うなぎ養殖の現場で未来を想う
屋久島から宮崎県に回って、新富町のうなぎ養殖場を訪ねた。(中村養鰻場 → https://unagihouse-ajiman.com/ )
養殖場の社長さんが案内しながら、説明してくれた。養殖池の水温を常に 30℃ に保っているために、ビニールハウスの中はムッとするように蒸し暑い。質問に答えていただいたことを交えて、まとめてみよう。
日本のあちこちの漁港で漁獲量が減っている。おそらくは気候変動も影響しているのだろう、魚が棲息する海域が変わってきていると言う。シラスウナギ漁も例外ではないようで、その養殖場でも「危機感を持っている」と話してくれた。
さて、私が思ったこと、考えたこと。高級食材と言われているうなぎだが、生産工程を見る限り、現実のうなぎの値段が高いとは思わなかった。
むしろ私は、こう考えた。他の魚が(もしくは他の食材が)安すぎるのではないか?と。
魚の単価が安いと、多く獲ろうとする。これは乱獲につながる。あるいは農産物であれば、収穫量を増やすために、化学肥料や農薬を多用しようとする。それでも利益が出ないと、人件費を減らしたり、もしくは廃業したり。いずれも全く持続可能でない。衰退もしくは破滅に至る道である。
そんなことを考えて、生意気にも私は社長さんに訴えた。
途中に、冷凍真空パックした白焼・蒲焼うなぎの温め方・食べ方をいろんなパターンでやってみて、どれが美味しいか、簡単でお薦めかを「モニターしてくれ」と言われて、結局はうなぎをご馳走になった。
私が美味しいと思ったのは、白焼では「湯煎のみ」で温めたもの。うなぎの味がストレートにシンプルに味わえる。
蒲焼では「凍ったまま切って、アルミホイルを敷いて、オーブントースターで焼いた」もの。食べるまでが簡単で、後始末も簡単で、とても香ばしいうなぎが味わえる。皮がパリパリ、身がジューシー。
最後に、社長さんが提案して、ぜひやって欲しいと私が思ったのは、隣の田んぼで「うなぎのつかみ捕り」体験。耕して水を張った田んぼに足を踏み入れると、柔らかい土がヌルヌルと足の指の間をすり抜けていく。農家生まれの私は一応知っているけれども、あの感触を子供にも大人にも味わって欲しい。
そして、私はやったことが無いから分からないけれども、ヌルヌル滑ってすごく捕まえにくいであろううなぎの肌触りを私も味わいたい。もし本当にやっていただけるなら、孫と一緒にぜひ参加したい。