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ローソンが取り組む深夜限定の無人実験店舗は、コンビニ労働問題を救うか|ローソン氷取沢町店

【一言で言うと】ローソンが取り組む、無人化に向けた実験店舗。スマホ一つで入店から決済まで可能にし、日本での実用化を検討する。

基本情報

展開する国:日本
設立:2019年
深夜無人化店舗数:1店舗
ジャンル:コンビニエンスストア
売上高:7006億円(2018年)

なにが特徴か

横浜市内にあるローソン氷取沢町店では、2019年8月23日から「スマート店舗」実験が進行中だ。午前0時から午前5時まで売り場から店員がいなくなり、利用客はQRコードや顔認証で入店してセルフレジで自ら決済する。実施期間は2020年2月29日までの予定。

1. 入店方法に感じられる利用客への配慮

コンビニ業界が「24時間営業」問題で揺れているなか、ローソンが深夜に無人店舗を営業する実験を開始した。実験の舞台に選ばれたのは横浜市磯子区のローソン氷取沢町店。深夜の5時間、同店は売り場にスタッフがいない「スマート店舗」に早変わりする。立地としては幹線道路沿いにあり、近隣住民のほか、トラックの運転手も多く立ち寄る場所だ。

この時間帯に来店した顧客は、スマホのローソンアプリに表示されるQRコードを読み込ませて自動ドアを開ける。スマホを持っていない場合は、店員がいる時に「お得意様入店カード」を入手・申請しておき、カードに印刷されたQRコードを読み込ませることもできる。また入口にある入店管理機器で、顔写真を撮影しての入店も可能だ。複数の入店方法が用意されているところに、多様な利用客への配慮が感じられる。

ローソン無人店舗2

無人営業を告げる看板/Photo by ローソン

2.深夜無人営業の実態

「スマート店舗」としての営業中は、店員による確認や対応が必要になる商品の販売やサービスの提供は行わない。酒・たばこやカウンターフーズ、そして切手類の販売、収納代行、チケットサービス、宅配便の発送や受取がこれに当たる。その一方でATM、コピー機、トイレの利用は可能である。

決済にはローソンのスマホアプリを使うローソンスマホレジか、自動釣銭付きセルフレジを選択できる。後者は電子マネー、クレジットカード、バーコード決済などのキャッシュレス決済のほか、現金による支払いにも対応している。

バックヤードに店員1人は待機するが、この時間帯の納品もドライバーのみで完結させ、基本的に対応しないという。防犯カメラを大幅に増やし、また入口には防犯モニターも設置している。店内を誰かが見ていることを可視化し、利用客に安心してもらうと同時に、万引き防止を狙った措置だ。

ローソン無人店舗3

完全セルフレジ/Photo by ローソン

3.注目される「スマート店舗」方式の行方

ローソンが深夜「スマート店舗」の実験に踏み切ったのは、数時間の営業短縮では閉店・開店の手間がかかるため、大した負担軽減にはならないと判断したためのようだ。また2006年から2007年にかけて一部店舗で時間短縮の実験を行ったところ、近隣の競合店は24時間営業をしていたこともあって、昼間の売り上げまで減ってしまった経験があるという。今回のローソン氷取沢町店では300mほどのところにセブンイレブン横浜上中里南店があるので、競合店の影響も検証する意向のようだ。

なお、今回の実験で活用されている入店管理システム、自動釣銭付きセルフレジ、そして防犯のためのクラウド型カメラサービスはNECが技術を提供している。

Banner Photo by K Hsu(Unsplash)

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参考


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