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童貞卒業した日の話。

大正13年の4月という感じ。
思い出す時、はっきりと年と月が出てくる感覚がある。
大正13年の4月と言えば関東大震災の5ヶ月前か。

多分その頃。
鶯谷って感じがするんだけど、そういうお店があったのだろうか。
少なくとも上野〜日暮里、あの辺りな感じがする。

僕は例のおしゃれな友達に連れられて、プロのお姉さんのいるお店に足を踏み入れた。
初めての場所で戸惑う僕をよそに、友達は慣れた様子で廊下をすいすい歩いて「ほら、してしまえば大したことじゃないんだから」みたいなことを僕に言って、そのまま真っ直ぐ馴染みのお姉さんと部屋の方へ消えていく。帽子を被った彼の横顔がとてもスマートに見えた。

僕は担当してくれるお姉さんに誘導されて、左側の廊下を曲がって部屋に入った。

お姉さんたちは着物を着て髪を結って居る和装の姿だった。
室内も畳と布団の部屋だった。
少し侘しくて古びた感じ。高い店じゃなかったんだろう。そりゃそうだな。僕らが行ける店だもの。

お姉さんは僕が初めてだということを知って居て、友達伝てに「童貞だから面倒みてやってくれ」みたく言われて居た感じだった。
お姉さんは女の体は胸を優しく揉んであげるといいだとか、下半身はここを触ると女は気持ちがいいから触ってあげるといい、とか僕を誘導しながら簡単に女性とする時の基本を教えてくれる。

そうして一通り前戯が済むと僕はお姉さんにズボンや下着を脱がされて、仰向けになりなさい、と寝かされた。
そうして「一度挿入れてしまえば大丈夫だから」と、お姉さんは騎乗位で僕の上に乗っかっる。
それはあっという間だった。
にゅるんっと入ってしまって「あっ」と思っているとお姉さんが「はい、これで童貞じゃなくなったよ」と言って、すぐに僕の上から退いて、体の中から僕を抜いてしまった。

それからはお姉さんが横になって脚を開いて、こっちから挿れてごらん、と僕に正常位を教えてくれる。
童貞を卒業しようと思うと緊張して上手くいかないかもしれないから、お姉さんは先に非童貞という事実をさくっと作ってくれたんだと思う。

正常位で挿入した僕は「こんな感じですか?」「これでいいんですか?」「大丈夫ですか?」「痛くないですか?」等々、動き方とか腰の突き方とか奥に当たる場所だとかを聞いて、やり方を教えてもらっていた。気持ちいいとか思ってる余裕はなくて、なんだかすごく真面目な顔で僕は体の中を弄りながら、あれこれ聞いて居た。

僕は女の人の身体がどうなっているか分からないから、自分が力づくで動いたり突き上げたりすると痛くないのか、心配だったようだ。
お姉さんの身体を使って僕は女の人の体は何が痛くないのかを教えてもらった。

お姉さんは今の感覚だと28歳くらいって感じだったけど、当時だから23歳くらいだったのかもしれない。
丸顔で経験豊富で少しくたびれた雰囲気の、さっぱりした姉御肌な感じの人だった。
あの人、その後幸せに暮らしてるといいんだけどな。


おわり

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