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せんちめんたる・なんせんす

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嘘吐きは夜の海を散歩する。嘘吐きの僕の日常のことです。
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#港区女子

前の人生を思い出したと云う友人の話(1)

「僕の產まれる前の人生は、明治生まれの男で閒違ひないやうだ」 さう言つた幾野君は手に持つた白いマグカップに口を付けた。 「小さな弟たちが居たり姉が居たりとそんな夢を見る事がある。皆んな着物を着て居たよ」 「突然呼び出したと思つたらそんな話かい?」 僕は首を些か右に傾けて、彼に向かつて歎息とも笑ひともつかない聲を溢す。 「否、それだけでは無いんだけどね。ここ最近、生まれてこの方體驗した筈が無い事を思ひ出し續けてしまひ、氣持ちを持て餘して居るんだ。けれど此樣な事を誰彼構はず話した

港区女子に憑依された友達の話

「そうダス!あたすが港区女子ダス!」 顏を上げるなり彼はさう言つた。黑い山高帽に濃灰の麻のスーツを着たこの人はどう見ても港區女子には見えない。 けれども頭を上げたその瞬閒から、彼の顏つきは變はつてをり、僕は直感的に「嗚呼この人また憑依されてゐる」と確信した。 港區女子と名乘るその人は話を續ける。 「アタスが港区女子やってたのは芝浦埠頭!解る?田町から徒歩25分くらいの電車も何もないところ。船乗りだったうちの父にはお馴染みの場所だったらしくまあ、そう言う寂しいところだよ