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パラサイト 半地下の家族 ポン・ジュノ

生活苦の4人家族であるキム一家は半地下の住宅で暮らしている。そこは独特の匂いを醸し清潔感のかけらも無く、不動産価値も無い、恐らく韓国独特の建築なのだろう。ある時その半地下で暮らすキム家の長男ギウの友人であるミニョクが訪ねてくる。留学中に自分の代わりに家庭教師バイトをお願いできないかという話を持ってくる。それを了承したギウは高台にあるバイト先の豪邸パク家に向かった。最初から母娘の信頼を勝ち取り、家庭教師として受け入れられたギウは、パク家の母親ヨンギョに息子ダソンに素晴らしい家庭教師がいるという話を持ちかける。ただ忙しい人なのでそれを受け入れてくれるかどうかは本人次第だと伝えるが、ヨンギョは何とか家に来て欲しいと懇願する。そしてそこで彼が連れてきたのはジェシカと名乗るダソンの妹ギジョンだった。ダソンの美術教師になり母の信頼を得たギジョンはある話を持ちかけそれをきっかけに父ギテクは運転手として母チュンスクは家政婦として徐々にパク家に取り入っていくキム家の人々。そしてキム家族は彼らから追い出された形になった元々パク家に仕えていた家政婦のムングァンとそしてその旦那のグンセが借金から逃れるために、実はパク家から秘密の扉で繋がっている地下室に住んでいるという事実を知る。そしてムングァンは家政婦をしていることをいいことに人知れずパク家の甘い汁を吸ってきた。もちろんこの事はパク家の人は知らない。この3つの家族がストーリーを展開していく。というのが大まかな流れだ。そして私の感想は下記の通りです。

半地下に暮らすキム家は貧しいながらも細かいことは気にせず楽しそうに生活していた様に思う。厳しい生活をしながらもギウは父親に対して尊敬の態度で接していた様にも見受けられた。ストーリーはそんなキム家を中心に進んで行くが、私の一番印象に残っているシーンはパク一家が開いたダゾンの誕生パーティー場面だった。そこにはキム一家も招待されてた。パーティの最中に突然地下から現れたグンセはキッチンで包丁を手に取ると、パーティーに突入し、ギジョンを刺す。騒然とした現場でダソンの父パクが思わずグンセの臭いに顔をしかめる。その反応を見たギテクは、反射的にパクを刺し殺す。混沌とした中に根深い闇が見えた。形の上ではパク家に雇われていたギテクだが普段から何気ないパク家の人々の無意識な貧困に対する偏見や反応が鬱積し爆発したのだろう。このパーティが原因ではなく単なるきっかけだったのかも知れないが、多様な要素が絡みあっているのこともあるだろう。娘を刺されたがむしろギテクはグンゼの方にシンパシーを感じていたのだと思う。私は刺されて死亡した妹ギジョンに対する無感情ギウの態度を描いているシーンにも目がいった。彼らは日々の生活に対してのお金には執着しているが、人間の生き死にに対しての執着に対しては若干希薄にも感じた。人間は長い間ある環境で生活や文化を継続していると中々そこから抜け出せないものだと感じた。物質的には裕福になる事は可能だが心までは裕福にはなれない。金持ちのパク家の人々も裕福ではあるが幸せには感じられなかった。私はそれを見ていて人間はどんな環境でも幸せだと思える能力が人間を幸せにするのではないかと深く感じた。

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