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割り算を腑に落とす

 先日「会社の数字読み方セミナー」なるものを受講した。なぜ受講したかというと、会計の仕方・読み方になんだかピンと来ないものを感じていて、それを解消したかったからだが、案の定、ある部分で躓いた。どこで躓いたかというと割り算だ。次の式である。

○ $${\small{損益分岐点}=\dfrac{\small{固定費}}{\;\small{限界利益率}\;}}$$

※ 損益分岐点:赤字と黒字の境い目、ちょうど利益ゼロの売上高

 いや、この式に至る過程を追いかければ、私にも理解できる。聞き慣れない用語もなんとか理解できた。この式に当てはめれば、計算もできる。でも、なんだか腑に落ちないのである。
 なぜなのか。しばらくして分かった。分母が小数なのである。分母は「率」だから、0と1の間の小数になる。そう、「小数で割る」部分が、私が躓く要因だったのだ。

 考えてもみてほしい。「(ケーキを)3(人)で割る」なら、よく分かる。それに対して「(ケーキを)0.3(人)で割る」ということがどんな状況なのか? 皆さんはイメージが持てるだろうか。
 私は、そして多くの人もそうだと思うのだが、もちろん小数で割るやり方を知っている。機械的な操作はできる。けれども、本当に理解できているかというと、意外と怪しい。
 理屈では分かるが、感覚的に分からないと言ったら良いだろうか。抽象的な算数・数学の問題なら理屈で対処できても、お金という生々しい現実は感覚でしか受け入れられない、そういうことなのかも知れない。

 先ほどの式に戻ろう。「固定費が100万円で、限界利益率が10%」の事業において「損益分岐点は $${\dfrac{\;100\small{万円}\;}{0.1}=1000\small{万円}}$$」というわけだ。分かったような分からないような … 結局のところ「0.1 で割る」のを理解するのは実はなかなか難しいことだと思う。
 今の私にとって「小数の割り算を腑に落とすこと」と「先ほどの式を理解すること」はほとんど同じことなのだ。先ほどの式を他の方法で理解したつもりになっても、きっとまたそのうちに分からなくなるだろう。それに気付いたことが「会社の数字読み方セミナー」を受講した成果である。

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