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依存とは?(本質観取で哲学対話してみた)

参加者4名 5/30(木)15:45〜16:40

 今回も生徒の一人がMCを務めて(前回とは別の人)、時間設定からテーマを決める段階でもリードしてもらった。
 あらかじめ出てきたテーマ案は3つ。「希望」と「依存」と「学ぶ」。そこで挙がったテーマを見て、私は次のように(↓)考えた。

 すでに上がった3つのテーマ(案)について、どれをやるにせよ、〈本質観取〉というやり方で対話してみたいと個人的には思っている。
 〈本質観取〉とは、哲学対話のやり方の1つで、フッサールの「現象学」に由来するものらしい。
▷ 物事の「そもそも」を、みんなで考え、言葉にしながら、誰もが「納得」できる考えを目指す。(絶対的に正しいものを得ようとするのでは無い)

苫野一徳(熊本大学准教授)氏の説明を元にまとめた

 その手順をざっくり示すと次のようになる。
① なぜこのテーマを選んだのか?
  (その本質が見えたらどんな意義があるか?)
② さまざまな事例をあげる
③ キーワードを見つける
④ 本質を言葉にする
  (他の言葉と比べてみたり)
⑤ ④が①の答えになっているか?
  (なっていなかったら適宜前に戻ろう)

苫野一徳(熊本大学准教授)氏の説明を元にまとめた

 そうしたらMCから「当日は〈本質観取〉という方法で進めたい。テーマは、すでに挙がっている3案から、その場で決める」と連絡がきた。
 そこで、まずは3案それぞれについて「① なぜこのテーマを選んだのか?」を話してもらった。

① なぜこのテーマを選んだのか?

  • 希望:「生きる希望」とか言うね。さて、希望ってなんだろう?

  • 依存:良いのか、悪いのか、どれくらいなら良いか、人にも物にも。

  • 学ぶ:これから学び方も変わるんだろうけど、ワクワク感を持ちたい。

 そんなことを話してもらって、そして多数決。MCを含む4人で「イッセーのセ」で指差して、「依存」が2票、「希望」と「学ぶ」が1票。この日は「依存」について話すことになった。

② さまざまな事例をあげる

 「依存」というと、悪い意味で使うことが多いけれど、発案者ならびに賛同者は「良い意味での依存を考えたくて、その言葉を出した」のだろう、そう思わざるを得ない。実際、悪い例は簡単に出てくるが、良い例が意外と出にくい。だからこそ「良い例をあぶり出したい」、そう口にしながら対話が進んでいった。
 そうして出てきたものは「助け合う」や「支え合う」など。「人に依存する」のは(いつもでは無いにせよ、基本的には)良いことだ、という考えが出てきた。

③ キーワードを見つける

 次に、②で出てきた事例の中から、キーワードを探す。見つけたキーワードは「視野」(狭くなるのは困る、広ければ良い)、「一方向か双方向か」(双方向なら良い)、「分散」(依存する先が多方面に分散しているなら良い)など。
 探しながら新たに出てきたキーワードが「物か人か」。また新しい考え方として「物に依存するのは分かりやすい」(薬物依存など)が、「人に依存する(頼る)のは当たり前すぎて逆に見えにくい」。そのように考えると「人間関係を豊かに持つことが、依存先の分散(多様化)に当たり、悪い意味での依存を解消することにつながる」のではないか、と。

④ 本質を言葉にする

物に依存するのは単一かつ一方向(悪い依存)になりがちだが、人に依存するのは多様かつ双方向(良い依存)になりやすい。

⑤ ④が①の答えになっているか?

 この言葉に参加者4人全員が納得して、今日の哲学対話は大成功でした。初めてやってみた〈本質観取〉が上手くいったということで、次回 はもう一度同じ手法でやってみようということになりました。

◇      ◇      ◇

    ▽ 哲学対話、シーズン2
  ▷ 哲学対話・シーズン2、はじまる
  ▷ 依存とは?
  ▷ 学びとは?
  ▷ 哲学対話の終わり方

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