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外資系コンサルタントのプロジェクトマネジメント

コンサルティングファームはプロジェクト管理の方法論(=仕事の進め方)を確立しており、多様なバックグラウンドのメンバーでプロジェクトを運営する場合においても、効率化や品質の標準化を図っております。

この手法は、コンサルティングファームで働くコンサルタントはもちろんのこと、全てのビジネスマンに共通して役に立つスキルだと思いますので、是非下記の内容を習得・実線してみてください。

プロジェクトマネジメントの課題事例

下記のような課題の発生・見落としが大事故(=プロジェクトの炎上)に繋がってしまいます。課題の防止・影響を最小限にする為にはプロジェクトマネジメントスキルが重要となります。

1.クライアントとのコミュニケーション不足
例)成果物のスコープをクライアントの関係者全員に伝え切れておらず、クライアントのキーマンの間で認識が異なっていたことが、中間報告の直前になって発覚した。

2.タスクのゴールが曖昧
例)経営ダッシュボードの画面設計タスクの完了基準が不明確であり、スタッフが画面コンテンツの色などの設計までは不要と認識していた。

例)クライアントの期待値が二転三転し、その変化した期待値を満たす為にプロジェクトのコストが増大した。

3.プロジェクトに必要なスキルの把握が不十分
例)USから特定のナレッジを有するエキスパートを招聘したが、クライアントのニーズにマッチせず、デリバリーできなかった。そもそも必要スキルを正確に把握できておらず、USに対するリクエストが曖昧になっていた。

4.ステークホルダー管理が不十分
例)経営ダッシュボードの画面について、クライアント側のプロジェクトリーダー/メンバーのレビュー結果を基に開発を進めていたが、開発終盤で初めてクライアントの上位者(役員・部長)によるレビューの必要性を認識し、レビューを実施した。上位者のレビューの結果、大量の追加要件や過去の作業の無駄が発生してしまった。
その結果、最終報告の前日に、クライアントから「期待する効果が見えない為、最終報告をボイコットする」と宣言されてしまった。

5.プロジェクトが複数チームに渡り、大規模になる為、末端までのコントロールができない。また指示命令系統が不明確になり、現場が混乱。

プロジェクト管理の対象

プロジェクトマネジメント体系のデファクトスタンダードであるPMBOK第5版によると、プロジェクト管理の対象は以下の10に分類することができます。

1.統合:プロジェクト全体の最適化
2.スコープ:プロジェクト範囲の定義・目標の明確化
3.タイム:スケジュール作成とプロジェクトの進捗管理
4.コスト:プロジェクトの予算・実績管理
5.品質:期待された成果物の機能・性能レベルの担保
6.人的資源:役割分担、責任と権限の定義、要因の確保・育成
7.コミュニケーション:プロジェクト関係者間の情報共有・連携
8.リスク:予想されるリスクの洗い出しと対処
9.調達:外部資源の活用
10.ステークホルダー:プロジェクトに影響を及ぼす人・組織の管理

プロジェクト管理における留意点

1.プロジェクト開始時に暫定でもスコープやタスクを設定する。開始後、段階的にでもスコープを確定していく。

2.クライアントの期待値は変化するものであり、期待に合わせてサービス内容を設定する。また経営者やキーパーソンへインタビューを行い、期待値や個人の性質・性格を理解する。クライアントの性質・性格によっては、期待値が定まらないことがあるため、継続的なコントロールが必要となる。

3.作業ボリュームやコストを考慮して期待値を調整する。スコープが無制限に増えることを防ぐため、バーター提案などを行い、スコープおよび期待値全体の調整を行う。

4.契約や工数を持ち出すのは最終手段であり、まずはWin-Winになる方法を模索する。

5.責任範囲を明確にし、指示命令系統を明確にする。

プロジェクトマネジメントに必要なスキル

様々なシチュエーションに対応できる為に、プロジェクトマネジメント的な能力を常日頃から高めることが求められます。

1.リーダーシップ
・プロジェクトのゴールを示す
・適切な判断を下す
・人を育て、ゴールに導く

2.コミュニケーション力
・人を高いレベルで信頼する
・人を高いレベルで理解する
・人を動かす

3.制約対応力
・制約を認識する
・制約を受け入れる
・制約下の最適解を求める

4.期待管理力
・相手の期待を明らかにする
・期待値をコントロールする
・相手の期待を超える

5.価値提供力
・解決策を提案する
・クライアントの価値を高める
・更なる価値を生む提案を行う

6.計画実行力
・作業コストを正しく見積もる
・リスクを見極め備える
・課題を解決する

問題発生時のプロジェクトマネージャとしての心構え

1.早め早めの報告
上司やクライアントに対して、早めに報告やエスカレーションをする

2.報告内容を選ばない
悪い報告も速やかに報告し、プロジェクトの状況をオープンにする

3.客観的な事実確認
課題が発生した場合、ヒアリングを行うなどして事実を押さえた上で判断・指示をする

4.専門家への相談
解決の為に必要な情報や客観的な意見を積極的にプロジェクト内外を問わずに求める

5.密なコミュニケーション
事実・状況の伝達、影響・対応策・対応状況の検討・報告などをクライアントと密に行う

6.責任ある対応・行動
失敗やミスなどに対してはリカバリーの指示、および再発防止の為の改善活動を行う

以上です。当たり前のことばかりですが、上記すべてを意識することで、プロジェクトを円滑に進めていきましょう。


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