20221013
雨上がりの森
草と草の隙間から立ち上る土の匂ひ
天へ還らうとする冷ややかな雫たち
ぼくは白い岩の上で胡坐をかいて坐禪のポーズをとる
黒い山高帽を被り、白いシャツにネクタイを締めればぼくは紳士だ。
紳士たるもの禪を嗜んでゐなくては不可ない
新しく始まつていく豫感が始まり其のもので
ぼくの腕の皮膚の内側が波打つて細胞が彈んでゐる
息を吸へば冷涼な空氣が這入つてぼくの中をすがすがしさで染めていく
「總てに祝福を!」
なんて總てが何で在るのか知りもしないのにさう云ふことは云はない
けれどもぼくが知り得る限りの今と過去、そして訪れるべき未來にも
其の言葉を贈り度い
ああ、とぼくは目を開ける
あめちやんは洞窟の奧の隅つこで
白くごつごつの岩肌にもたれ乍ら
穩やかな顏で僕を視て居る
さうだよ、わたしはもう何も云ふことはないよ
まるでさう云ふかのやうに
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