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【ダイナゼノン考察】南夢芽の話(知恵の輪,奇行)

今回はアニメ『SSSS.DYNAZENON』のヒロイン南夢芽ゆめさんのあれこれです.本記事全体で彼女の姉と知恵の輪,物語序盤の奇行を取り上げ,最後に劇場総集編に触れたいと思います(ネタバレ有り).

彼女はメインスタッフのお一人,中村真由美さんをして六花(前作ヒロイン)とは仲良くなさそうと言わしめるマイペースな癖癖人物です(特典ブックレット(以下「B」と略記)2巻79頁)(※).多くの方も彼女について同様の印象かと思います.

この記事を読み終わった後もおそらくそのイメージは変わりませんが(!),本記事を通じて皆さんの中の南夢芽に変化が起きることを期待しています.

※もっとも最新作『グリッドマン ユニバース』収録後,夢芽役の若山詩音さんによれば,台本をもらう前は夢芽が「「六花と話せるかな?」「人間性が合うかな?」と疑問だったんですが,いざ話しているシーンを見たら,意外と仲良くなれるかもしれないなと.六花が優しくて,コミュ力が高くて,心が広いこともありますが,夢芽も明るくなって,意外とスムーズに話せた気がします」とのことです(『アニメージュ』2023年4月号(538号)78頁).


1.名前の由来

まず監督の雨宮さんが自身で指摘されていますが,主要人物の名前は故事成語に由来しています(宇宙船75頁.下記動画が手短にまとめています).

夢芽の場合「南柯なんかの夢」に由来しており,世の中は夢のようにはかないというものです.

彼女のキャラクターソング「夢現.GREEN DAYS」(作詞・作曲:矢野達也)の歌詞にも,

走り出した夢の中で
懐かしい人に出会う
色あせてく記憶が泡になっても
忘れられない人に

といったように泡沫夢幻,つまり人生の儚さのニュアンスが差し込まれています.ちなみに歌詞の「懐かしい人…忘れられない人」とは先ほどの「南柯の夢」→Kano →香乃(姉)を指します.姉妹で同じ故事成語に由来しているのですが,このことはまた後で触れます.



2.デザインモチーフ

次に,主要人物のデザインの由来です.それぞれモチーフが設定されており,夢芽の場合は「幽霊」です.

彼女のリュックにぶら下がっているのは画像右の「うーさー」です.よく見ると夢芽のうーさーには脚がありません.幽霊.

うーさーとは『うーさーとその日暮らし』(ウェブ漫画.のちにアニメ化)のキャラクター.作者の宇佐義大よしきさんはダイナゼノンの制作を手掛けるTRIGGERの副社長で本作にも携わっています.このつながりで前作から度々登場してます.

他にも次のようなものがあります.まずは前髪のハイライトが幽霊の典型的なアイコン,三角頭巾の形になっています.

文化祭の仮装もこの流れでしょう.

蓬の仮装については記事の最後で

幽霊である意味は彼女が亡くなった姉に縛られていることに因んでいると思われます.ちなみに姉・香乃のデザインも前髪のハイライトが一緒なので(下の画像),同じく幽霊がモチーフです.

どうして姉妹で同じなのか.夢芽の初期デザインが本編の香乃だったこと(宇宙船79頁)に関係しそうですが,ここでは名前の由来が同じ故事成語であることに合わせたと考えたいです.




3.香乃と知恵の輪

前置きが長くてあれですが要するに姉・香乃の話に移りたい.本編で夢芽が持ち歩く知恵の輪は香乃の遺品でした.

(1)アンク

まず知恵の輪のデザインですが,アンクというエジプト十字(☥)2つで構成されています.このアンクは香乃のリュックにもマークがあったので,彼女に対して何か意味を持たせているようです.

アンクは古代エジプト語で「生命」を意味します(後掲・オリエント事典334頁).

おそらく「死」とは逆のイメージを持たせることで,彼女の死が自殺ではないことを暗示していたのかもしれません.

・小ネタ①
キャラデザのモチーフについて.本作企画段階の副題が「絶滅王ダイナゼノン」であり,絶滅したものや失われたものをデザインのテーマに組み込みたいという監督の意図を汲んだとのこと(坂本発言.B2-72頁).したがって随所に「死」「不吉なもの」や(坂本談),絶滅した生き物が採り入れられています(宮島談.B2-101).先ほどの夢芽然り.アンクについても"今は失われた"古代エジプト文明ということかと思います.

その一方でアンクも「死」のモチーフから採用されているという説明があります.アンクには「死者復活の力があると信じられている」という(ヒロインアーカイブ23頁).もっともアンクについては意味が「生命」であること以外よくわかっておらず,この理解は俗説に近いです.某カードゲーム遊○王の「死者蘇生」に引っ張られすぎな気がしますが,公式が俗説を採用していている可能性もまた否定できないといったところです.真相はいかに.


(2)知恵の輪

次に知恵の輪です.

・小ネタ②
厳密に言えばこれは知恵の輪ではないとスタッフ自身によってツッコまれています.外れそうにないからです.本編第10回で解けましたがこれは怪獣の力によるとのこと(以上,B4-158~159).

知恵の輪は英語で disentanglement puzzle といいます.英語に注目したのは次の画像のためです.

香乃の左手首のアクセサリーにパズルのピースが確認できます.これを装着させた意味を考えてみると,英語の知恵の輪disentanglement puzzleと"puzzle"で共通点が見られます.ここに注目して欲しいのでは,という気がしてきます.

とはいえ自信はありません.というのも,通常パズルのピースは通常"問題の鍵"と理解できるもので,香乃が夢芽にとって重要人物(キー・パーソン)だから着けていると考えられるからです.ちなみに姉の当時の彼氏・双葉先輩も同じ物を着けています.これは彼が香乃にとって頼るべき人,キー・パーソンという意味でしょう.カップルでお揃いのものを身につける仕草に夢芽を含めたそれぞれの関係性を忍ばせており小技が光ります.

さてそれはそれとして,この"disentangle"の意味は,ほつれたりからまったものをほぐす,解くというものです.これを夢芽に所持させることで,彼女のからまった心理状態を表現していたと理解できます.からまることについては次の言葉を思い出します.

シズム「君たちはそうやって無自覚に自由を失い,やがて自分自身を縛っていくんだ」

最終回「託されたものって,なに」

夢芽にとって香乃は自由を失う縛り,すなわち「かけがいのない不自由」だったのかもしれません.


(3)香乃の不自由と夢芽の器用

さて知恵の輪が心理的なもつれということならば,元々知恵の輪を持っていた香乃にもからまりがあったということになります.この点,彼女の言葉を聞きましょう.

香乃「そうやってすぐ合わす.夢芽はちゃんと相手に合わせられるんだよ」
夢芽「そんなこと,ない」
香乃「だからうらやましかった.私は夢芽に憧れてたんだ.だから距離つくっちゃった.私も変わろうって高校で部活に入っていろいろ頑張ってみた.空回りもしてたかもしれなけど,双葉先輩は私にやさしかったんだよ」

第10回

このシーンでは姉の秘密,すなわち妹への嫉妬が明らかにされました.嫉妬の前提として香乃に人間関係のコンプレックスがあったことがうかがえます.

理解を深めるためにスタッフの方々の話を聞いてみます.長いですが引用します.

宮島:僕,この話数〔第10回:引用者注〕で1番引っかかったのって,香乃が夢芽に何を嫉妬したのかというところなんですよね.実際だったら,姉より出来る妹という部分かなって.
雨宮:「(妹には)舐められたくない」みたいな.
宮島:でも当時で考えると,高校生のお姉ちゃんが小学生の女の子にめちゃ嫉妬してるってことになるので,その感情がなかなかわからないなって.
雨宮:同性の兄弟とか姉妹だとそういうのがあるのかなと.
志太:どうなんですかね.人に頼ったりとか,うまく人と関係を結べるのは夢芽なんですよね.
雨宮:そうそう.夢芽のほうが実は器用なんです.
志太:最初のほう,夢芽も結構不器用な感じで描かれてましたけど,実は香乃のほうが生き方としては苦しい.
雨宮:そう.無理している姉が良いなと.「私,できてますよ」って言ってるけど,後から生まれたほうが上手くやってる感じを出したかった.
〔引用者注:宮島善博さんは本作助監督,志太駿介さんは本作アニメーションプロデューサー〕.

B4-158

正直なところ,本編視聴時は姉の嫉妬と言われてもピンときませんでした.また,夢芽が対人関係で(姉より)器用だったと知り逆に混乱しました.

なぜなら,彼女は「特定の友達としか上手くやれないタイプ」(キャラ設定のメモ書き)といったように一般的に器用と言われるタイプではないからです.

とはいえあらためて考えてみると,"姉よりも"を強調することで,つまりあくまで姉との関係で器用だったことに焦点を絞ればわかり易いかもしれません.ここでは明るく誰とでも親しくできる=人間関係器用といった理解は傍に置く必要があるでしょう.

話を香乃に戻すと,対人関係のコンプレックスと妹への嫉妬という2点で苦しんでいたことの意味が知恵の輪には込められていたと理解したいと思います.

では夢芽が器用だった点について本編の続きです.

夢芽「だったら,もっと頼ればよかったのに」
香乃「でもやっぱり迷惑かけたくなくて,無理しちゃったのかもしれない」

香乃「夢芽はちゃんと人を頼りなよ」
夢芽「それは最近わかった気がする」
香乃「そっか.やっぱり少し羨ましいな」

第10回

このように夢芽は自然に蓬を頼っていた.姉に比べて夢芽のそういうところは昔からだったのでしょう.姉と異なり頼るべき人にしっかり頼ることのできる.ここに夢芽が器用だった点が読み取れます.

脱線します.
・「人を頼ることの難しさ」
人とのコミュニケーションを取り上げた作品は多くあれど,具体的に「人を頼る」こと,それをコミュニケーション技術として得手不得手の観点から捉え,注目したものはそう多くはないと思われ,個人的には興味深いです.本編で掘り下げられることはありませんでしたが,尺もないだろうし話も重くなりそうですし仕方ないところでしょう.

・夢芽の分かりにくさの原因
上述の夢芽の分かりにくさの理由の1つは制作過程に垣間見られます.どういうことかというと,実はもともと稲本さんにあった設定が途中で夢芽に合流したということが各所で言及されています(例えばヒロイン68頁〔雨宮〕).当初は蓬が憧れていたバイト先の稲本さんが実は性悪で蓬に待ちぼうけさせたそうです.登場シーンの少ない彼女に待ちぼうけで溜まったヘイトを浄化することは難しいということで,この役割が夢芽に変更になります.結果,序盤で夢芽は人間関係トラブル続きとなってしまい,対人関係器用と言われてもピンとこない素地ができてしまったのでは,という気がします.ちょっとした予期せぬ事故で仕方ないところではあります.




4.知恵の輪と南姉妹

さて,知恵の輪について2つの側面から,すなわち知恵の輪の要素とアンク(生命)の要素から香乃を論じました.ここからは妹・夢芽に絡めていきたいと思います.多少記述が重複します.

(1)disentanglement puzzle 要素

知恵の輪の"からまり要素"ですが,香乃については彼女がコンプレックスに縛られており,そのほつれを暗示するアイテムだった.香乃が当時夢芽に触らせなかったのは嫉妬もそうですが,夢芽が人間関係で縛られていなかったことの表れでだった.対して回想の夢芽は笑顔いっぱい=悩みのない描かれ方をしていました.

知恵の輪が夢芽に渡ると,今度は嫌われてると思っていた姉から急に発表会に招待されたという理解できない姉の変化に捕われたこと,さらにはそれを解く物語がこれから開始することを暗示するアイテムとなります.


(2)アンク要素

続いて,知恵の輪の2つのアンク=2つの生命に注目すれば,これが香乃と夢芽を表していると考えることもできます.

すなわち,2つが絡まって外れないことは,2人がからまってほどけない状態を表しています.姉は妹への嫉妬.妹は姉の不可解な行動によって互いに縛られたというように.

もっとも,2つのアンクが離れないことは2人の姉妹としてのつながりをも意味するでしょう.具体的には,第10回で過去に戻った夢芽は姉の真意を知り,解放されます.その際,知恵の輪が解けますが,これは夢芽の悩みが解けたと同時に姉との離別(姉の死)の表現にもなっています.これは知恵の輪が2人のつながりを意味するという理解を前提とします.

背景が割れ過去世界の時が止まり別れの時が来る

この離別について脱線します.第10回で暦と夢芽は怪獣の力によって各自捕らわれていた過去に戻り,過去に干渉しようとします.暦は大量の札束を前にして稲本さんから逃げた過去を,夢芽(&蓬)は姉の自殺を止めに.

干渉の結果,暦は稲本さんについて行っても決して彼女との距離は埋まらないと思い知らされます(この回は急に絵が湯浅政明っぽくなり,特に暦稲本シーンに刺さっていた印象です).対して,夢芽は姉の死という結果は変えられていないにもかかわらず,最後に明るい表情をするので(下記画像)どういうことなんだろうとなります.「自殺とか事故とか関係なく」「香乃に死んで欲しくないんだ」と言っていたのに随分立ち直り早いなと.ここがモヤモヤの1つ.

もう1つは,脚本だと,夢芽が現実に帰還すると香乃は直前の記憶を失ってまた立ち上がり歌い出すそうですが,本編では「そのあたりふわっとまとめる方向」になっているそうです(ヒロイン73頁〔脚本担当の長谷川圭一談〕).確かに本編では,香乃に記憶を失う描写はなく歌い出しており,曖昧になっています.記憶を失う描写を描かないことが仮に記憶を失っていないことを意味するなら,これから命を落とすことになる香乃の心境が気になるところです.「もっと仲良くしておけばよかったね」と死を受け入れているともとれる発言をしていますが,どうなんでしょうか.

いい顔ですが姉の死を止められなかったことについては…?

話を知恵の輪に戻します.怪獣を倒した後,外れた知恵の輪が再び元に戻ったことに触れないといけません.これは過去の呪縛を脱して新しいかたちで姉と結ばれたこと,すなわち姉のことを自分の中に消化できたことを意味するでしょう.

さらに,こうして2つのアンクがほどけてくっつくことが,"合体と分離を繰り返すダイナゼノン"にも符号します(お見事か).

以上を踏まえて,あらためてOPの下記画像をみると,知恵の輪と南姉妹の一連の関係,さらには冒頭「南柯の夢」に2人が1つになっていることなどの諸々が1枚の絵にリンクし合っており,圧倒的情報過密(語彙力).

右が姉というのが後々わかるのも

ちなみにこの絵は前作との関係で韻を踏んでいます.

2人が離れ離れになるという点,重要なシーンが水門だった点,ずっと一緒という点も前作に倣っています.「ずっと一緒」というのは前作であれば最終回の台詞で確認できますし,今作では上述の通りです.

以上,夢芽と知恵の輪ついて解説を試みました.



5.夢芽の奇行

ここからはあらためて序盤の夢芽の奇行について考えたいと思います.

物語序盤の南夢芽さんは学校の男子に待ち合わせの約束を取り付けては待ちぼうけにさせるという奇行を繰り返しており,クラスで浮いている状況でした.

この病的行動について夢芽の事情にも目を配りたい.すなわち,姉にまつわる家庭の状況です.具体的には姉の部屋に入るのに親の許可をとっていることや,両親の下記会話の様子から,あれから5年経つのに未だ触れにくい案件となっていることがうかがえます.

父「〔食器を〕片付けりゃいいんだろ.自分だっていつまでもそのままにしといて」
母「なにがよ」
父「香乃の部屋だよ.いい加減にしろよお前」
母「どうしろっていうのよ」

ちなみに,姉の死と両親の険悪ムード,さらには会話のない食事風景から夢芽は家庭環境の問題を抱えていると理解するのは注意が必要です.次の監督の発言があるからです.

坂本:暗いというか,家庭環境に問題があるせいで,非現実的なことに関しては逆にちょっと楽しんでいるんじゃないですかね.逆に蓬とかはちゃんとリアルが充実しているから,非現実的なことに対して少し距離を置くというか,そういう話だった気がします.
雨宮:夢芽って,そんなに家庭環境に問題があるつもりで描いてなかったんだけど,そう見えちゃうならもういいか,それで!ってなりました.
宮島:第1回を観直すと,両親同士や母親との会話がかなりぎくしゃくしている感じに見えました.
雨宮:まぁそういうふうに見えちゃうよなぁ.
宮島:意図してそこを強調しているわけでもないんですけどね.
〔引用者注:坂本勝さんは本作キャラデザの方〕

特典B1-154頁

制作工程のどこかで雨宮さんの意図を離れていったとして,当初の意図はどのようなものだったのか.正直想像もつかないわけですが,ここでは次のように理解したいと思います.

すなわち,姉の話題になると両親も冷静になれないため,姉に対するモヤモヤは夢芽独りで抱え込まざるを得なかった.つまり家庭環境が夢芽へ及ぼす悪影響はこのような間接的なものにとどまるということではないか.

さらに,一見険悪にも見える両親ではありますが,姉の部屋を片付けない母の心境としては,夢芽が姉のことを克服できていないため,それを気遣って部屋を片付けられないというものの気がします.というのも,こればかりは夢芽個人の問題でしょうし(両親は姉の事故死を受け入れているのでしょう).そのことに父は思いが至っていない.あるいは辛気臭い雰囲気を出されることに苛立っているのかもしれません.

以上のつもりだったが上手く伝わらなかった,とここでは考えたいと思います.

いずれにせよ,姉のことについて①両親に相談できず,②「特定の友達としか上手くやれないタイプ」なのにその友達・鳴依におそらく頼れずにいるため(つまり姉の状況と同じ),高校1年生(15歳)にしてはメンタルハードモードだったのではないでしょうか.

鳴依に姉の件を相談していない点は,先ほどの香乃「夢芽はちゃんと頼りなよ」,夢芽「それは"最近"わかってきた」から.最近頼っている人物とは蓬のことであって鳴依ではないと考えています.

これを踏まえると次の台詞が分かりやすくなります.

私は…どうかしてるんだよ

第1回

そう,彼女の奇行は自分ではどうしようもない内なる何かの発露だった.OP曲の「インパーフェクト」もこのことを拾っていた可能性があります.

街中にばら撒いた
窮屈で不安定な感情
まるで幼気なSOS

太字強調は引用者

夢芽の待ちぼうけはSOSのサインだったのでしょう.そう考えると,第1回の雨降る橋で彼女に対峙したのが本作のヒーローであるガウマと姉問題にとってのヒーロー蓬だったことは象徴的だったと思います.

ヒーローとはピンチのときに現れる救いの存在.彼らと出会ってから夢芽はどんどん明るくなっていきます.

次の台詞もどこまで本気かわかりませんが,それなりに本心だったのでしょう.

蓬君なら私の話,聞いてくれるって思って

第1回
だいぶ顔に出ちゃってます.「……(あーこれが噂の)」的な

ちなみにガウマがヒーローというのはスペシャルドッグの件です.前作のヒーロー響裕太(グリッドマン)に倣っています.

主人公の1人から渡される(蓬→ガウマ)
彼女は裏主人公(アカネ→裕太)

・例の3つ目
そこから考えるに,ガウマが姫から守らなければならないと言われた3つとは,「約束」「愛」そして「使命」ではないでしょうか.多くの方と同じく「未来」でそれなりに納得してたのですが,ガウマがヒーロー枠となるとこちらも説得的に見えてきます.

これのずるいところは人間の未来を脅威から守る使命といったように未来説を吸収できてしまうことです.蓬たちの「未来」を守ることは姫から託されたガウマの使命でしょう.「"人として"守るべき」という言葉のニュアンスも「未来」より「使命」の方が適している気がします.

そして姫との約束を忘れていたことが,「思い出してほしい君の使命を!」と裕太が忘れていたことの踏襲だとすれば,それは制作陣がやりそうなことです.



それでは最後に蓬のミイラコスプレに触れます.以下はただの妄想でおそらく制作者の意図とは異なります.

ミイラはガウマを連想させるものの,これはこの先夢芽のことで傷だらけになるけど,きっとなんとかやっていくだろうということだと思いました.この笑顔は未来に向けられている気がします.総集編特典ボイスドラマでそうした片鱗が見れました.




6.劇場総集編(おまけ)

総集編でほぼカットされていた山中暦ですが,新規カット及び総集編特典ボイスドラマでピックアップされていました.

もっとも,新規カットでは暦が脱衣所から消えます.裸のまま別世界に行ってしまったのでしょうか….特典ボイスドラマの方も,なかなかトイレから出られないと,登場したのはいいがとにかく扱いがアレな山中氏.

ちなみに新規カットでちせはバッティングセンターに行きたがっていたのですが,予告でバッティングセンターが映っていたのが気になります.暦の心配をよそにあの後バッティングしていたとすれば暦の尊厳は削られていく一方という.でも彼はキャラクターソングがかっこいいですからね.その辺りの調整なのかもしれません.果たして新作で暦の活躍は見られるのでしょうか…


今回は以上です.最後までお読みいただきありがとうございました.


・前作ヒロインも考察してますのでぜひ


・参考文献
特典ブックレット『SPECIAL NOTE』(全4巻)
『宇宙船 別冊SSSS.DYNAZENON』(ホビージャパン,2021年)
『SSSS.DYNAZENON& GRIDMAN ヒロインアーカイブ』(一迅社,2021年)
日本オリエント研究会編『古代オリエント事典』(岩波書店,2004年)


画像:©円谷プロ ©2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会
© Project wooser

※追記(2023/3/11)
表現や画像の修正追加.ガウマの3つ目を追加(5)
※追記(2023/4/14)
「3.」に「人を頼ることの難しさ」(脱線部分)を追加

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