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【Excel問題】AI時代は「セル結合」はNGな理由(Copilot、ChatGPT)

以下のVoicyの放送からのAI文字起こしをベースに記事化しています。



第1章 はじめに

最近、役所へ届け出をするために、行政のExcel書類を使用することがよくあります。

Excelは優秀なビジネスツールですが、「セル結合しまくり」のような使い方が、思わぬ問題を引き起こすことがあります。

特に、「エクセル方眼紙」とも称されるExcel文書は、見栄えを重視した出力シートとしての役割を果たしつつも、入力やデータ管理の面では多くの課題を抱えています。

これらの課題は、ExcelのAI機能である「Copilot」や、ChatGPTの「コードインタープリター」機能でも、まだ十分に対応できていないという現実があります。

それらをもとに、AI時代において、なぜ「セル結合」が問題になるのかを説明します。

第2章 Copilotはセル結合に対処できない

「ExcelのCopilot」はMicrosoftが提供するExcelの機能で、サイドバーに表示されるChatGPTのようなAIアシスタント機能です。データ分析やグラフ作成などを自動で支援してくれます。

ただし、Copilotが動作するにはエクセルファイルがテーブル形式になっている必要があります。テーブル形式ではセル結合が不可能なため、セル結合されたファイルはテーブルに強制変換する必要が生じます。その際、自動でセル結合が解除されると、データに欠損が出たりします。

すなわち、Copilotはテーブルを前提としているため、セル結合はサポート外の機能と言えます。データから集計・分析を行うソフトという位置づけに立っているためと考えられます。

第3章 ChatGPTはセル結合に対処が困難

ChatGPTには高度なデータ分析機能として「コードインタープリター」が搭載されています。様々なファイル形式のデータをアップロードし、Python言語で分析処理を自動生成・実行してくれます。

しかし、この機能が総務省統計局が公開しているセル結合されたExcelデータを処理しようとした際に、正常に動作しなかった事例がTwitter上で報告されました。データの不整合やエラーが発生し、正しい結果が得られなかったようです。

ChatGPTのコードインタープリターがセル結合されたExcelファイルを処理できなかったことから、「人類がAIに勝利した瞬間」という揶揄的な表現がTwitterで拡散しました。しかし実際には、セル結合はAIのデータ処理を妨害する要因となりえることが裏付けられたに過ぎません。

セル結合は見た目の視認性向上に一定の効果がある反面、データ操作性を著しく低下させます。フィルター、並べ替え、数式関数による計算などの基本操作を行う際に支障を来たします。CopilotやChatGPTのコードインタープリターがそうであるように、最近のAIはデータ処理しやすい形式を前提条件としています。

第4章 セル結合はなぜダメなのか?※例外あり

セル結合が避けられる理由として、主にデータ処理への支障が挙げられます。

具体的には、セル結合が存在すると、フィルターや並べ替えといったExcelの基本機能の利用が難しくなります。計算処理においても、セル結合範囲外のセルが空白として扱われるため、正確な集計が行えない場合があります。

一方で、セル結合を一律に否定することは適切ではありません。データ入力を主目的とする入力シートと、見栄えを重視する出力シートとの役割分担を明確にし、入力シートではセル結合の使用を控える一方で、出力シートでは必要に応じて許容する、という考え方が合理的です。

このように、セル結合の利用には場面に応じた柔軟な対応が求められます。

第5章 役所のExcel書類のデメリットと、代替案の難しさ

役所が作成するExcel書類は、紙への印刷と手書き入力を前提に作られていることが多く、そのためセル結合を多用した見栄え重視の作りになっていますが、これがデータ処理性を極めて低下させるというデメリットを持ちます。

代替案として、Web入力フォームの利用が考えられますが、高齢者など操作が難しい方への指導が必要となるなど、全面的な移行は容易ではありません。そのため、当面は紙とWebの双方を受け付ける体制を整える必要がありますが、これにより事務処理が冗長化するなどの新たな課題が生じます。

このように、役所が用いるExcelの代替システムが一概にメリットが大きいわけではなく、利用者側の事情に応じた柔軟な運用が求められます。したがって、両者の併用や段階的な移行が現実的な選択肢となるでしょう。

第6章 藤沢市の事例

最近の私の体験として、藤沢市ではDXの推進に力を入れており、手続きの際にWeb上で事前入力できるシステムを導入されているのを直接体験しました。

このシステムではまずWebで入力を行い、その結果をQRコードで発行。窓口に行った時にそのQRコードを見せることで、入力済みデータが利用でき、二度手間が省けるそうです。

ただし、高齢者等にとってはハードルが高く、並行して従来通りの紙ベースでも対応が必要不可欠であるとのこと。当面は併用せざるを得ないと分析しています。

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