なぜ、あの人は「共創」がうまいのか?
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面屋 紘子(おもやひろこ)と申します。
marui unite(マルイユナイト)という会社で、採用や広報を担当しています。
この記事は、丸井グループ・marui unite ・Mutureのメンバーによるアドベントカレンダー5日目の記事になります。
はじめに | この記事を書いた背景
marui uniteは 2024年10月に始動したばかり丸井グループのテックカンパニーですが、私自身の関わりとしてはその1年前に遡り、準備室として仕込みを進めてきた経緯があります。
準備室のやるべきことは多岐に渡り、実務の一例としては以下のようなものがありました。
ただでさえ膨大なタスクリストに対し準備室のメンバーが少数であったことに加え、メンバーの専門外の実務も多かったこと、そして何よりもこの会社には社内外の非常に多くの方の期待や願いが込められていたことから、あらゆる実務の進め方において立場や組織、会社という枠をまたいだ「共創」が前提となりました。
(※ 関係者の想いや設立までの変遷についてはmarui uniteのnoteでも発信しておりますので、ご興味がございましたら是非ご覧ください!)
これほどまでに多くの人と仕事をし、共創に泣き、共創に笑い、共創に向き合い続けた年はなかったと思います。
この1年共創に関して思考し続けたことの中から、今回は共創がうまい人に共通するマインドと行動を、うまくいかない人のケーススタディとして自分の経験談も織り込みながら対比させ、言語化を試みてみようと思います。
マインド編 | 外的環境と自身の関係性をメタ認知する
まずは、行動のベースとなるマインドについて整理してみたいと思います。
共創がうまい人とそうでない人のマインドの差分として感じているのが、自分(自分達)がうまくできる/見えている範囲とそうでない範囲の捉え方です。
上記は簡単な概念図になりますが、自分が果たしたいミッションに対して見るべき、或いはやるべき範囲を四角の枠で表現したときに、果たして自分が見えている、うまくできる範囲をどれくらいと捉えているかの比較です。
(わかりやすくするために極端に描いています)
左側の共創がうまくいかない人の頭の中では、自分で見えている、うまくできる範囲の割合を高く認識しているため、部分的には外部の力を借りることはあっても、自分達でミッションを達成していくことが効率的かつ効果的という思考になりやすいと考えています。このマインドを「自前モード」と名付けました。
一方で、右側の共創がうまい人の頭の中はその逆で、自分で見えている、うまくできる範囲は非常に限定的と捉えており、自分だけではミッション達成は不可能であるため、自然と周りの力を借りていく思考になりやすい(というかならざるを得ない)と感じています。このマインドを「共創モード」と名付けます。
前提として、どちらが良い悪いと言う話ではなく、外的環境と自身の関係性を正しくメタ認知し、適切にモードを切り替えることが重要であると考えています。
ただ世の中の潮流として、不確実性が高まる中では過去と同じことをしようと思っても自分が見える/できる範囲は狭まっていくでしょうし、昇進などでえ職責が上がったり、より高い成果のためにミッションを拡大していく場合には見るべき/やるべき範囲も広がっていくため、相対的に自分が見えている、うまくできる範囲は狭まっていく力学が働くように思います。
その前提に立つと、どのような仕事においても共創モードのマインドセットが求められる機会が増えていくのではないかと考えています。
このマインドの切り替えができている人からすると当たり前すぎて、もしかすると意識すらしたことのない話かもしれませんが、私の場合はこの認知の差分に気づくまでかなり苦戦を強いられました。
特に、1つの会社や組織、業務に長く従事していたり、体系化された学習やスキルマップ的なものを満たしていく際に、ある種の誤った万能感(私大体なんでも知っています、できますと言う思い込み)が構築され、正しい認知を阻害していたように思います。
(その結果、口では「共創」と言ってはいても、どこまでも「自前モード」から抜け出せないある種の「呪い」にかかっていたように思います…)
上述の認知の差分に気付いて以降、メタ認知を意識しマインドのスイッチを切り替える意識づけができるようになってきたように思います。
行動編 | ステークホルダー軸で行動する
続いては行動について整理してみたいと思います。
共創がうまい人とそうでない人の行動の差分として感じているのが、軸足がステークホルダーと自分(自分達)のどちら側にあるかという点です。
先ほどのマインド編で整理した「自前モード」と「共創モード」と連動させて整理してみたいと思います。
左側の共創がうまくいかない人のマインドは「自前モード」になっているため、主な仕事相手は自チームや自組織に留まり、先に見つめる成功も自身(自チーム)の成功が重視されていることが多いと思います。
自分達が見えている、うまくできると思っている範囲の割合を高く評価してこともあり、自分達が見積もった作業、計画はある程度正確であると認識しています。そのため、作業を着実に片付けていくことに集中して時間を割くことが成功への近道になります。作業を片付けるために、或いはプランを実現するために外部へのスタンスは基本的に説得や交渉が中心となります。
一方、右側の共創がうまい人のマインドは「共創モード」であり、自分達だけではミッション達成は不可能であると認識しているため、必然的に周りにいるステークホルダーを仕事相手として捉え、力を借りるための動きをしています。
ステークホルダーに力を貸してもらうためには、彼らにメリットをもたらし信頼を得る必要もあるため、ステークホルダーと協調し、ステークホルダーを成功に導くことが自分達の成功の鍵を握ります。
そのため、自分達の作業時間よりも、ステークホルダーが何を見て、何を重視し、課題認識し、求めているのかをコミュニケーションを通じて深く見ていくことに時間を割いています。同期/非同期問わず対話を展開し、ステークホルダーの状況の変化をいち早く察して行動を変容させています。
或いは、ステークホルダーも把握していない未知の領域に率先して飛び込み探索していくことで、ステークホルダーに気づきを与えたり、アウトプットの糧としています。その上でまだ見えていない範囲があることを前提に、いち早くアウトプットを出し、フィードバックを得ながら失敗を学びに変えてアウトプットに反映し、アウトカムの精度を高めていく行動をとっています。
また別の観点で、改めて「自前モード」と「共創モード」の行動の違いを俯瞰して見ると、ステークホルダーから見て「共創モード」はGiver的に、「自前モード」はTaker的に受け取られる可能性があるように思います。
万一ステークホルダーから、自分たちの利益だけを優先しているように捉えられた場合、信頼を得て協調していくことは難しいのではないかと思います。
私自身、自前モードの行動で「共創」を進めようとしてうまくいかなかったのはその点が大きかったように思います。例えば、
渾身の企画を作りきり提案、交渉を行うも、ステークホルダーから見ると飛躍した提案で話にならない
ステークホルダーの状況や優先順位、期待値の変化を十分にキャッチアップできず、的外れの言動をしてしまう
ネットや本で十分研究した上で提案するも、詳しい人の解像度には到底及ばず、時間をかけた割に目指すアウトカムを出せない
など、ステークホルダーから見ると一方的で、価値が薄く、結果として信頼を得られず、適切なサポートも受けられないという苦い経験をしました。
今思うと顔から火が出るほど恥ずかしい場面ばかりですが、当初はなぜうまくいかないのかについても正しく振り返れず、苦悩していました。
この1年は共創がうまい人と働ける機会も多く、そういった方々を横目で観察し研究したり、「スクラム」というフレームワークやプロダクトマネジメントの書籍の力も借りながら、以前よりも良い行動を意識できるようになってきたと思います。
参考① | おすすめフレームワーク 「スクラム」
スクラムはデジタルプロダクトにおけるアジャイル開発のフレームワークですが、上述の共創のマインドと行動を正しく認知、選択していくための手段として、RSM(Registered Scrum Master)というスクラムマスターの資格を取得した上で、非開発組織におけるコーポレート部にも導入しています。
試行錯誤はありつつ、効果的に機能をしており、こちらについてはまたの機会にご紹介できればと思います。
参考② | おすすめバイブル 「プロダクトマネージャーのしごと」
こちらも元々はプロダクトマネジメントを行う人向けの書籍ですが、ステークホルダーに向き合い、ステークホルダーと自らの成功のために取るべき具体的行動についてのヒントに溢れています。
耳が痛くなる話も多いですが、迷った時に立ち返るバイブルのような存在です。開発に携わる人以外にも是非読んでいただきたい書籍です。
さいごに | 誰でも「共創」はうまくできる
私自身、以前は共創には性格的な相性や資質があると思っていました。
いわゆる「陽キャ」でおしゃべりがうまく、人の懐に入れるような人が共創がうまい人ではないかと思っており、そうでない私は共創に対してどこか苦手意識がありました。
もちろん、性格や資質が共創の潤滑油や摩擦となることはあると思いますが、それ以上にこの1年共創と向き合ってきて、共創において最も重要なのは上述のような「マインド」を正しくセットアップし「行動」を変えていくことにあり、誰でも「共創」をうまく進めることはできると思っています。
まだまだうまくいかないことも多いですが、引き続き共創と向き合っていきたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!