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2つの視点で語る

 1つのものを、2つの視点で見て、対の形で表現する練習です。書式としては、次のような感じです。

◇ 「○○ の点から見れば ☆☆ だが、△△ の点から見れば ※※ だ。」

 2項対立的発想で「女⇔男、質⇔量、マクロ⇔ミクロ、ある⇔ない、良い⇔悪い、・・・」のようにきれいに対比させてください。例を挙げましょう。ウチの学校では情報科の授業を図書館でやっていますので、生徒には次のような例を示しています。(あくまでも「例」でありまして、実態とは無関係です。念のため)

<テーマ : 図書館>
◇ リッチだが、プアである。
◇ 文系の本は多いが、理系の本が少ない
◇ 並んでいる本の面はきれいだが、本棚のにはがたまっている。

 いろんな視点でものを見る練習です。そして、すっきり書く練習です。ちなみに「4段論法」の前にこれをやると効果的です。2段目の「確かに・・・、しかし・・・」に書くことを思いつきやすくなるでしょう。
 ところで、この「2つの視点」は実は「軸が2本ある」と言うこともできます。単に1つの視点で両側から見ているのとは訳が違います。もちろん軸の両端だけを見ていて、その途中を連続的に見ているわけではありませんが、軸は確かに2本あります。

2つの視点1

 その意味では、この実習は自分で「2つの軸を立てる」練習だと言うこともできます。軸は垂直に近いものでなければなりません。平行線に近い軸を立てても、きれいな文章は作れないでしょう。そう考えると、なかなか高度な技なのかもしれません。
 軸を2本立てれば平面は4つに分割されます。この実習ではその対角線方向の2点だけを取り出して文章化したわけですが、4分割した4か所すべてに何かを入れたり、軸の両端だけではなくてその途中を考えたりすればまた別の有効な使い方ができます。
 たとえば、「費用軸」と「効果軸」を立てて、いくつかのプランを比較検討したり。その場合、費用が小さくて効果が大きいものならやればいいし、反対に費用が大きくて効果が小さいならやらなければいい。でも、効果も費用も大きいものや、効果も費用も小さいものをどうするかは、判断のしどころです。
 あるいは、「希望軸」と「可能軸」を立てて、やるかやらないかを判断したり。生徒たちが将来の職業を考える際には「やりたい/やりたくない」軸と「できる/できない」軸を立てることになるでしょう。その場合、「やりたくて、できる」ならやればいいし、「やりたくなくて、できない」ならやらなければいいので問題になりませんが、「やりたいけど、できない(苦手な)」ことや「やりたくないけど、できる(得意な)」ことについては悩むところでしょう。軸を2本立てれば、こんな考え方・とらえ方もできるようになります。「視点2つ」の発展形です。

2つの視点2

 では、練習してみましょう。次のテーマについて「2つの視点」で語ってください。1つのテーマについて1つといわず、2つでも3つでも挙げてみてください。

◇ 環境問題 または エネルギー問題
◇ 情報(一般的な意味での情報についてでもいいし、
     情報科の授業についてでもいい)
◇ 東日本大震災

 くれぐれもきれいに「対比」させてくださいね。例文は以下をどうぞ。

◇      ◇      ◇

<環境問題>
◇ 地球規模で見ると自分にできることは何もないように思うが、
  身の周りを見るとできることはいろいろある
◇ 森林破壊を止めるには紙を節約するべきだが、
  それを訴えるにはチラシ配布が効果的だ。
◇ 京都議定書から離脱した米国をみんな非難するが、
  は米国の選択は合理的だと思う
<情報>
◇ 要らない情報は勝手に流れてくるが、
  必要な情報は自分から探しに行かないと出てこない。
◇ 少なすぎる情報は判断を誤らせ
  多すぎる情報は判断を迷わせる
◇ コンピュータを使う情報科の授業はやる気が出るが、
  コンピュータを使わない授業は眠い
<東日本大震災>
◇ 原発事故の影響で福島産の農産物は値下がりしたが、
  九州産の農産物は値上がりした。
◇ 津波が来たときは高い防潮堤が役立つが、
  津波が来ない間はそれはとても邪魔なものだ。
◇ 三陸では復興が始まっているが、
  福島ではいまだ被災が続き復興の道筋が見えない

◇      ◇      ◇

自分の考えの作り方 〜 
▷ 2つの視点で語る ┐      
▷ 理由を3つあげる ┤      
▷ 反論する     ┴ ▷ 4段論法

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