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スタートアップに学ぶ建設DX、AI技術   【燈 x 木内建設】#2 社内研修の舞台裏

地方建設会社とスタートアップ企業が手を取り合い、建設業界が抱える様々な課題解決に挑戦する。そんなON-SITE Xのミッションを象徴する取り組みとして、木内建設株式会社と燈株式会社の2社がタッグを組み、DX推進に必要な意識改革とスキルアップを目的に、木内建設での社内研修を行いました。

スタートアップ企業が講師を務め、最新のAI技術やDXに関する内容を建設会社の上層部と若手にレクチャーする。この面白い取り組みについて、今回は推進役である木内建設の望月氏にインタビューを行い、研修の狙いや効果を伺いました!

研修を終えた燈の北田さん・森さん、木内建設の望月さん・関森さん

お話を伺った方
木内建設株式会社
社長直轄 未来共創チーム チームリーダー
望月 寿人 氏

燈さんとの出会いは?

燈さんとは建設DXコミュニティ『ON-SITE X』での繋がりをきっかけに、協業を目的として打ち合わせを定期的に設けてきました。私を含めたプロジェクトチームで燈さんと会話をする中で、燈さんできることと我々がやりたいことを突き合わせて可能性を探り、自社の課題解決にいちばん効果が見込める取組みを模索している段階です。そのような縁もあり今回、DXの意識改革を狙った社内研修の開催をお願いすることになりました。

なぜ「DXの意識改革」をテーマにしたのでしょうか?

建設業界は属人化に頼る部分が大きく、この業界の経験や技術の棚卸しは難しい作業と考えています。今後、新しい世代や働き方が増すにつれ、経験値不足による品質の低下に危機感を感じてました。その解決策の一つが BIM や DX ですが、これまで社内普及活動を試みるも展開は進まない状況でした。

展開が進まない大きな理由として、メンバー間や部門間の意識の違いがあったと思います。何か新しいことを始めようとしても、それぞれの部署で一つ一つ説明するところから始めて、理解と納得を得てから次に進むとなると、大変な時間と労力を要します。そこで、まずは社内の意識改革を進めていかなければならないと考え、各部門の上層部と若手を対象にした研修の企画を考え始めました。

なるほど。どうして燈さんにお願いしたのでしょうか?

燈さんとのやり取りの中で一番印象的だったのは、スピード感の違い。我々が施工する物件が大体1~2年位かと思いますが、彼らにとってはそれは遠い未来であるというのです。彼らの研究する分野は日進月歩で、日々新しいものが生まれていく状況にあります。

意識改革を行うためには、我々と異なる環境に身を置き、意識も発想も異なるスタートアップの方たちから「最新のDXやAI技術を用いればこんなことができる」と彼らの言葉で直接語ってもらうことが、一番の刺激になると考えました。そこで今回、優秀な頭脳、斬新な発想、スピード感や切り口の違う燈さんに DX 意識改革をテーマに研修をお願いしました。

研修を企画するにあたり特に意識していた点は?

今回のDX 意識改革研修の最大の目的が、自分で出来なくてもいい、出来ることを知る。 やりたい事を表現する。あったらいいなを口に出来ること 。
ちょっと前まで出来ないことが今は出来るかもしれないと感じてもらうことでした。

研修は「DXって何だろう」からスタートし、建設業界におけるDXの具体例では将来の実装を視野に検討を始めている課題や技術を中心に取り上げました。燈さんの視点で建設DXの未来像を語ってもらうことで、「自分で出来なくても、課題ややりたいことを発信すれば、ビジネス化して形にしてくれる人がいる」ことを参加者に感じてもらう点を意識していました。

燈株式会社の森さん

また同時に、現時点の技術の成熟度合いや良し悪しも知る燈さんとの対話を通じて、建設DXも最後の確認は人の経験と目が重要であり、完全機械化・ AI 化が難しいという現実も、参加者に感じてもらいたかったことでした。

実際に研修を実施してみて社内の反応や成果はどうでしたか?

狙い通り、質疑応答の際には現場の課題を起点とした質問が次々と出てきました。やってみたいことと、その実現可能性を聞く質問が目立ち、このように自分から「やりたいこと」を発信してくれたことが、この研修のいちばんの収穫です

あとから話を聞くと、出席した部門長たちはかなり緊張していたようです。最初に挙手して質問してくれた部長は、何か言わなければと意気込んで参加してくれたそうです。このような人がいてくれたおかげで、活発な展開になりました。燈さんにとっても気づきがあり、想定以上にうまくいったと思っています。

若手向けの研修ではデータ解析をテーマにしましたが、実際の業務では実際にデータ解析を行う機会はほとんどありません。その意味では、業務には直結しませんが、理論立てて考えるスキルはどの業種、職種にも共通です。データに基づいて考えられるようになることで、業務効率化などにもつながっていくでしょう。参加して楽しかったという声も聞け、若手向けのほうも成果があったと思います。

若手向け研修の様子

最後に、DX実現に向けてスタートアップとの連携や、社内を変えたいと思っている建設会社さんへのメッセージをお願いします。

今回のような取組みを考えている会社さんには、「一度やってみるといい」と伝えたいです。得るものは必ずあります。当社も研修を経て、社内で燈さんと我々の取組への理解が進み、いろいろなことがスムーズに進むようになりました。皆さんにも、風穴を開けるきっかけをぜひつくってほしいです。

また現在、『ON-SITE X』の活動の一環で建設業界の他社さんとも交流しています。思うのは、これまでのように業界特有の閉鎖的な考え方にとらわれると、選択肢が狭くなるということです。DXは、まず意識改革が大前提になるので、それには外部とつながり、話を聞くことがいちばんの近道だと思います。

BIMなどは、すでに建設業界の共通言語になりつつあります。これは、他社に先駆けてDXに取り組んでいる会社が、結果をどんどんオープンにしてくれたからです。その行動が、業界の閉鎖的な考え方を崩すきっかけとなっています。そのように個別の取組を共有の知識にし、我々の業界に対してより多くの変革を起こす行動は『ON-SITE X』の理念とも一致します。そうした知識・知見を積極的に吸収し、自社の経験値に変えていくことは、今後の企業成長にもつながるのではないかと思います。

望月さん、インタビューありがとうございました!

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