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健康診断という不健康な話(3)バリバリだぜ

前回は、「公衆の場での着替えってすごい恥ずかしいよ」という
センシティブかつデリケートな社会問題に切り込んだ記事でした。
(センシティブもデリケートも同じ意味やないかい)

健康診断という不健康な話(2)羞恥心とは
https://note.com/one1/n/nf21d6d9f25e4


■3.バリウム
さて、今年はバリウムに初挑戦です。

健康診断でバリウムを飲むことは知ってました。
聞くところによると
「おいしくない液体を飲まされ、
ゲップ(失礼、ゲップもとい「曖気」というらしいのでそれ)を
全力でガマンしながら、身体をぐるんぐるん回される」
という罰ゲームのような検査だと。

もうそんなん、怖いイメージしかないでしょ。
とはいえ「いやだいやだ」と思う一方、
「まあ、35歳まではセーフ」とか
「バリウム飲むときはもう、おっさん」
「つか35のおっさんは、それぐらいハードな検査が必要だ。ざまみ」
と、むしろ他人の不幸は蜜の味的な。

そんなこんなで、ついに自分にお鉢が回ってきたわけで。

ここで唐突に「健診の不安ランキング」を発表しますが
前日の検便が第2位で、このバリウムが第1位。
ぶっちぎり。

だってもう10年近く
「バリウムこえー」ていう蓄積があったからね。
セルフで刷り込みされちゃってるわけ。

「パクチーっておいしくないけど、人気らしい」
みたいなこと聞かされちゃって、食べたことないのに
「パクチーっておいしくないんだ」
と思っちゃって、実際に初めて食べるときも
「パクチーっておいしくないんでしょ……うわあ」
ていうマイナスイメージから入っちゃうのが
ときに損をする可能性もあるわけで。

まその話はいいか。
で、バリウムはある種の覚悟をして臨んだわけさ。


よりによって、健診の1発目。
いや普通、身長体重とか
軽いものからやって「ドン!」ていうのが
オーソドックスなドラマの筋書きでしょうよ。

何につけてもそうよ。
古今東西、起承転結という構成があってこそ
物語は盛り上がるわけじゃない。

いやいや、そんな古典的かつ王道の使い古された構成は時代遅れ。
手垢のついた展開の線で先が読めてしまう。
もうこの手法は、もはや子供騙し。

あらゆるスピード感が桁違いの現代社会において、
先にクライマックスを持ってくるのが主流なんだよ。
マンガだってそうでしょ。
映えのするページを先出ししたり。
流行りのミュージシャンだってそうでしょ。
先にキャッチーなサビを持ってきたり。

みたいなことを思いながら自分を納得させて、
いざバリウムの検査室へ。


で「いきなりきたか……!」と動揺してるから
説明されてんのによく入ってこない。
なんとなく事前に知っていたのは、

バリウム飲む

ゲップ(曖気)を我慢する

身体をぐるんぐるん回される

というプロセス。
この3つと真摯に向き合い
一つひとつをクリアしていけば良いのね、
と思っていたら渡されたのが3つのアイテム。

・何らかの液体A
・何らかの薬
・何らかの液体B

話が違う!
バリウムてどれだよ!
てもう、超動揺。

♫超超超、超動揺。
♫超超超超、超動揺。
つって。

普通に考えたら「何らかの液体A」はただの水ってわかるんだけど
「モーニング娘か!わしゃ35のおっさんじゃ!アフタぬ〜ん中年じゃ!」
てぐらい超動揺してるわけだからテンパっちゃってさ。

だがしかし。ここでガタガタわめくほど僕は幼稚ではないよ。
なぜなら「囚人」だから。
すべての主導権をクリニックに握られ、
成されるがままの「囚人」なので。(※前回記事を参照)

検査士(?)だかのやさしそうな爽やかお兄さんに
もっかい最初から説明してもらって、何らかの薬を飲む。
で、瞬時に何らかの液体Aを飲む。

そこでこみ上げてくるゲップもとい曖気。
「あ、こういうことか……!」みたいな
感心するのは一瞬だけ。
猛烈。激烈。苛烈。
これらは似てるけど、強度としてはどの順番?
とかどうでも良いことが頭をよぎる。

いやいやもう、それどころじゃない。
人前でゲップもとい曖気するなんて、羞恥の極みだから。
その恥ずかしさといったら、着替えの比じゃない。

ゲップで逮捕される国もあるらしいじゃない。
とはいえ、こちとらすでに囚人だけどな!
(※前回記事を参照。てしつこいかごめんね)
とか思いながら。
あとから調べたら逮捕された例なんてなかった。なにこれ。


で、なんとか我慢してゲップを抑えることに成功。
気分は囚人から聖人へ。
そのまま回転するベッドにもたれかかる。
「では、身体を左を傾けてください」
とかお兄さんに指示されるもんだから、
肉体的自由も奪われて、いよいよ本格的な囚人だよね。
(※前回記事を参照。あえてしつこくしてみましたごめんね)

せめてもの抵抗をしようと思って目線だけは身体の逆の方に向ける。
もはやアホ面。

で、ベッドが動きはじめて、ぐるんぐるんするわけさ。
「こ、これがバリウムの第二段階……!フリーザもセルも魔人ブウも変身するごとに強くなっていったから、辛いのはここからか!」
とか思って。

しかしながら、予想していたほどに回転が激しいわけでもなかったので、ひと安心。
いや、どんなアトラクションを想像してたんだよ、て話だけど
ぶっちゃけ『タイムショック』だっけ、
クイズ番組で回答者が間違えるとイスがぐるんぐるん回るやつぐらいを
想像してたからね。

そんなこんなで、以外と頭は冷静だった。

回されながら思ったね。
わしゃキリストか。

画像1


つって画像あげたそばからセルフでいうのもあれだけど、
これぜんぜんキリストじゃないみたいね。
『ウィトルウィウス的人体図』だとさ。
なんだよそれ。
語感ちょっぴりメルヘンじゃん。

てっきりキリストかと思ってたよ。
よく考えたらなんでキリストが無表情で
手足バタバタさせてんだよ。

なんなん、さっきから。
ゲップで逮捕されるなんてこともなかったし。
勘違いというか、刷り込みばっかじゃん。


俺の人生かよ。

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