ガーン!

父親の胃がんが発覚した。
母親が病院に付き添って、宣告された。
正直、あまり驚きもなく悲しさもない。
今年に入って、食欲がなくなりみるみる痩せていった。
どこか悪いんだろうなと思ってたけど、ヤブ医者の言うことを鵜呑みにしてちゃんと検査をしていなかった。
たまたまなのか、主治医以外に診察されたときに診てもらい発覚した。

うちの父親は悪い意味で昔の人間なので、家族の言うことなど聞かない。自分が一番偉い。
COVID-19が流行したときも「主治医が打たなくていいと言った」と言い張って、ワクチン接種しなかった。
天皇陛下が打っても、アメリカ大統領が打っても、ローマ法王が打っても、家族全員が打っても、自分の意見は曲げない。
主治医が何と言ったか、本当のところはわからない。
その結果感染して肺炎を起こした。
家族や甥っ子に感染してたらブチ切れるところだったけど、幸い誰も症状が出なかった。
ここで完全に父を見限った。

胃カメラの画像を見る限り、外科的治療は不可能らしい。
それぐらい進行し、転移もしてるということ。
もう何年も生きられないだろう。

ゴルフ以外に大した趣味もなく、友人もそれほどおらず、子供や孫にも減らず口を叩くので嫌われる。寂しい老後だと思う。
それも自分が招いた結果なので仕方ない。

父は家庭を顧みない人だ。
浮気してる、とか暴力を振るう、とかそういうことではない。
ただ給料の半分を小遣いに持っていき、自分は趣味や遊びに金を使う。母が趣味にお金を使ったり、新しい服を買っているところを見たことがない。
覚えているのは一枚何銭の内職をしていたことだけだ。
朝ごはん、父は5枚切りの食パンを食べていた。母は倹約のために安値で探してきたパンの耳を食べていた。
父は「母はパンの耳が好きなんだ」と言い放った。人の心がない人間だった。
貯金や金の管理が出来ず、母が必死でパートで穴埋めしていた。
貧しかった母は、子供には同じような惨めさを味わわせたくなかったのだ。
経済的なDVは確実にあったし、それを反省したり謝罪したりすることはなかった。

母も何度も離婚を考えていた。
自分も援助するから、と離婚を勧めたこともあった。
でも結局離婚はしなかった。
文句しか言っていなかったが、情もあって見捨てられなかったんだろうと思う。
自分は見捨ててしまえばいいと思っていた。
実際、母が愛想を尽かせて数週間家を出たことがあった。
自分は仕事なので平日はほぼ家にいない。
父は米の炊き方も洗濯機の使い方も風呂掃除のやり方も知らなかった。
母がいない間はカードを使ってスーパーで好きなものを買って食べていた。
母がいない数週間、自分の家事が増え、家の口座の残高が減っただけだった。

話は戻って、癌の治療のこと。
外科的治療が無理なので、後は抗がん剤で痛みを和らげるぐらいしかないらしい。
妹夫婦はヤブ医者に話を聞きに行こうと思ってるようだけど、自分は興味がない。
おそらくヤブ医者なのは間違いないんだろうけど、病院を選ぶのも、医師を選ぶのも本人の責任だ。
今まで色々言ったこともあるけど、全く聞き入れることはなく、むしろ逆ギレされるだけだった。
だからある時期から何も言わなくなった。
仕方のないことだと思う。

抗がん剤なり、他の治療なり保険適用の範囲なら協力したいと思うけど、正直あまり無理してほしくない。
痛みに耐えて必死に命を繋いだところで、この先に何があるとも思えない。

また今週病院に行くから進展があるかもしれない。
とりあえず、自分は覚悟している。


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