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時計はアナログに限る

 いろんな物がアナログからデジタルに変わっています。でも、時計はアナログに限る。
 時間とともに動く生活を送っている人の典型は、学校の生徒と先生でしょうね。

時計はアナログに限る

朝7時半に家を出ないと学校(または仕事、あるいはデート)に遅れる。
下左の時計だと、「あと 1 分 23 秒あるな(まだ大丈夫?)」と思う。
下右の時計だと、「やばい、もうちょっとしかない(急がなきゃ!)」と思う。

アナログ1

 朝、デジタル腕時計を見ながら出かけるタイミングを図っている人は、まず引き算して、次の瞬間に(まだ大丈夫)と思いながら、頭の中で(いや、実はそうでもない)と考え直して、さらに(そろそろ急いだ方がいいぞ)と自分を急き立てる。しばらくしてもう一度腕時計を見て、(引き算 → 大丈夫 → いゃ違う → さぁ急げ)を繰り返す。
 いちいちこれだけのことを頭の中に巡らせているのである。朝から、大騒ぎである。
 それに比べればアナログ時計の方がずっと健康的だ。時計の針の角度を見れば、それですんなり事が進む。(まだ大丈夫)あるいは(そろそろ急がなきゃ)もしくは(やばい!)と思えば、いずれの場合もそれでぴったり。自分の感覚に素直に従えばいいのである。

 朝、テレビ画面の隅に表示された時刻を見ながら出かけるタイミングを図っている人は、デジタル腕時計を見る人よりさらに複雑な心の過程を経る。まず引き算する。次に不安になる。「7:28」という表示を見ても、それが7時28分ちょうどに近い方の「7:28」なのか、7時29分に近い方の「7:28」なのかが分からない。そして、直感的には(まだ大丈夫)と思いながら、念のため(やっぱり急ごう)と思い直して、再び(いや、もうちょっとのんびりしててもいいのかも)と考える。こうして心が引き裂かれる。
 アナログの時計なら、針の角度を見れば瞬時に正確に判断できる。見たまんま、感じたまんまに行動して間違いない。心と頭に余計な負荷もかからない。時計はアナログに限る。

続・時計はアナログに限る

 夜9時に寝て、朝6時に起きたから・・・睡眠時間は、えぇっと・・・妻は指折り数え始めた。10時、11時、12時、1 時・・・
 おぃおぃなんだ、そのデジタルっぷりは? この場面はアナログでしょ。アナログ時計を思い浮かべてごらんよ。指折り数えなくても、瞬時に分かるんじゃないか。
 直角で3時間、まっすぐで6時間なんだから、ほらね。

アナログ2

2つの時計

 2つの時計があります。「どちらかをあなたにあげる」と言われたら、あなたはどちらを選びますか?

A: 毎日2回、時刻がぴったり合う時計
B: 1年たっても2年たっても、一度も時刻が合わない時計

※ そんなに特殊な時計ではなくて、どちらもどこにでもありそうな時計です。

ここで、我が家のエピソードを語りましょう。

娘がやってきて言いました。「ねぇ、パパの時計、ちょっと貸して!」
私が返しました。「うちには2つの時計がある。Aの時計とBの時計、どっちがいい?」
娘「どっちもヤダ! いつもぴったりの時計がいい」
父「そんなものはウチには無い。ウチにあるのはAの時計とBの時計だけだ。どちらかを選べ」
娘「じゃぁ、Aの時計かなぁ」
父「だったら、君の時計を使えばいいじゃないか。毎日2回、ぴったり合うだろ!」
娘「もー、そんなこと言ってないで、パパの時計貸してよ」
父「パパの時計、いつも時刻合わないよ。それでもいい?」
娘「はぁ?」
父「Aの時計とBの時計、どっちがいい?」
娘「はいはい、Bの時計でいいですよーだ」(バカ!)

もうお分かりかもしれませんが、一応説明しましょう。

○ 時計A:毎日2回、時刻がぴったり合う時計
 → 壊れているか電池切れかで、止まっている時計。
  確実に毎日2回、ぴったり合います。
 ※ 実際、あの場面で娘の時計は電池切れしていました。

○ 時計B:1年たっても2年たっても、一度も時刻が合わない時計
 → ちょっと進んでいたり、ちょっと遅れていたりしながら、
  まぁしっかり動いている時計。
 ※ 職業柄、私の時計の針はいつも1分ほど進んでいます。
  ベルとともに動くには、それくらいがちょうど良いんですね。
  ですから、私の時計は時刻がぴったり合うことはまずありません。

 さて、あなたはどちらの時計を選びますか?

 それはそうと、このネタ、実は「不思議の国のアリス」の作者ルイス・キャロルが残したメモの中にあったものです。ちくま学芸文庫から出ている「不思議の国の論理学」という名前の本の中に入っています。

◇      ◇      ◇

デジタルとアナログの間で 〜 
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▷ パソコンながら術        
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