場の猫
1年前
4

ミート・ザ・ビート 羽田圭介 感想

どこが面白くないのかを考えていくと、小説とはなんだろうという疑問にたどり着く。まずは芥川…

牧場の猫
1年前
5

もっと悪い妻 桐野夏生 感想

勘違いによるシュールなコントやズレ漫才というものは、登場人物の思い込みが、噛み合わないコ…

牧場の猫
1年前
7

光のとこにいてね 一穂ミチ 感想

去年の直木賞候補作だから試しに読んでみようというくらいのつもりだった。しかしこれが読ませ…

牧場の猫
1年前
10

ヘヴン 川上未映子 感想

この著者の本を初めて手に取った。「未」の字を持つ作家の名前が好きだ。 まずは技法上の特徴…

牧場の猫
1年前
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ガーンズバック変換 陸 秋槎 感想

北京出身の若手ミステリ作家によるSF短編集。雰囲気も長さも異なる8編が並ぶが、「物語」や「言語」を扱った作品が多く、洒落や風刺が効いている。どれもそれぞれに良さがあり、著者の博識を感じさせるが、それだけに趣味性も強くマニアックであるともいえる。 一番のお気に入りは『色のない緑』。2060年代の近未来、主人公のジュディは小説の翻訳者だが、この時代では実作業はAIが行なっており、彼女はその出力された文章を「脚色」するのが仕事だ。ある日、友人のエマから連絡があり、共通の友人、モニ