呟き日記 vol.30 とるにたらない日々の中で

やっと、冬物の大きなカーペットをしまって、新調したラグをおろした。
こんな風に気がつくと季節がまた、移ろってる。

昨日の仕事終わりそのまま実家に。
晩ごはんを食べてから、これからのこととか、ぽつりぽつり話したりした。そもそもひとり暮らしをはじめたきっかけはこのままだと自立できなくなると思ったからで、それは急な思いつきとも言えたんだけど、家族とはいえ、人とひとつ屋根の下で暮らしを営むということへの自分自身の限界を超えてしまいそうだったからということの方が大きかったことを思い出す。
家を出てからは、嘘のように今まで気にしていたことというか、気になっていたことがまるで気に留まらなくなったし、ある意味、一歩下がって家族と関われるようになったことで、保つべき思いやりとか敬意とかを取り戻せたから、じぶんにとっては本当によかったのだ。
それらを経た上で、また、これからのことを考えるのは、なんだか新鮮な気もした。あたらしい気持ち。

ひとり住む家に帰ってきたら『小さいパフェが食べたい』と思い立って、駅を越えた大通りにあるデニーズまで歩いた。3回目。ひとりで入るのははじめてだった。ドリンクバーのカフェの機械に、カフェオレが入っていてうれしかった。ラテもあったけど、オレがあったのだ。1時間半くらい夢中で本読みをしてから、すこし肌寒く薄暗い夜道をまたゆっくりと歩いて帰った。
だいすきなこの街を離れようと思う。思いつきで夜中に歩いて来れるようなファミレスがある、あかるくて賑やかな、けれどもひっそりとした静けさのあるこの街を、自ら手放そうとしてる。
パチンコ屋の横にある、今はもう見かけなくなった何台もの自販機が並んだ前にいくつもベンチが置かれた、喫煙所のような一角。煙草は吸わないけど、この横を通り過ぎるのが好きだった。
スーパーの裏の月が望める思い出の公園も、看板おばあちゃんのいる小さなパン屋も、商店街の電器屋の隣の町中華も、全部ぜんぶ、好きだった。
でも、何もかも、思い出ごと置いていく。
空気が澄んでいて月が綺麗に見えたから、余計にそう、思ったりした。

夢で逢えたあの人は、振り解こうとするわたしの手を掴んで、やさしく握りしめてくれた。
笑ってくれたから、わたしも笑ったけど、うれしくて涙が出た。
ふたりとも笑っていて、よかったな。

"上手"とか"お利口さん"が分かるらしく、誇らしげに見つめてくる顔が愛おしくて愛おしくてたまらない。お散歩が上手になっていて、たくさん褒めた。相変わらず走るのが好きで一心不乱に走っていったかと思ったら、時々わたしのことを思い出すのか、立ち止まってうしろを振り返ってくるのが可愛くて、微笑みが止まらない。愛。



日記をつけるのしばらくやめよう。と思うんだけど、そう思うと残しておきたいことが溢れてきたりして、やっぱりやめられそうにないな。と思う。最近ずっとそんな感じ。