結論を言わない証明問題(解答編)
記事「結論を言わない証明問題」で出した5題の《解答・解説編》です。元の問題は こちら をどうぞ。
合同な三角形を探せ
※ まず空欄を埋めて、そして証明してみよう。
《解説・解答》
補助線を引いて、合同な三角形を探してみよう。つなげるのは A と D、A と E、B と D、B と E の4本だが、このうち A と D、B と E の2本を引くと、△ACD と △BCE が合同になっているように見えないか?
本当は結論を与えないだけではなくて、設問に図を描かずに、図を描くことも解答者に求めようかと思ったのだが、そうすると「場合分け」をしなければならないことになって難易度が俄然高くなりそうなので、図は与えることにした。
同一円周上にある4点を探せ
※ まず空欄を埋めて、そして証明してみよう。
《解説・解答》
一見「4点 B , P , C , Q が同一円周上にある?」ようにも見えるが、残念ながらこれは違う。
「4点 A , B , C , D が同一円周上にあるか?」というと…
これ以外には他に同一円周上にあるような4点はなさそうだから、
「4点 A , B , C , D が同一円周上にある」と「仮説」を立てよう。
次に「検証」。うまく検証できれば、すなわち証明したことになる。
合同か?
※ 「成り立つ」と言うなら、証明してね。
「成り立たない」と言うなら、反例を挙げて。
けれども、そこからが難しい。
対応する辺(AB と DC、AE と DE、BE と CE)のいずれかが1つでも等しいと言えれば 合同 △ABE≡△DCE(1辺両端角相等)とわかるのだが、さて、どうしようか。
ところで、本当に「△ABE≡△DCE」なのだろうか。反例はあるのだろうか。
何はともあれ、証明を目指してみよう。
再び相似に戻って「方べきの定理」を使ってみると、
(ⅰ)a=b のときは「△ABE≡△DCE」が成り立つ。
けれども
(ⅱ)a+b=1 のとき、
CE=1−a=b , BE=1−b=a となって、
この場合は「△ABE≡△DCE」は成り立たない。
これが「反例」である。
すなわち「AC=BD のとき、△ABE≡△DCE」は成り立たない。
つまり、こういうことだ。
「円に内接し、かつ対角線の長さが等しい四角形」は「等脚台形」になる。
等脚台形を2本の対角線で切ってできる4つの三角形のうち、下左図の2つの三角形は合同である。一方、下右図の2つの三角形は相似な二等辺三角形ではあるが、合同ではない。(これが反例にあたる)
角の2等分線を3本引くと...
これは結果を知っている人も多いでしょう。中学・数学の教科書にも証明つきで載っています。三角形の「内心」ですね。
いろんな証明ができますが、ここでは「角の2等分線公式」と「チェバの定理の逆」を使った証明を載せておきます。
では、次の問題はどうでしょうか?
【4】の「内角」を「外角」に変えただけなのですが、この場合に「必ず成り立つ」ことをまず探してください。そしてその上で、それを証明してください。
まず図を描きましょう。丁寧に、ある程度正確に描いてくださいね。雑に描いたら、たぶん何も見えてこないでしょう。
きれいに描けば「3点 D , E , F が一直線上に並んでいる」ことが見えるでしょう。
では、続いて、本当にそうなのかどうかを証明してみましょう。
ここでもう一度【4】の証明と【4’】の証明を見比べてください。よく似ていますよ。いや、似ているどころか、ほぼ同じだと行って良いくらいです。
証明のスタート部分で【4】の「内角」と【4’】の「外角」が違っていて、そこから先は全く同じ文・式が続きます。そして最後から2行目で「チェバ」と「メネラウス」の部分が違って、最終結論【4】の「3直線が1点で交わる」と【4’】の「3点が一直線上にある」が全く違う。両者を比較すると、平面幾何の理解が深まります。
四角形の頂点からの距離の和が最大になる点
《図1》のような四角形なら、直感的に「対角線の交点じゃないか」と見当がつくだろう。証明してみよう。
《図2》の四角形については・・・私にはよく分かりません。助けてください。
◇ ◇ ◇
〜 私の数学教育論 〜
▷ 結論を言わない証明問題 + 解答編
▷ 数学屋が売れる時代になってきた
▷ 「3」のマジック
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?