見出し画像

「うる星やつら」を、ちょっと語ってみる<4>/わたしのアニメ語り

この記事はこちらの記事の続きでありんす。

さて、こんなに長々と私は一体、なにを語っているのでしょうか?
・・・我に帰ったら負け、ですよねw

前回までは
なぜ今「うる星やつら・2代目アニメ」が制作されるのか、を考えるために人気を博した「初代」の時代背景などをまとめました。今回は「声優」と「代替わり」を語ってみようかと。

70年代までは「子どもの見るもの」だったアニメ。アニメ・ネイティブの子供たちの成長とともに80年代には「大人の視聴に耐えうる作品」が増えていきました。その立役者の一人が押井守氏であることは、先の述べたとおりですが、「初代」での押井演出にしっかりと応えたのが、当時アブラの乗っていた声優陣でした。

登場人物の中でもクセ強の3人で見てみましょう。

諸星あたる役の古川登志夫さん。ガンダムで演じたカイ・シデンは、臆病さを皮肉で覆い隠す、普通の若者でした。好意を持った女性、ミハル・ラトキエが戦場で散ったエピソード以降は戦争の非情さに向き合う中で人間的な成長をみせる難しい役柄でした。
しかし、「初代」の諸星あたる役では一変。俺が俺がのワガママキャラで、ときにはギャグ、ときには狂気、とシーンに合わせた演じ分けがサーカス並みのアクロバティックな演技をこなしました。

メガネことサトシ役は、千葉繁さん。主人公あたるの言動を傍観者として眺めつつ、伏線を張ったり回収したり、という『狂言回し』の役回りで、押井節ともいえる長ゼリフが印象的でした。押井氏とは1980年の「ニルスの不思議な旅」で知り合い、メガネ役での抜擢を受けたようです(その後も映画「紅い眼鏡」での主演や「パトレイバー」でのシバシゲオ役など、蜜月は続きますが)。

「勇者ライディーン」「闘将ダイモス」とロボットアニメのイメージが強かった神谷明さんは、あたるのライバルともいえる面堂終太郎役。イケメンとギャグの二面性は「シティハンター」冴羽遼のよう。また、閉所恐怖症の設定はのちに「キン肉マン」を演じる際のステップにもなっていたように思います。

こうして挙げた3人全員が『余人をもって代えがたい』才能を持った方々。彼らなしに「うる星やつら」の世界観を表現することはできるのか。
レジェンドがまだ元気なうちに、その力量に挑みたい。
これが「2代目=2022年版」が作られることとなった大きな理由のひとつなのではないでしょうか。


諸星あたる役を引き継いだ神谷浩史さん。
夢であったガンダム声優の仲間入りを果たした後、「<物語>シリーズ」で独特のセリフ回しを会得。久米田康二作品にも欠かせない存在感を示しています。

メガネ役の佐藤せつじさん。千葉繁さん同様、俳優と声優の二刀流をこなしています。「2代目アニメ」では、「初代」での千葉繁さんを完コピするかのような器用さで物語の世界観を保持する「縁の下の力持ち」をこなしています。

面堂終太郎役の宮野真守さんについては、もう説明は不要かもしれませんね。ギャグとシリアスをこなす万能選手の宮野さん、その能力を全開できる役が回ってきましたね。


かつて伝説と呼ばれたアニメ「うる星やつら」。
それはいま、輝かしい功績とともに『超えるべきハードル』として目の前に横たわっています。

かつてのレジェンドと比べて、自分はいまどのレベルにあるのか。
何ができて、何ができないのか。
何をすれば、この先を目指すことができるのか。

令和のアニメ制作者・演者のみなさんにとって、そのための『物差し』のひとつが「初代・うる星やつら」なのではないでしょうか。

さて、滔滔と語ってきたこのシリーズ、次回もう少し語って幕といたします。

ではまた!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?