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【私の介助は口文字に始まり口文字に終わる❗️どういうこと⁉️】

最近学生さんが見学に来る機会があります。
私はALS患者です。つまりは障害者です。障害者宅へ見学というとあたかも医療ケアなどを見ると想像するかも知れません。しかし、私の介助の要はなんと言っても口文字、つまり私とおしゃべりすることなのです。おしゃべりが介助?と首を傾げる人も多いと思いますが本当にそうなのです。我々人工呼吸器をつけたALS患者は喋ることが出来ず、身体も僅かしか動きません。しかし我々は周りで起こっていることは全て分かっているし、それに対する意思も持っています。

誤解されている方も多いかと思いますが、我が家の全てのケアは私からの発信を受けて行われます。例えば私が口文字で「ご・は・ん」と伝えたら、はじめてヘルパーさんが胃ろうの準備をします。例えば私が口文字で「お・わ・り」と伝えたら、はじめてヘルパーさんがiPadを片付けて就寝ケアに入ります。ヘルパーさんから「そろそろ寝ましょう」ということはなく、全ての生活リズムまで自分で意思決定しています。

ということはいくらケアを覚えたとしても、私とおしゃべり=私の意思確認、出来ない限り私の介助者は務まらないということです。裏を返せばケアに多少不安があったとしても、口文字さえ出来れば私にどうすればいいか聞けばいいのです。

私は口文字コミュニケーションですが、ALS患者の介助は『コミュニケーションに始まり、コミュニケーションに終わる』と私は思います。ちなみに私はこの文章をiPadで書いてます。つまり口文字とiPadという二つの意思伝達手段を持っています。ALS患者さんの中でパソコンやiPadなど機械のみのコミュニケーション手段しか持たない方は、コミュニケーションに対して大きなリスクを抱えています。何故なら機械は故障リスクがあり、災害時に停電したら一瞬にしてコミュニケーション手段を失います。

それに比べて口文字や文字盤という原始的手段は、どんな状況下でもコミュニケーションを取ることが出来ます。ハイテクとローテクの併用がリスク分散になります。

というわけで、最初にヘルパーさんに説明してもらい、実際に口文字をやってみてもらいますが、私は閃きました!それは学生さんに私役をやってもらい、ヘルパーさんと口文字のデモをしてもらうことです。私=患者側としての口文字の苦労を予め知ってもらった上で、共に練習して阿吽の呼吸を目指すこととしました。

ちなみにALS患者さんが『口文字なんて難しいこと私には出来ない!』と言われていると見聞きしますが、これは練習による慣れです。私も決して最初からスムーズに出来たわけではありません。英語の出来る人は頭の中で日本語に訳さず英語で考えると言われます。それと同じで口文字をやり続けると『口文字脳』が形成されて、次の文字の母音が何なんて考えなくても文に出来るようになります。

人間の適応能力は無限大です❗️

恩田聖敬

★口文字コミュニケーション動画
https://youtu.be/6aV5cov2_fs

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