オオカミの子ども『ウル』

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ウルは森の奥に1人住んでいました。
ウルの鋭い牙と鋭い爪に森の動物達はおびえウルに誰も近づいてきませんでした。
ウルは父と母が居なくなってから1人で暮らしていました。
ウルはどんな事があっても泣きませんでした。
ウルはいつも小さいときに父と母と行った思い出のお花畑に行ってました。

今日もお花畑に行きお昼寝をしてると、

「オオカミさん、オオカミさん」

と、声が聞こえ、目を開けると人間の女の子がいました。ウルは話かけられた事にびっくりして逃げてしまいました。

その日の夜、ウルは久しぶりに声をかけられた事にうれしくてなかなか眠れませんでした。

次の日もお花畑に行くと女の子が来ていて、ウルはうれしくなりました。けど、ウルは自分の鋭い牙や爪を見たら女の子が怖がってしまうのでは無いかと不安で木の影から眺めていました。
すると、女の子はウルに気付き、

「オオカミさん!今日はお弁当を持ってきたの。一緒に食べましょう!」

と話かけて来ました。ウルは不安でいっぱいでしたが女の子はウルの姿を見ても怖がらず「かっこいい」とウルを褒めました。

父と母が居なくなってからウルは傷つけられる事を言われる事はあっても、褒められる事が無かったのでウルはうれしくなり飛びはねましま。
その姿を見た女の子は笑顔で、

「こんな強そうなのに子どもみたいなのね」

と言い飛び回るウルを見ていました。

それからウルと女の子はよく遊ぶようになり、お花畑以外にも川や木登りなど色んな事をして遊びました。


その日もウルは女の子と木登りをして遊んでいました。女の子はいつものように木の上まで登って木の枝に座り、下で待ってるウルに手を振っていると、

ボキッ!!

座っていた枝が折れてしまい、女の子は落ちてしまいました。落ちた衝撃で女の子は頭から血を流し意識を失ってしまいました。

ウルはすぐさま女の子を村まで連れて行こうと背中に乗せたましたが、背中に乗せた女の子はすぐに落ちてしまいます。ウルは鋭い牙で傷つけないよう優しく口でくわえ急いで村に走りました。

父と母が居なくなり1人さみしく暮らしていたウル。そんなウルにできた初めての友達。ウルは(大丈夫、大丈夫)と自分に言い聞かせ走りました。

村が見えてきた!
ウルは一段と速く走り村に近づくと村の方から、「きゃーーー」と女性の叫び声が聞こえてきました。その声を聞き村の人達がゾロゾロと出て来ました。

ウルは(良かった、これで女の子は助かる)と思い村に入ろうとすると村から石が飛んできて村人が言いました。




「お、オオカミに女の子が襲われているわ!」


ウルは女の子を助けたい一心で自分の容姿を忘れていました。ウルは女の子に石が当たらないように地面におろし、女の子を自分の体でおおいました。

村人達はまだウルに石を投げてきます。
ウルは、(ボクの見た目が怖くてゴメンね。もっと優しかったら君もすぐに手当てしてもらえたのに)と、女の子に謝りました。







バキッ!!

ウルは木の棒で頭を叩かれ意識を失いました。






…。





…ル。





……ウル。







懐かしい声が聞こえ目を開けるとそこには居なくなった父と母がいました。

「お父さん、お母さん!!」

ウルは泣きながら父と母のとこに飛び込みました!

「ボクね、ボクね、お父さんとお母さんが居なくなってさみしかったけど泣かなかったんだよ!夜起きて1人の時も、みんながお家でお父さんやお母さんとご飯食べてるの見て寂しくなった時も泣かずに頑張ったんだよ!えらい?」
ウルの父と母は笑顔でウルの頭をなでました。

「ウル、あなたは本当に勇敢で優しい子に育ったのね。お母さんうれしいわ。ね、お父さん」

「あぁ、ウルはお父さんとお母さんの自慢の息子だ!ウル、友達を助けるためにあと少し頑張るんだ。」

ウルは懐かしい気持ちがいっぱいで目を覚ますと村人達が周りを囲っていました。
ウルはこのままだと女の子がまた危ない目にあってしまうと思い、村人に叩かれ動かなくなった後足を引きずり頭からの血で視界が悪い中森へ帰って行きました。
途中振り返ると、女の子は村人に抱えられ村に入って行きました。





ウルはやっとの思いでお花畑までやってきました。

(お父さん、お母さんボク頑張ったよ。お友達救えたよ。また褒めてくれるかな?お父さん、お母さん……。)


ウルは深い眠りにつきました。







数日後、女の子はウルに会いにお弁当を持っていつものお花畑に行きましたが、その後何年もウルて会う事はできませんでした。

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