be strong ever after !

ディズニー映画の実写化は、「めでたしめでたし」のあとも人生が続いていくことを知ったわたしに、エンドロールのあとの幸福を保証してくれた。

ディズニールネサンスの恩恵を身体中に浴びて育った。母はとても厳しい人で、TVアニメもゲームも与えてはくれなかったけれど、ディズニー映画だけは何度だってレンタルビデオ店で借りることを許してくれた。

わたしの大のお気に入りは『美女と野獣』で、誕生日には、サントラのCDも買ってもらって擦り切れるくらいに聞いた。今だってベルの歌う『朝の風景』を空で完璧に真似することができる。

ベルは普通の町娘だ。お金持ちでもないし、お城にも住んでいない、良い家柄じゃないし、町ではちょっと煙たがられてる。でも知的で勇敢で心優しくて、自分にとっての幸せが何かを知っている。だからプリンセスになった。テレビの前に齧り付いて初めてみたあの日からずっと、ベルはわたしの希望で憧れの女の子だ。

でもわたしはもちろんプリンセスになどなれなかった。小さい頃、母はわたしの寝付きが悪いと「大人になったら、どんなドレスを着て、王子様と踊るの?目を瞑って考えてみたら?」と眠りに誘ったけれど、残念ながらわたしは王子様とは結婚しなかったし、踊りも嗜んでないし、レンタルのウェディングドレスを着た。そして『美女と野獣』を見れば思うようになった、「ベルはどうして野獣と結婚したの?」

小さな町を出たがっていたはずだ。狭い世界を飛び出して、もっと素敵な世界があるはずと歌っていた。でもベルが選んだのは、実家から馬車で行ける距離にあるお城での、お姫様としての生活だった。

野獣は確かに格好良い。寡黙で知的好奇心があって、勇敢だ。でもプリンセスにはなれなくても大人にはなれたわたしは知っている、真っ白なドレスを着てみんなに祝福された後も人生は続くのだ。恋をして自分の人生をお城の中に閉じ込めてしまうなんて、わたしの憧れたベルの選択に思えなくなってしまっていた。「ねぇベル、結婚生活はどう?」

実写版は、答えだった。野獣が魔女から与えられた、望んた場所・望んだ時に行ける不思議な本は実写版オリジナルの描写だ。ベルはあの本で、ベルの望む「もっと素敵な世界」へ何度だって旅することができるだろう。ベルは野獣という好きな人を選んだだけではないのだと思った。自分の人生に欲しいもの、望む生活を選んだんだ。それはわたしが憧れたまさにベルの選択だった。

シンデレラは継母に「許す」と告げ、自らの王子様の元へ降りていく。ジャスミンは「結婚相手を自分で選びたい」とだけ願うだけではない、自ら国を守ろうと動く王家の一人だ。

きっと母が優しく朗らかであれとわたしに見せてくれたディズニーアニメより、実写版のプリンセスたちは遥かに逞しい。でもだからこそ、大人になったわたしは、目を瞑って想像することができるのだ。ダンスタイムが過ぎて、ドレスを脱いだって強く美しいプリンセスたちのエンドロールが終わって始まる幸せな人生を。