リゾート開発の先にあるものは、「外国人富裕層のための町」かもしれない…。
1、不動産の9割は外国人の所有⁉
「後志(しりべし)は世界に誇れる観光地になり得る」
私は本当にそう思っていましたし、後志に住んでいる人の多くが
「観光客に沢山来てほしい。」
「海外の観光客に沢山来てほしい。」
そんな風に思っていた、又は思っているのではないでしょうか?
観光入込客数を増やし、沢山のお金を落として頂く。
外貨を稼ぐことは、地域が豊かになるための素晴らしい手段だと思います。
数年前から、北海道倶知安町のニセコひらふに多くの外国人客が訪れるようになりました。
外国人観光客を虜にしたのは、ニセコの雪「パウダースノー。」
町には外国人が沢山歩いていて、まるで外国のよう。
「海外に来たみたい!大きなラグジュアリーホテルが沢山あってすごいな~」
と思っていました。
ですが…
ニセコひらふの不動産の9割は海外の人の所有だと聞いて驚きました。
コンドミニアムがいくつも出来たことで水が不足し、下水道の整備に70億円もの町税が使われるそうですが、下水道の整備の恩恵を受けるのは町民ではなく海外の投資家さんだとか…。
ニセコで1年に動くお金は500億〜800億ともいわれていますが、ここ10年で増えた町税は5億円程度(固定資産税と法人税)だそうです。
外国資本のホテルやコンドミニアムが出来たことで土地の価格や固定資産税が上がり、以前に比べて暮らしにくくなったと感じている町民の方もいらっしゃるそうです。
更に、不動産登記は義務ではないため、誰の所有なのかわからない土地もあるとか…。
この現状を聞いて、ちょっと怖くなりました。
「沢山の観光客に来てほしい!」
そんな気持ちはありますが、
実際に沢山の観光客が押し寄せたら、そこに住む人は幸せに暮らせるのだろうかと。
今の政策の先にある「未来」を私たちはしっかり考える必要があるのだと感じました。
2、持続可能な観光とは?
多くの観光客が訪れる事で起こる、自然環境の汚染や交通渋滞、騒音などの負の影響は「オーバーリズム」として問題視されています。
後志の美しい自然や豊かな食をこれからも永続的に楽しんで頂くために必要なのは、ちょうどよいバランスなのかもしれません。
「沢山の観光客に来てほしい!」
沢山って何人なのでしょう?
100万人でしょうか?
1000万人でしょうか…?
以前、noteに書きましたが、
私の住んでいる余市町は、過去に159万人の観光入込客数を記録したことがありますが、交通渋滞が発生して大変だった思い出があります。
そして、地域住民はその恩恵をあまり得られなかった思い出も…。
地域のキャパシティーに見合った観光客受け入れと準備が大切なのだと感じた出来事でした。
3、理想の未来とは?
海外の富裕層のお客様が消費してくれる額は桁違いですし、本当にありがたいと思います。
恩恵を受けている人もいると思いますし、この状況を好機と捉えてビジネスをする方も素晴らしいと思います。
豊かさが地域の隅々にまで流れたら、こんなに素敵な事はありません。
一口に「外国人観光客を増やす」と言っても、
地場の宿泊施設や観光施設を積極的に活用する方法と、海外資本を多く受け入れる方法ではお金の流れが変わります。
来てほしいお客様はどんな人ですか?
受け入れられる人数は何人ですか?
そして、どのようなお金の流れを作りますか…?
私たちは今、真剣に考える必要があるのかもしれません。
おわりに
「私の住んでいる町は観光に力を入れていないから関係ない。」
そう感じた方もいらっしゃるかもしれません。
観光以外でも、様々な目的で日本の土地を海外投資家が購入しているそうです。
気が付いた時には土地のほとんどが海外投資家の所有物だった…。
そんな日が来ない事を願っています。
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