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似ているようで異なるプライズ品

私は模型やフィギュアの企画開発を専門としておりますが、クレーンゲームの中に含まれる模型・フィギュア(プライズ品)の開発経験はございません。

立体物として考えれば、両者は同様と言えるかもしれませんが、フィギュアの企画から製造、販売までの大まかなプロセスは同じです。しかしながら、両者には販売経路と価格帯の大きな違いがあります。

一般販売とは通常の流通経路を辿って販売されるのに対し、プライズ品は風営法での景品として提供されます。

つまりプライズ品は一般販売出来ないのですね。
お店で見かける商品は中古品ということになります。
これらは古物商の許可を得て販売されているものです。

風営法の規制により、1プレイ200円の場合には1個の商品は1,000円以内、1プレイ100円の場合には1個の商品は800円以内に収まるようになっています。
はいそこ。お店で売っているプライズ品の価格を見て驚かない。中古品扱いだからこそ需要と供給に応じてプライズ品が通常の商材と同等の価格で販売されることもあるのです。

どうしても風営法があるために1個作る上での製造単価は抑えなければなりません。塗装箇所を減らしたり、色数を落としたり、グラデーション塗装工程を故意的に省いたり…と様々な工夫が施されております。
また沢山同じものを製造することで単価を下げることも出来るので、プライズ品は一般商材と比べて数多く製造・展開されているとも言えます。

これらのプライズ品は、企画・製造・納品の過程で細かい単価計算を行っており、個人的には非常に素晴らしいと思います。
一定の制約の中で考えながら企画を進めることも楽しいものですが、プライズ品にフィギュアが当たり前の存在として定着していることは、企画開発側から見れば驚異的なことです。

そのおかげで皆さんはプライズ品を通じて立体物に触れる機会が増え、玩具好きとしては非常に嬉しい限りです。

一方、一般的な商材においては、ある程度自由に企画や製造を行うことができます。ただし、仕様が過剰であれば価格が高騰し、予約もなく大赤字となってしまうこともあります。

自分の企画は基本的に欲しいモノから始まっているので、ある程度のボリュームを見て経営としてのバランスも見て進めております。
ただどこまでお客さんが喜べる仕様・上代・魅せ方になるのかを考えるのも企画の仕事。
プライズ品・一般商材 それぞれ似ているようで異なるのですが、それぞれ出来る範囲内で試行錯誤し展開しているのでした。

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