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せんちめんたる・なんせんす

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嘘吐きは夜の海を散歩する。嘘吐きの僕の日常のことです。
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2023年3月の記事一覧

海、散歩する僕

宙に浮かんだ扉を開ければ蜜柑色の光を映して輝く海が在る どうして海、それも夕焼けの 美しい海 わけも解らず けれども扉が開いたからには僕はその中へ 飛び込む。 深黒な山高帽と深黒のインバネスコートで オレンジを反射して輝く海とオレンジに染まる空 を右にして 僕は歩いて往く 此処は一体何処の海だろう 海の匂いは? 街の匂いは? 僕の故郷の近くかしら それとも鎌倉の海? インバネスの中はウール素材のジャケットで それも同じ黒い色だ。 僕は外套中で上着の裾を掴んで 柔らかさと

僕は嘘吐き。

物心ついた時から自立して一人で稼がなくてはという意識が強く、それならば好きなことで生計を立てて人生を切り開いて行くべきだという意思が強い、僕はそんな子供だった。 僕が幼稚園の卒園文集に書いた将来の夢は「画家・漫画家」である。 当時の僕は絵を描くことが大好きだった。漫画もずっと書いて居た。 そんな僕だから小説を書くことが好きになったら「小説家」になってお金を稼いで自立するべきだと考えるようになった。この夢を抱いたのは11歳か12歳の頃だった。 ・大人になれば一人前に稼いで自