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中国最大コマースサイトのタオバオ、元Amazon Go技術者による期間限定無人カフェで何を検証したか。|淘珈琲

【一言で言うと】中国最大のCtoC/BtoCコマースサイトタオバオの、イベント期間限定無人カフェ

基本情報

展開する国:中国
※期間限定店
ジャンル:無人カフェ

なにが特徴か

「淘珈琲(Tao Kafei、タオカフェ)」は、アリババ・グループがイベント時に5日だけオープンさせた無人カフェ。入店、決済、退店にスタッフは介在しない。

1. 未来を見据えた無人カフェ

アリババ・グループは2017年7月8日から12日の5日限定で、中国南東部の杭州市で「淘珈琲」をオープンさせた。同市で開催された第2回目の「淘宝造物節(Taobao Maker Festival、タオバオものづくり祭)」で、アリババの提唱するOMO/ニューリテールのデモンストレーションとして行ったもの。タオバオはアリババ・グループが運営する中国最大のCtoC/BtoC のECモールで、淘宝造物節はアリババ・グループが2016年から毎年杭州市で開催しているイベントだ。このイベントは、ミレニアル世代のクリエイターたちに、発表の場を与える狙いもある。

「淘珈琲」は100以上の企業が出展する淘宝造物節の会場入り口を入ってすぐのところで営業していた。店内は約200㎡の広さで、カフェとしてメニューから好きな飲み物や軽食を注文して飲食できるほか、鞄やノート、ぬいぐるみなどを購入することもできる。お祭りの場への出店なので日用品を扱うコンビニというよりも、記念品を売っている店舗といった方がしっくりくるだろう。

タオカフェ2

右手にあるのが入口、左手が出口/Photo by联商网

2.スタッフが介在せず入店、決済、退店ができる

入場はタオバオの会員限定で、入店時だけスマホを取り出し、タオバオのアプリでQRコードを読み取る。店内に入ってしまえば、スマホ不要。無人を謳っているが、カフェではスタッフが注文を取り、飲み物や食べ物の用意をしていた。人が介在しないのは入店、決済、そして退店の一連の流れ。販売されている商品で買いたいものがあれば、手に取って持ち去るだけでよかった。ポケットや鞄に入れても構わない。

退店する出口は二重になっており、1番目の出口の前に顧客が立てば、ドアがそれを感知して開く。ここから数メートルの通路を歩いている内に、購入された商品に貼られているRFIDタグによって金額が自動的に計算され決済終了。2番目のドアが開くと同時に、決済金額がアナウンスされるという仕組みだった。

3.Amazon Go開発者が移籍してプロジェクト立ち上げ

奇しくも「淘珈琲」が登場した2017年は、中国でコンテナ型の無人コンビニが大流行したが、その多くでは出店時もスマホを取り出して操作する必要があった。同じ頃に顧客の利便性を考え、スマホを取り出す必要をなくしていたのは、さすがアリババというべきだろう。

実はちょうどこの直前、アマゾンの主任研究員としてAmazon Goの開発に当たっていた任小楓(Ren Xiaofeng、レン・シャオフェン)が、アリババに移籍している。移籍後の初仕事として、任が手掛けたのが「淘珈琲」だった。

「淘珈琲」が5日間限定で試行営業をしてから早2年が経過し、「淘珈琲」自体がそのまま本格運用されているわけではない。アリババではこの当時、無人コンビニが日常生活で一般の人たちに活用されるには、少なくとも5年はかかると考えていたという。つまり、「淘珈琲」がさらに進化した新店舗が登場する日も近いのかもしれない。

Banner Photo by Annie Spratt (Unsplash)

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参考



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