舞台『殻』の感想。①3つのアイテム

劇団papercraft第5回公演『殻』の感想、自分の解釈・考察を書いています。
※あくまでも、個人の勝手な解釈なのでお手柔らかに…

推しの門林有羽ちゃんが出演するという きっかけで、劇場に足を運びました。しかし、1回目の観劇後「アイドルが出る舞台?」と疑いたくなる作品でした。

3回観ても、尚「何だったんだろうね?」という問いには、答えが見えないまま、この文を書いています。

「殻みたいな毎日を、ただ捨てようと思っただけでした。」

僕はものを捨て続けてしまう、そんな病にある日突然侵されました。
「ぽいほい病」っていうそうです。
僕は同世代の男女4人でルームシェアをして暮らしています。
皆とても仲良しで、とても大好きです。
でもそんな皆の大切なものを、はたまたそうでないものも全部、僕は捨ててしまいます。
そしてその時の記憶は一切ありません。
いっときはこの家を出ていこうかと思いもしましたが、
皆が温かいおかげで前向きに治療に励もうと思いました
この治療が終わる頃には、僕は笑えているのでしょう……きっと。

https://gekidan-papercraft.amebaownd.com/posts/25677259/

”ぽいほい病”という架空の病、「ぽいほい病の人は、駆除される」というところ以外は、自分達と変わらない世界線の話だと、序盤の方までは思っていました。

しかし、”ぽいほい病”のコミュニティが出てきてから、”ぽいほい病”である者と、そうではない者の対比表現が印象的でした。私は、終始その表現が作り出す世界観に、惹きつけられていました。

暗喩

直接的ではない表現が、受け取り方の自由度を感じさせる作品であるな〜と感じました。個人的には、大学で舞台美術を一年間かじっていた者なので「あの小道具の意味は、何なのだろう…」と考察しながら、2回目、3回目の観劇をしました。その中で、気になったアイテム3つについて考察していきます。あくまでも、自分が受け取った解釈なので「違うだろーっ!この○ゲー!」とは、言わないでください。

ティッシュ

”ぽいほい病”患者が、箱からティッシュを一枚ずつ取り出すシーンが印象的でした。節約家の僕「え?捨ててあるティッシュを再利用すればよくない…?」そう思った人もいるのではないだろうか…

物語が進むにつれて舞台上のティッシュの枚数が増え続けていく。もしかしたら、ティッシュが消費され、蓄積されるイメージが大切なのかもしれない。(ストレス、見せない涙のようなものを表現しているのではないだろうか…?と、ふわっとした考えです。ティッシュのように)

靴を履いている人と、履いていない人。そして、靴を履く練習をする優介。「ぽいほい病になると仕事も友人も、まして結婚なんてできないんですよもうそういう生き方できないんですよしたくても」という台詞がある。劇中でも、優介は仕事を辞め、外にも出ない生活になっている。環境に適応できなかった人間が靴を履くことによって、外に出ることができるようになっているのかもしれないと思った。

しかし、姉・朝美の存在がそれを否定した。”ぽいほい病”であり、ホームレスであるが、靴を履いていない。

それと神保さんは、靴を脱いでコミュニティの仲間から離れて消えていった…。「靴を履く必要がなくなった」のかもしれない。

もしかすると、”ぽいほい病”になった者が、人と関わるために靴を欲しているのかもしれない。姉・朝美は、おそらく一人でホームレスをしている。神保さんは、迷惑をかけないように一人になった。だから、靴を履く必要がないのではないか…。コミュニティの人たちは、”ぽいほい病”であっても「人と関わりたい」と思い続けているから、靴を履き続けているのではないか。優介は、ずっと一人で暮らしており、やよいの服や化粧品を捨てていることを知らなかった=誰にも迷惑をかけていない状態であったから、靴を履かずに生活できていただけではないか…。

動物のマスク

「業者」と呼ばれる者が、”ぽいほい病”になった者を「毒を塗った動物のマスク」で駆除するという重要なシーンがある。「え?動物のマスク…シュールな世界観w」と思って観ていたが、ある瞬間を境に、ただ単に動物のマスクを使っていたようには見えなかった。警報が鳴り終え、動物のマスクを被った人(死体)が転がっている様子を見ると、動物の殺処分問題に対しての訴えのようにも感じた。そうすれば「業者」と呼ばれている理由も分かる…

動物の殺処分という問題だけでは、無さそう…


”ぽいほい病”=先天的な病
名前がなく年齢不詳の登場人物
「我が国」
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非現実な世界観であるが、現実とも繋がるモノに対して投げかけられたような気がして、心に雨雲がかかった気分になる作品であった。しかし、一回観ただけでは整理できない情報量と世界観。違和感のある台詞や行動が、結末を理解した後に結びつく面白さ。

「一度ではなく、二度三度、劇場に遊びにきてください」と言っていた推しメン(門林有羽ちゃん)の意味も頷ける作品でした。

また、劇団papercraftの作品を観に行きたいと思える作品に出逢えました。

他にも、異なった種類の椅子4脚、梯子などの気になるアイテムがありますが、分からないので皆さんの考察ツイートから学ばせてもらいます。

今回は、”ぽいほい病”に着目して書きましたが、ルームシェアをしている4人に着目して「殻って何だったんだろう?」を、これから書きたいと思います。(難題)

p.s.「アイドルが出る舞台?」と言われると疑問符ですが、アイドルが出ないような舞台に出ているアイドルってカッコいいですよね…。また別の公演で、門林さんが呼ばれるといいな〜と。


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