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支払いは顧客の自己申告制。経験価値マーケティングに取り組む飲料ブランド | The Drug Store by Dirty Lemon

【一言で言うと】経験価値マーケティングを標榜し、ブランドロイヤルティー醸成を狙う飲料ブランド

基本情報

主に展開する国:アメリカ
設立:2018年
店舗数:1店舗(2019年9月時点)
ジャンル:専門店・セレクトショップ(ヘルシー系飲料)
売上高:非公開

なにが特徴か

2015年創業以来、ヘルシー系飲料を200万ボトル以上売り上げ、コカ・コーラから出資を受けているDirty Lemonは、新店舗「The Drug Store」をニューヨークにオープンした。フォーブスやCNBCなどのメディアに取り上げられ、現在注目を浴びている。決済は全てスマートフォンで行うが、その場でお金を支払わずに手に取り、持ち帰る事が出来る。店舗内においては文字通りの意味でのキャッシュレスにし、店員を置かない狙いとは何なのだろうか。

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自販機と違い、いつでもドリンクを手に取る事が出来る。/Photo by HEAPS

1. 全て決済は好きな時に、好きなタイミングで

「The Drug Store」は店員がいない。自販機とは違いお金を入れずにボトルを取る事が出来る。ボトルを受けとった購入者は店舗指定の連絡先にテキストメッセージを送信する。そこから、24時間対応のサービス担当者が5分以内に応答し、顧客の電話番号にリンクされたクレジットカードに請求する仕組みだ。初めての購入者は、クレジットカードを入力する用のURLが送られ、購入するとレシートがテキストメッセージで送られる。

2. 支払わない人も出てくるのでは?

支払いは全て自己申告なので、ドリンクを盗む人もいるだろうし、支払いを忘れる人もいるだろう。GLOBETRENDERの記事によれば、開店以来、10,000人が入店し、盗まれたドリンクは5%未満の事。さらに、出入り口のヒートマップモニターが、来店人数をカウントし、RFIDタグがどのドリンクが冷蔵庫から取られたかを探知する。

3. 新しいOMOブランディングの可能性

Amazon Goで導入しているような外に出たら決済されるシステムとは異なり、Dirty Lemonはすべて自己申告の為、支払うか支払わないかは個人次第。Dirty LemonのCEOであるZak Normandinはこのように述べている、

「私たちは体験型マーケティングではなく、経験価値マーケティングに移行しています。このタイプのインタラクションを体験した顧客が当社のブランドに対して従事するようになります。」

Dirty Lemonは、支払い方法を自己申告制にする事により、顧客間での新しいストーリーや感情的な繋がりを生み出し、ブランドに対する顧客の忠誠心を生む戦略である。こうする事で口コミを誘発し、広告費を抑えながら新規顧客を獲得する狙いがある。まさにストーリーを生み出し、広告するための店舗と言っても良いのかもしれない。

※経験価値マーケティング(Experiential Marketing)とは、インタラクティブなブランド体験を通して消費者との関係性を構築するマーケティング手法である。
引用元:https://blog.btrax.com/jp/experiential-marketing/

Banner Photo by globetrender

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自販機もキャッシュレス化へ。TenTenと三井住友カードが提携
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1196766.html

レッドブルのサンプリングカーってどういう構造?
https://www.kurumaerabi.com/car_mag/list/5424/

参考

Dirty Lemon:https://dirtylemon.com/




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