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クマの色は何色?

【問題1】ある場所から南へ1km、東へ1km行ったところでクマに出会いました。さらに北へ1km行くと元の場所に戻りました。
 さて、クマの色は何色だったでしょうか?

【問題2】ある場所から北へ1km、東へ1km行ったところでクマに出会いました。さらに南へ1km行くと元の場所に戻りました。
 さて、クマの色は何色だったでしょうか?

クマ1

 【問題1】は基本問題、【問題2】は発展問題です。ダジャレみたいな問題じゃありません。地理の問題でもあり、地学の問題でもあり、非ユークリッド幾何学の問題でもあって、わりとまじめなクイズです。

 みなさんが考えている間に、ヒントになるかも知れないおしゃべりを少々。「宇宙に果てがあるのかないのか」という議論がありますが、さて地球には果てがあるのでしょうか。
 試しに東西南北いずれかの方角にどんどん突き進む場合を考えてみてください。ゴールはあるでしょうか、それともないでしょうか。
 地球儀を思い出してください。北にどんどん進む場合は、北極点がゴールです。これ以上北はありません。南に進む場合も同じです。
 では東に進んだらどうなるかというと、この場合はゴールはありません。どこまで行ってももっと東があって、同じ緯度の線上を地球をぐるぐる廻り続けることになります。西に進む場合も同じです。
 つまり、地球では北と南には果てがあるのに、東と西には果てがないのです。さて「宇宙に果てがあるのかないのか」という議論については私はよくわかりませんが、要はとらえ方の問題なのかもしれません。「宇宙に果てがあるといえば、ある」「果てがないといえば、ない」、そういうことなのかもしれませんね。

 ちょっとはヒントになったでしょうか。逆に混乱したかもしれませんね。元の問題に戻りましょう。

【問題1】ある場所から南へ1km、東へ1km行ったところでクマに出会い
     ました。さらに北へ1km行くと元の場所に戻りました。
     さて、クマの色は何色だったでしょうか?

《解答》
「南へ1km、東へ1km、北へ1km行って元に戻る」ような場所は北極点。
そのあたりに住んでいるクマは白クマだけ。よって、答えは「白」。

クマ2

 ところで、「南へ1km、東へ1km、北へ1km行って元に戻る」ような場所は北極点だけじゃありません。他にもあります。ところが、その場所にクマはいません。白クマもヒグマもパンダもアライグマも。だから、【問題1】ではクマに出会った場所は北極圏に限られて、答えは「白」に決まります。

【問題2】ある場所から北へ1km、東へ1km行ったところでクマに出会い
     ました。さらに南へ1km行くと元の場所に戻りました。
     さて、クマの色は何色だったでしょうか?

《解説》
 「北へ1km、東へ1km、南へ1km行って元に戻る」ような場所は地球上に何カ所かあります。【問題1】と同じように考えると、南極点と言いたくなりますが、残念ながら南極にクマはいません。ですから、「クマに出会った」というからには、南極以外の場所なんですね。
 さて、南極点以外で「北へ1km、東へ1km、南へ1km行って元に戻る」ような場所はどこでしょうか。

 実は北極点のすぐそばです。
 北極点の近くに「東に1km進むと、北極点の周りをちょうど1周まわる」ような場所があります。北極点を中心にして半径160mの円を描くと周の長さはほぼ1kmになります。その円周上です。
 その円よりさらに外側に1km離れたところからスタートして、「北へ1km、東へ1km、南へ1km」進めば元に戻りますね。つまり、北極点から約1160m離れた地点からスタートすればよいわけです。

クマ3

 細かいことを言うと、「東に1km進んだときに、北極点の周りをちょうど2周してもちょうど3周してもよい」ことになりますが、いずれにせよ北極点のすぐそばなので、そこにいたクマは白クマということになる。

 よって、【問題1】の答えも【問題2】の答えもどちらも「白」です。

◇      ◇      ◇

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