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自動販売機大国日本において、アプリ連動やシェア、サブスクモデルを導入した次世代自販機|アキュア(acure)

【一言で言うと】JR東日本ウォータービジネスが展開するキャッシュレス自動販売機は、事前決済や友人へのプレゼント機能等に加え、サブスクリプションサービスをも開始。

基本情報

展開する国:日本
設立:2006年
ジャンル:自動販売機
売上高:約431億円(2017年度)

なにが特徴か

JR東日本ウォータービジネスが2017年から展開する、スマホアプリを活用したキャッシュレス自動販売機。事前決済や友人へのプレゼント機能等に加え、2019年10月からサブスクサービスを開始している。

1. 「エキナカ」の地の利を生かす自動販売機の運営

国内はすでに飽和状態にあるとも言われる自動販売機市場において、イノベーションに挑戦し続けているのが、自販機運営会社のJR東日本ウォータービジネス。

その名の通りJR東日本の子会社で、2006年にそれまでJR東日本グループの各社に分散していた飲料事業を統合するために設立された。自動販売機運営以外にもJR東日本グループ全体の飲料仕入や、谷川岳の湧水を活用したミネラルウォーターの製造・販売等も行っている。

2.「ちょっとした癒し」にプラスされるイノベーション

JR東日本ウォータービジネスの自販機で販売されている飲料は一つのメーカーに偏らない「ブランドミックス」で、そこに「アキュアメイド」という名称の自社オリジナル商品も追加されている。「アキュア」というのはJR東日本ウォータービジネスのブランド名だが、この名称の由来は英語で書けば「a+cure」。駅の利用者に「ちょっとした癒し」を、という意味である。

同社の運営している自販機は約1万台で、数十万台を擁する業界大手に比べると小規模での展開だ。しかし運営する自販機が置かれているのはJR東日本の「エキナカ」という一等地。この優位性を活かした自由な試みを打ち出している。

2017年からJR東日本ウォータービジネスが展開している新型自販機がその名も「イノベーション自販機」。黒光りのする外見が、いかにも普通の自販機とは違う個性を主張している。この自販機が「イノベーション」と称されているのは、同社のアプリ「アキュアパス(acure pass)」を使えば、キャッシュレスで飲料を買うことができるからである。

スマホに「アキュアパス」アプリを無料でダウンロードし、クレジットカード登録などの手続きをすれば、スマホ上で飲料を購入できる。受け取るときには指定した「イノベーション自販機」に、購入時に表示されるQRコードを読み取らせればいい。同じ飲料を毎日飲んでいる人であれば、まとめ買いをしておいて毎日1本ずつ受け取ることも可能だ。

先に商品を受け取って月末にクレジット決済にもできるし、さらに友人に特定のドリンクをプレゼントして最寄りの「イノベーション自販機」で受け取ってもらうこともできる。プレゼントされた人は、送られてきたQRコードを「イノベーション自販機」に読み取らせると飲み物が出てくるという仕掛けだ。

「イノベーション自販機」では「アキュアパス(acure pass)」だけでなく、SuicaやPASMOなど交通系電子マネーによって商品を購入することも可能である。一部機体では現金購入に対応していない。

3.進化していく「イノベーション自販機」

2019年10月からは新しいサービス「エブリーパス(every pass)」が始まった。こちらは「アキュアパス」のアカウントに、1日1本商品を買うことができるQRコードが毎日送られてくるというもの。自販機業界で自社アプリを使ったサブスクリプションサービスを実施するのは、これが日本初だという。

JR東日本ウォータービジネスのプライベートブランドだけが対象の「アキュアメイドプラン」(月額980円)と、「イノベーション自販機」で取り扱っている全商品が対象になる「プレミアムプラン」(月額2,480円)の2プランがある。ただし本来の価格よりもお得になるこのサービスはすでに9月上旬に希望者を募集済だ。抽選によって選ばれた500名だけが、現在この新サービスを利用している。

今のところ、「イノベーション自販機」はまだ400台ほどしか設置されていない。これから設置台数も増え、また機能も進化していくことが期待される。「イノベーション自販機」が日本の自販機の標準になる日がいずれ来るのか、注目されるところだ。

アキュア2

アキュアパスの表示されたスマホ/Photo by JR東日本ウォータービジネス

Banner Photo by Victoriano Izquierdo (Unsplash)

参考


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